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【06-03】初めての神事と神殿での活動

武術大会が終わって4ヶ月後の12月初頭。

秋も終わり、そろそろ初雪の便りが届く今日この頃、僕は非常勤修道女として神殿に赴き、一介の修道女として隣接する治療院で奉仕作業に従事してる。


治療院で活動するきっかけになったのは、回復魔法の使い手のいないここ『アメンラウド大神殿ヴァンコック本神殿』において、数日に1回程度の割合で非常勤として働く事を、神殿から正式に指名依頼されたからだ。暇な日なら別にいいよと承諾し、ついでにフタバちゃんも出家してもらって僕とともに神殿で働いてもらう事になった。

フタバちゃんについては、治療士としても修行と、魔祓師としての修業を並行して行ってもらっている。そのため、ほとんど神殿に詰めている状態で、最近はあまり冒険者として活動は行っていない所が現状である。

これに関しては、僕にも言える事だ。

最初のうちは数日に1回のペースだったが、10月に行われた収穫祭前後で神殿での活動が主体となっていき、12月になって神殿が用意した屋敷(大神殿の敷地内にある建物を1棟丸々与えられた)へと移る事になった。


修道女見習いであるフタバちゃんは、治療院で働く際は、見習い修道女の制服である真っ白な修道服を着こみ、僕が神殿に出勤する日は従者として同伴しており、多少は使える回復魔法の練習に明け暮れている。まだ怪我の治療くらいしか回復魔法が使えないが、それでも練習台となる患者さんは引っ切り無しに訪れるため、ここにいるだけで結構な分量の練習になるのだ。

僕は無詠唱で治癒魔術を行使しているが、フタバちゃんは、しっかりと詠唱して発動している。しかしながら、その厨二病全開な詠唱文を、一言一句飛ばさずに詠唱・・・・つまり、短縮詠唱や無詠唱スキルを使用せずに行使しても、治癒魔術が発動できる確率は全体で5割ほど。簡単なケガの治療程度ならば、ほぼ100%の確率で発動できるのだが、治療が高度になっていくほど確率が下がっていく。

それは、すべての魔術に言える『イメージの詳細化』が不完全だからだ。特に治癒魔術は、人体構造などの医学知識がないと、まともに発動すらしないのだ。

そのため僕は、この国で治癒魔術普及(治癒魔術が使える属性持ちは、実は結構な数存在していた)のための第1歩として、地球における最先端(僕が自殺する死ぬまでにあった)医学知識及び技術を、この世界に再現して教え込んでいる。

なお、医学知識と技術は、僕が持っているスキル『異世界(地球限定)知識(LV5)』を駆使して再現した。


まだまだ1カ月程度しか教えていないが、まずは外科的治療をこの神殿内にいる修道士や修道女たちに実践させている。つまり、人体構造を、しっかりと頭の中に叩き込んでほしいためだ。

そのうえで、外科的な医学知識を念頭に入れて治療魔術の発動にこぎつけたいと思ええいるわけで。

このあたりの話は、少し長くなるので割愛する事にする。


閑話休題。


僕は、年末年始に行われる『アメンラウド大神殿ヴァンコック本神殿第9代世界神眷属聖女姫襲名式』までの間、非公式ではすでに正式名称『アメンラウド大神殿ヴァンコック本神殿第9代世界神眷属聖女姫』、(長ったらしいので略して『ヴァンコック神殿(第9代)聖女姫』、もしくは単に『聖女姫』と呼ばれている)になっているが、それは神殿内のみでの話であり、世間一般では一介の修道女(一部では聖女様と呼ばれているが)に過ぎない僕。


非常勤とはいえ、勇者様御一行のストーキング行為防止を目的として、不本意ながらも神殿に籍を置く(出家する)事になった僕。

それは、出家してしまえば、僕に対しての様々な行為は、そのまま僕の出家先である神殿が祀る主神に対しての行為となるためだ。それ故、僕に対する嫌がらせは、そのままこの世界の最高神であるアメンラウド神への行為として捉えられるわけだ。

現に、僕が出家した瞬間、勇者様御一行のストーキングはなくなった。

出家したきっかけがストーキング行為防止とはいえ、僕の身分は出家した修道女である。

神殿に籍はあるとはいえ冒険者である僕は、神殿で行われる大きな神事には絶対参加となるが、それ以外の細々とした神事は自由参加となっている。基本的に、ほかの神殿に籍はあるが冒険者という人たちも、この方針は変わっていないのだから。

年明けからもこの状態は変わらないとは思うが、聖女姫として世間に公表されたのちは、神殿行事に大きくシフトしていく事になるのは明白である。


この4ヶ月間で、僕が参加した一番大きな神事は、10月の中頃に行われた『収穫祭』だろう。

なんといっても9月の終わりに出家した後、非公式ながらも初めて取り仕切った神事でもある。神殿内ではすでに聖女姫という豪勢な肩書(称号欄にも増えていた)で呼ばれるようになった僕が、神殿行事に慣れるためにあえて非公式で取り仕切った行事でもある。

実際神事を取り仕切っていたのは、この大神殿の最高位である教皇様で、僕はその傍らに控える進行補助の修道女として参加していた。もちろん、修道女の正装である修道服を装着してである。

ちなみに正装として装着した変更装備は次の通り(詳細説明込み)。


《頭装備》

普段着用・・・・・幅広の白色のカチューシャ

神殿の外や町を囲む壁の外、安全が保障されていない場所では、危険回避を優先してベールの着用は努力義務。その代わりと言っては何だが、幅広の白色のカチューシャを填める事。髪型は基本的に自由だが、たいていの場合はロングヘアーで肩よりも長いため、そのまま後ろに流している。

また、普段時と正装時を区別するため、今ではベールを被るのは正装時のみとなっている。


正装着用・・・・・漆黒の布と純白の布を重ねたタイプのベール。

ベールの長さは背中の中ほどまであり、後ろ髪を包み込むように覆っている。上側の黒い布は、マントのように肩口から先を覆って、地面と平行になる感じのデザイン。下側のある白い布は、肩甲骨あたりまでの長さしかなく、髪が乱れないように、先端が輪っかになっている。

ベール自体は、帽子のようなデザイン。ツバのない真っ白な帽子に、ベール状の白色と黒色の長い布をつけている。

神殿内では義務化されているが、町を囲む壁の中など安全が保障されている場所では、努力義務となっている。しかし現状では、正装時のみ着用義務があるだけで、普段はカチューシャを填めている事が多い。敬虔な修道女は、普段着・正装時問わずベールを被っているが、僕はそこまで敬虔ではない。

ベールを被る際は、後ろ髪がベールから出ないよう(前髪については規則は存在していない)に三つ編みなどにして髪の毛を纏めている。


《首装備》

純白の布で仕上がった詰襟付き胸当てを、(身内しかいない空間以外へと)赴く際は、普段着・正装時問わず装着する義務がある。敬虔な修道女は、普段着・正装時問わず就寝時と入浴時以外は装着している。

前身ごろは、胸全体を覆う丸みの帯びたデザインで、首の中ほどまで覆う詰襟装備。後ろ身ごろはセーラー襟(肩甲骨の下までの長さがある大き目のセーラー襟)。前身ごろの真ん中にファスナーがあり、脱着の際はファスナーで分離する。


《胸(胴体)装備》

普段着用・・・・・漆黒の長袖タイプのワンピース

ワンピースは、地球の修道服のようなゆったりとしたデザインではなく、体型にフィットするような感じのデザイン。そのため、着用者の体型がある程度服の上からでも推測可能。

ワンピースの背中には、腰あたりまであるファスナーが取り付けられている。体型イフィットしたデザインのため、脱着が容易にするための処置でもある。裾の長さは、動きやすさを重視して膝丈から10㎝程度の膝丈スカートで、ボックスプリーツタイプの黒ヒダが3本(前後に見えないデザインで計6本)ある。


正装着用・・・・・漆黒の長袖タイプのワンピース

普段着用と同じデザインだが、裾の長さが踝まであるロングスカート、背後には膝までのスリットが施されているが、ヒダなしタイプのため動きずらいデザインをしている。


《手腕装備》

肘までの長さがある純白の手袋。着用は努力義務のため、普段はしなくても構わない(神事・祭事の際は着用義務がる)。


《腰装備》

普段着用・正装着用・・・・革ベルトと小物入れ

小物入れや武器を携帯する際に使用する黒色の革ベルト。太さに就いての規定はないため、人によっては防御重視でコルセットタイプを填めている事もある。僕が填めているのは、3㎝程度の太さのもので、革ベルトに通されて固定するタイプの小さなポシェットを装着している。このポシェットが、修道服の唯一の小物入れであり、大きさは、文庫本サイズ(縦・横・厚み)くらいしかない。モノによっては、見た目以上にモノ(空間拡張されているため)が入るモノもある。ただし、このタイプの小物入れは数が少ないため、つけている修道女(修道士)は、基本的に魔祓師の一部のみとなる。

僕がつけている小物入れは、空間拡張などはされていないため、見た目通りの大きさである。


《足装備》

普段着用・・・・・ニーハイソックスとローファー

長さは膝の中ほどまであるスーパーロングタイプの黒色ニーハイに、使いやすさと疲れにくさを考慮した、踵の低い黒色のローファーを履く。


正装着用・・・・・ハイヒール

神事・祭事の際は、あまり歩かないという事と、見栄え重視で、素足の上に黒色のハイヒールを履く。


《付属装備》世界神教専用ロザリオ

首元には、世界神であるアメンラウド神を祀っている神殿のエンブレムが、細いチェーンで繋がったものを首から下げる。そのため、各宗教によってデザインが異なっている。

これは、どこの所属の修道女かを示している(冒険者としての修道女においては、どこの神殿で修業をしたのかを示している)身分証のようなモノになる。


閑話休題。


さて、こんないで立ちで参加した初めての神事。

基本的な内容は、地球における収穫祭と似ており、大地母神に対し、今年の豊作に感謝する内容の祝詞を読み上げるのが主催(今回は教皇様だが、次回からは僕の役割になる模様)となる者のお仕事でもある。今年は近年に見る大豊作だったらしく、


= = = = = =

今年はうれしい話題が重なりました。

大地母神様の御加護を授かり、近年稀にみる大豊作となり感謝しております。また、今年は長年不在だった我らが『アメンラウド大神殿ヴァンコック本神殿』に、主神であるアメンラウド神様の化身たる聖女姫が御降臨あそばされました。現状聖女様は修行の身のため公表は致しませんが、年末年始の神事には、『アメンラウド大神殿ヴァンコック本神殿第9代世界神眷属聖女姫』として襲名していただき、主催として神事を執り行う準備をしております。

= = = = = =


などと要約すれば、僕の話題を織り込んだ祝詞が読み上げられていた。もちろん僕は、教皇様の助手として最前列で参加しているため、少し恥ずかしかった事は記憶している。

もちろん不作の年も収穫祭は行われるみたいだ。

ちなみに不作の年は、また違った神事内容になるらしいが、今年は豊作なのでそう言った話題はいろいろな意味で割愛する事にする。


この神事の後に、『大地母神の加護』が新たに増えていたのには驚いた。


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