【07‐03】神々の寵愛姫と新たな身分
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此度『アメンラウド大神殿ヴァンコック本神殿第9代世界神眷属聖女姫』となるシスターイズモは、我世界神アメンラウドの他、魔術神・武術神・快癒神・技能神・天空神・大地母神・生命神。それと、12干支神の寵愛を受けた者であり、我ら神々の寵姫であり、依代であり、代行者である。
また、本人は現人神として昇華する資格を持っており、どの権能を持つかは本人次第だが、この世界の神の1柱となりえる者である。
それを踏まえて、各神殿が定め実行している、職業別に定められている神殿内の身分制度である『序列制度』。
この序列制度では、現状聖女姫の職に就きし者であっても、身分上では基本職の修道女と同一視され、一番下の序列第8位となっている。
これについては、永きにわたる神殿の歴史の中で、人間側の都合によって制定されてきたものであり、われら神々においても、少しばかり問題視している案件だが、人間側の努力を見るためあえて放置してきた問題でもある。
しかし、此度『アメンラウド大神殿ヴァンコック本神殿第9代世界神眷属聖女姫』に襲名する者は、我ら神々の寵愛を受けた寵姫である。
歴代の聖女姫においても、我ら神々の1柱の加護を受けし者が襲名しているが、基本的にはただの人である故、人の定めた身分上の問題は起こらなかった。しかし、今回は、我ら神々の寵姫であり、依代であり、代行者である故、我らと同等の身分となる。
この矛盾を、当人が聖女姫に襲名する式典までに改正する事を願う。
此度のわれら神々の願いが聞き届けられない場合、我ら神々は、相応の制裁を課す覚悟を持っている。
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僕が聖女姫に襲名する事が決まった日、”とある矛盾”を世界神から『神託』という形で指摘されたのが、今回の騒動の始まりでもある。結果、神殿関係者たち(特に上層部)が、大慌てしていたのを記憶している。
今までの神殿は、同類の神託が下されていなかった上に胡坐をかいていた。
問題視されているのは、神殿内での身分制度である序列制度だ。
現状では、神官系統と魔術師系統で序列には、大きな差別がされている。その差別の1つが、魔術師系統は、一番上の上位職である『聖女姫』であろうとも、序列は最下位の『序列8位』で固定化されているという事だ。
神から定められて最終期日は、1か月後に行われる聖女姫襲名式がある12月30日。
実際、この序列制度を改正して、すべての神官に新しい序列を割り振り、辞令を交付するとなると、12月27日に行われる『聖衣及び序列更改の神事』までに、序列関連の事をすべてを整えないといけないからだ。
その矛盾をこのまま放置すると、人と神との関係にヒビが入る可能性があるため、急遽世界会議みたいなものが開かれたみたいだ。
この時僕は、当事者であるが序列最下位(魔術師系統の神官職は、一番上の上位職である『聖女姫』であろうとも、序列は最下位の『序列8位』で固定化されている)であるため、この会議に参加する事はなく、そもそも参加資格すらなかった。
召集されれば出席する覚悟はあったのだが、どうも変なプライドが一部の会議参加者にあったらしく、僕の耳まで会議の事が入ってくる事はなかったのだ。
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神官系統の職業①:教皇・枢機卿
序列第2位
神官系統の職業②:宣教師・司祭・転職神官・技能神官
序列第3位
神官系統の職業③:牧師・助祭
序列第4位
修験者系統の職業①:神殿騎士・聖騎士・賢者・聖賢者
序列第5位
修験者系統の職業②:祈祷師・降霊士
序列第6位
楽師・舞女系統の職業:雅楽師・巫女・姫巫女
序列第7位
聖魔術師系統の職業①:退魔術師・魔祓師
序列第8位
聖魔術師系統の職業②:修道士・聖人・修道女・聖女・聖女姫
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これは、今までの神殿内での序列となる。
これまでは、序列4位より上の職業に就く者たちの多くが、王侯貴族の子息子女がほとんどであり、それ故の選民意識が働いて、平民が就く事の多い序列5位以下の職種を見下す政策?が、王家や有力貴族などの圧力によって行われてきた。
そのため、神の加護を与えられている職業(聖人・聖女・聖女姫・姫巫女)であっても、出家する前の身分によって下の身分に入れられていたのだ。
別に、アメンラウド神をはじめとした神々は、現世における身分制度にはあまり関心がない。自分たち神々よりも、人間族側が上だと考えていても問題視はしなかった。
だが、自分たちが丹精込めて創り上げた僕という存在(アメンラウド神曰く、僕は神々の愛娘のような立場らしい)が、正式に聖女姫に就任すると聞いた時、戯れに(僕の今の容姿を創り上げた)神々がこんな神託を出しただけだと、あとから聞いた時にはあきれたものだ。
当事者である僕自身も、現状の身分制度はあまり気にしていない。それは、あまり上の立場に立つと、面倒くさい事がたくさん増えていくからだ。
そうもいっていられないのが神殿上層部にいた者たちであり、今まで何も言われなかった事を神々から指摘された時は、全員の血の気が引いたのだとか。
今回聖女姫に就任する僕は、神の寵愛を受けた者・神々の寵姫・神々の依代・神々の代行者・現人神(仮)という5つの神の名を冠した称号が並んでいる。
で、現状の身分制度に照らし合わせた際、『現人神(仮)』となってはいるが、曲がりなりにも神の1柱を身分上では一番下に置いているのが問題視されているのだ。
神々からの神託で一番問題視されたのが、僕の称号欄にある『現人神(仮)』であろう。
それ以外でも『神(神々)の』と謳っている称号も、結構な問題といえば問題である。
なお、加護を賜っているかどうかの判断は、『職業刻印板』にある称号欄で確認できるので、大きな混乱なく、偽装もできない仕組みになっています。
新しい職業ツリーに移行するのは、新年に入った1月1日からだが、各職業の就任及び改名(神の定めたルールに従い、新規の職業名に自動的に改名される)事態は、すでに神託のあった翌日から実行されている。
ただし、今までの職業ツリーとは全く違うカテゴリーに同名の職業名が存在する事から、移行した日から1ヶ月ほどは結構混乱が各地で起こっていたが、年末に入った現在では混乱も収束傾向にあるみたいだ。
またこの神託が下された時、同時に職業を管理する技能神『アマトテフトト』様から、この世界に存在するすべての職業を新規に設定し、新たな職業ツリーとして改変・再編する事も併せて神託として下された。
その結果、今までの職業ツリーは、複雑な職業ツリーの状態で、新しい職業ツリーとして世界中に拡散する。こちらについては、神託が下されたその日に改変されていった。
そのため、神殿関係者だけではなく、そういった事を管理している国の機関も大慌てだったらしい。
そのため、大慌てになった神殿上層部では、新たに加わった職業を含めて早急に身分制度の改革をしなければいけなくなった。
もともと神殿内でも、この序列制度は問題視されており、改革派と保守派との間で、長らく議論をされてきていた問題でもあり、平行線をたどった故、棚上げされてきた問題でもある。
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=序列第1位=
各神殿における最高権力者であり、最高位である天聖の称号を持つ。なお聖女姫に関しては、不在期間があるため、その際は『験聖』を務める聖女が兼任する事になる。
就任できる職業『天聖』:教皇(全男性神官職の特殊最高職)・聖女姫(全女性神官職の特殊最高職)・宿御霊の神子(年神に仕える『宿御霊の童子』の特殊派生職)
=序列第2位=
それぞれの神職系職業の最高職を修めた男女各1名が就き、それぞれの系統に属する職業を束ねる。
なお、尾の5つの職業を併せ、特別に『五聖』と呼称する。
官聖(神官系統の最高位)・験聖(修道院系統の最高位)・舞聖(神舞系統の最高位)・魔聖(聖魔術師系統の最高位)・護聖(聖騎士系統の最高位)の5つの称号をそれぞれ襲名した人物は持つ。複数いる場合は、その中でふさわしい人物が就任。
就任できる職業『官聖』:枢機卿・姫巫女
就任できる職業『験聖』:聖人・聖女
就任できる職業『舞聖』:雅楽師・神楽姫
就任できる職業『魔聖』:聖賢者
就任できる職業『護聖』:聖騎士
=序列第3位=
神職系職業の最高職(特殊最高職を除く)へとジョブチェンジした者が、この序列へと昇格する。
神官系統の職業:枢機卿・姫巫女
修道院系統の職業:聖人・聖女
神舞系統の職業:聖演師・神楽姫・歌姫
聖魔術師系統の職業:聖賢者
聖騎士系統の職業:聖騎士
それ以外の神殿内職業:聖具製作師・宿御霊の童子
=序列第4位=
第2次派生職から第3次派生職へとジョブチェンジした者が、この序列へと昇格する。
神官系統の職業:司教・司祭・審問官・転職神官
修道院系統の職業:魔術医・魔術医女・魔祓師・導師・修道執事・修道侍女
神舞系統の職業:雅楽師・能楽師・舞師・舞姫・舞闘術師・聖楽師・吟遊詩人
聖魔術師系統の職業:法術師・賢者
聖騎士系統の職業:神殿騎士・修験騎士
それ以外の神殿内職業:年神の神子・聖薬師・聖鍛冶師・聖裁縫師
=序列第5位=
第1次派生職から第2次派生職へとジョブチェンジした者が、この序列へと昇格する。この序列に連なる職業からは、本格的な専門分野の修業へと移行していく。
神官系統の職業:助祭・牧師・宣教師
修道院系統の職業:治癒修道士・治癒修道女・祓術師
神舞系統の職業:宮司・舞子・楽師
聖魔術師系統の職業:聖魔術師・呪術師・祈祷師・交霊師
聖騎士系統の職業:神殿兵士・修験導師
それ以外の神殿内職業:聖母・神子・祭祀官・近衛執事・近衛侍女
=序列第6位=
神官系初期職である『僧侶』から、第1次派生職へとジョブチェンジした者が、この序列へと昇格する。
神官系統の職業:神官
修道院系統の職業:修道士・修道女
神舞系統の職業:禰宜・巫女
魔術師系統の職業:魔術師
聖騎士系統の職業:修験者
それ以外の神殿内職業:神殿侍従
=序列第7位=
『出家誓願の神事』を受けた者の中で、神官系初期職である『僧侶』へとジョブチェンジをした者がこの序列に繰り上がる事になる。ここからが、本格的な神職への修業の入り口となり、様々派生していくに第1次職へとジョブチェンジするための修業の場でもある。
=序列第8位=
『出家誓願の神事』を受けずに、神殿内で暮らしている者たち。または、職業ツリー上において神殿関連職に就いていないが、出家をして神殿身分(『出家誓願の神事』を受けているかどうかは問わない)を持っている者たち。この場合は、元の身分が王侯貴族であっても、神殿身分上は序列第7位とし、元の権力や権益の一切を排斥する。
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これが、今回新しく制定された序列となる。
この新しい序列では、元の身分は関係なくなり、あくまで各系統別に職業を上位に職に派生させていく事で、それぞれの職業別に定められた序列に繰り上がっていく仕組みになった。
そのため、これまでは、元も身分が貴族だったから、上位の序列の職業に就いたのではなく、上位の序列に上がりたいにならば、自らの資質を見極めて基本色を決めないといけなくなったのだ。
これは、神職関連の職業ツリーだけではなく、ほかの分野の職業ツリーでもいえる事である。また、それぞれ枝分かれした職業が、複合的に統合されて新たな職業となる場合もあるみたいなので、実際はもっと複雑怪奇な職業ツリーが構築されるわけだ。




