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プロローグ

舞台は現代日本。建物を出ると敷地の外はファンタジーの世界。勇者として選ばれた一人の男が仲間をみつけながら魔王討伐を目指す。そんな世界観の物語です。


なろうコン用の書き下ろしになります。

ファンタジー、剣と魔法、ハーレム、異世界、ステータス、レベルアップ。

そんなテンプレ的なキーワードを並べつつ、実はシリアス展開の現代パニック物に仕上げたいと思っています。お楽しみいただければ幸いです。


「い、痛い! なんだ! 痛い! 痛い!」


 左足首から来る猛烈な痛みが、二日酔いの残っているナカトの左足首を襲った。


「痛い! え? え、何!? 何これ?」


 夜が明けたばかりのまだ薄暗い部屋の中、ナカトは畳の上で薄い布団だけをかけて寝ていたはずだった。その布団を押しのけ、足元を見る。


「シロ!? い、痛い! 痛いんだよ!」


 飼い犬の小さなチワワであるシロが、足に噛み付いていたのだ。それも甘噛ではない。小さな身体の小さな顎と牙。この二つをもって全力で噛み付いたのだ。


「こら!」


 激痛が走る足首に耐え、それでも身体の小さいシロを考慮して、ゆっくりと手を伸ばしたのだが、その気配を感じたのか、シロは、近づいてきたナカトの右手に飛びかかるように噛み付いた。


 ちょうど親指と人差し指の水かきの部分に、鋭い牙が立てられる。


「ぎゃ!」


 通常であれば、大声を上げればすぐ離すのだが、シロはなぜか噛み付いて離れない。慌てて手を振り払い……


「痛ッ!」


 牙が肉を削いでいく感覚が走り、体重の軽いシロが台所まで飛んで行く。


「くそっ! シロ、大丈夫か! どうし……なんだ、その顔……」


 台所まで飛んだシロはすぐに体制を立て直し、まるで獲物を狙うかのようにこちらを睨みつけた。そのシロの顔は、口の周りはナカトの血にまみれ、目は毛細結果が切れてしまったのか、黒目の部分が真っ赤にそまり、小さかったはずの口が裂け、中から細いが鋭い牙が、2本……4本……8本……


「なんで牙がそんなに……」

「グググッ」


 唸り声を上げ、その後、小さな身体で多く咆哮すると大きく口を広げシロはナカトの首筋目掛けて飛びかかった。


***



 もし宇宙空間から地球を俯瞰して見ている者がいたのなら、その者はどう感じたのだろうか……


 突如、月の裏側から湧いた赤と黒の2色の斑模様の醜い巨大な(モヤ)のようなものが、あっという間に地球全体を包み込み、まるで地球を侵すように、地球の中へ染み込みこんで、やがて消えてしまった。


 周囲から見た状況では、たったこれだけの出来事であったが、この瞬間、地球表面では新しいルールが一つ、適用されたのだ。


 全ての場所は、「内側」と「外側」に分けられる事になった。


 人が居住していた建物の敷地内を内側、それ以外の場所は外側と定義された。そして「外側」は、魔物、魔獣、魔蟲、魔鳥、魔魚……人に憎しみを持ち、人と敵対するあらゆる生き物が跋扈する世界となった。


 そう、世界は唐突に『異世界(ファンタジー)』へと変化した。

初日ですので、このあと4話分、更新します。

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