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吾輩は召喚魔(ねこ)である  作者: 画猫点睛
第一章 ズッカ編
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3話 手引書(がくもん)のすゝめ

≪やっぱり読んどかなきゃ、ヤバいデスよね≫


 高位召喚契約所に繋がる宿泊所内の一室。

 ルーナは受付で渡された手引書を読み始めた。




【召喚契約の手引書 高位版】


≪うぅ〜、めんどそうデス≫


1.召喚魔とは

 召喚魔とは、人族を手助けするために神が造りしものであり、一生に一体のみ召喚魔と契約が出来る。

 召喚魔は神の調律によって選ばれる為、儀式の際はいわゆる心・技・体の優れた者には、より優れた召喚魔が現れるとされる。

 高位召喚魔とは、選り優れた能力を持つ召喚魔の事を指し、高位召喚儀式によってのみ現れる。

 また高位召喚魔に満たない召喚魔を普通召喚魔といい、その能力は低位のものから高位召喚魔に近いものまで存在する。


≪えーっと、契約は1回だけ、高位の契約魔は高位の儀式のみ、ってことですよね≫



2.召喚儀式とは

 召喚儀式とは、召喚魔との契約を行う為の契約召喚および契約を行う儀式のことである。

 一般の召喚儀式を普通召喚儀式と言い、これとは別に、高度な術式を用い、高位召喚魔を対象とした儀式を高位召喚儀式という。

 また、この高位召喚儀式を行う場所を高位召喚契約所と呼ぶ。

 高位召喚儀式が正常に行われても召喚魔が現れないときは、不適合者とみなされ、再度儀式を受ける事は出来ない。


≪えーっと、高位の儀式は何回もはダメってことですよね≫

≪う〜〜、召喚魔が出てこないと、娼婦かぁ……それは困るのです≫



3.召喚魔との契約

 契約召喚された召喚魔との契約は、能力等の確認後、双方の合意のもとに契約者による召喚魔への命名を以って契約成立となる。

 なお、契約不成立の場合の高位召喚契約所の利用は、日を改め三度までとする。


≪契約しない事も出来る…でも、わたしは何が出てきても契約しないとないのですよね≫

≪でも、ヘビは……≫



4.契約の終了

 召喚契約は絶対であり、契約者の死亡または召喚魔の消滅を持ってのみ終了する。

 契約者が死亡した場合は召喚魔も消滅する。

 召喚魔が消滅した場合でも、再び他の召喚魔と契約することはできない。 


≪つまり、ふたりで仲良くガンバレってことだね!)

≪でもヘビだったら仲良く出来ないかもです、うぅぅ)



5.召喚魔の形態と能力

 召喚魔は様々な形態をしており、人や竜、獣、蟲といった生物から無生物や形のないものまで、万象に及ぶ。

 さらに通常形態から大型化や小型化、人化など変化が可能なものも存在する。

 また召喚魔の能力も様々であり多岐に渡り、能力は経験によって向上する可能性を持っている。


≪姿はイロイロ、能力もイロイロ……ヘビはニョロニョロ)



6.意思疎通

 いずれの召喚魔も人語を理解するが、意思の疎通が出来る程度のもの、念話での会話が可能なもの、人語を話すものなどがいる。

 ただし人語を話す召喚魔の多くは人型の高位召喚魔である。

 他の形態の場合、高位召喚魔であっても人語を話すものは極まれであり、念話での会話が主となる。


≪ふつーは話せない、念話で会話っと≫

≪ヘビと念話で?…なかなかヘビィなのです≫



7.召喚魔の召喚および帰還

 召喚術式を印した媒体のことを収納具ストレージと言う。

 契約者は召喚魔を収納具ストレージを介し、光球ルームと呼ばれる空間から召喚、帰還を日常的に行える。

 例外として刀剣、指輪などといった無生物形態の召喚魔は、収納具ストレージの必要がないものもある。

 なお、高位召喚に成功した証として贈る銀の護符チャームは、収納具ストレージとして使用出来る。

 

収納具ストレージから召喚、帰還≫

収納具ストレージからヘビがニョロニョロ!…うぇぇぇ≫



8.召喚魔と魔素

 召喚魔は魔素を活動源としており、召喚時は魔素を消費する。

 魔素の急激な流出などにより枯渇すると、召喚魔は消滅する危険がある。

 召喚魔が魔素を吸収する方法は主に次の通りである。

  ・魔物が死亡した時に放出される魔素を吸収

  ・魔物の体内の魔臓に含まれる魔素水を飲むまたは浴びる

  ・その他魔素を含むものを吸収

  ・生物体の召喚魔においては、通常の食を以って体内で魔素に変換することで代用も可能


≪召喚魔は魔素で生きてる、ふつーの食事でも大丈夫……≫

≪ヘビの食事は、何だろう?≫






「ああぁ、も〜、なんかヘビだけ連想する」


 気が付けば、ルーナの脳内は“ヘビ”だらけ。受付嬢セシルの例えた一言が、ルーナに召喚魔=蛇のイメージになってしまったようだ。

 

「もうダメ…ヘビばっかり思い出して、頭に入んない」


 ルーナは手引書を閉じて、ベットに倒れこんだ。

 

「なるようにしかならない、明日は明日の風が吹く、なのです」

「ヘビでもなんでも、娼婦よりはマシなのです」

「でも、ニョロニョロよりはモフモフとかがいいのです」


 彼女が本来心配するべきなのは、召喚魔が現れるか否かであって、召喚魔が蛇かどうかではない。

 しかし彼女の頭の中では、もはや蛇が召喚されることが確定されているようだった。

 


 




 その夜、宿泊所の一室から、こんな寝言が聞こえていたとか、いないとか…



「蛇は、蛇はイヤなのです」

「ニョロニョロは、ニョロニョロは困るのです」

「出来たらモフモフで、モフモフお願いしますです」

「モフモフ、モフモフで#$%&……………zzz」



タイトルは、学問のすゝめ/福沢諭吉から

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