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【06-01】聖女になった僕

武術大会も無事に終了し、まったりとした日が再び始まろうとしていたが・・・・。


まず僕は、大会の2日後に、この国の大神殿から『アメンラウド大神殿ヴァンコック本神殿第9代世界神眷属聖女姫』に認定された。

もともとステータス上では、すでに聖女である僕だが、これで名実ともに聖女となったわけだ。そのため、ステータスで偽装していた職業も、『流浪の修道女』から本来のステータスにある『流浪の聖女姫』に戻してあるし、ギルドカードの職業欄も、偽装していた職業の『修道女』から本来の職業である『聖女姫』書き換えた。その後、神殿に籍を置いた段階で、『流浪の』という文字が消えた。

いちおう神殿に籍を置いてはいるが、野良聖女のままで非常勤で神殿に務めている。それは僕が、冒険者パーティ『ジャポニクス』のリーダーであると同時に、高位冒険者であるからだ。ちなみに、大会の各部門で決勝に勝ち進んだメンバーはすべからず『C-』ランクへと、準決勝まで残っている者は、『B-』ランクアップを果たしている。

神殿へは、僕が冒険者として活動しない日は、すべて出勤する事になっている。僕が活動しないだけで、アスカ君たちはソロで活動していたり、特訓をしていたり、忙しい毎日を送っているわけだが。


出勤初日・・・・つまり、僕が『アメンラウド大神殿ヴァンコック本神殿第9代世界神眷属聖女姫』に認定された『聖女姫襲名式』の日には、王都に住む多くの人が襲名式を見に神殿に訪れた。ちなみに、式典が開かれたのは、大会終了後から数えて15日後だ。

よくよく式典の参加者を見てみると、この国の神殿関係者(王都にある神殿の関係者は全員参加で、地方の神殿に関しては役職者のみ参加)と各国の神殿にいる聖女様たち。つまり、世界の中心の大神殿で『聖女姫』をしているイズミちゃんも来ております。

僕のパーティメンバーは全員参加。席順は、関係者として最前列である。

その後ろには、この国の王族と、王都在住の貴族たちが並んでいる。

王族は、国王様と王妃様、後は5人の王子・王女様となる。貴族連中も、国王一家と同様に直系の家族のみ参加している。

そして壁際には、正装した神殿騎士に交じって、王族の護衛としての近衛騎士がいる。

その後ろには、今回の武術大会で本戦に勝ち進んだ面々が座っているため、当然ながら勇者様ご一行もここにいる事になる。そして、庶民の面々がその後ろになるのだが、この大聖堂に入れた庶民たちは、総数300人と少なく、大多数の庶民は、神殿外の広場で待機している。そのため、急遽式典後に正面バルコニーで手を振る仕事が追加されているほどだ。


今回の式典での僕の服装は、いつもの修道服ではなく神様から貰い、ストレージの肥やしと化していたあの『聖女専用儀式用法衣セット』だ。ちなみに、詳細はこうなっている。


◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

【アイテム名】聖女専用儀式用法衣セット

【アイテムカテゴリー】儀式用法衣

【道具カテゴリー】第6級儀式用法衣

【セット内容】△▽

《頭装備①》ティアラ

《頭装備②》組紐

髪の毛を美しく見せるため、7色の紐が複雑に編まれた組紐。

《胸(胴体)装備①》和風ドレス

色とりどりの薄手の布を30枚近く重ね、着物(どちらかといえば十二単擬き)仕立てにしたドレス。後ろ襦袢は、背中から長く伸びるトレーン状になっている。

《胸(胴体)装備②》肌襦袢

純白の肌襦袢。

《腰装備①》袴

緋色の袴。

《腰装備②》束帯

《足装備》高下駄

《付属装備》巨大扇子

【解説】

聖女・聖女姫の職を持つ者が、神事・祭事等で祭祀を執り行う際に身に纏う法衣のセット。その法衣に神々がいろいろと弄繰り回したため、ただの布の服がいろいろと便利な能力がついた。一般の法衣には、ここまでの能力はなくただの布の服である。

【付与効果】

破壊不能・体格補正・環境補正

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


式典や催事くらいしか着る事のない服なので、この服を着ている僕はとても貴重なのだ。


閑話休題。


大会終了から8ヶ月ほど過ぎているが、その理由は、僕が勇者君に追われる毎日を送っていたからだ。


本当にあの勇者、生前は僕を奴隷のように扱い、虐め抜いていた親玉のくせにね。お前のせいで、生前の僕の家族はバラバラに引き裂かれてんだぞ。

僕の正体を知らない今は、仲間に引き入れたくて必死なのが、なんだか滑稽に思えてくる不思議。僕の中身が『武蔵出雲』と知ったら、どんな反応をするのかな?

(生前)のようにまた虐めるのかな?

それとも、本物の奴隷にしてこき使うのかな?・・・・まあ、今の僕を、奴隷にすることは不可能なんだけどね。

どちらにしても、ろくでもない未来なので、勘弁してもらいたいところだ。


勇者君のせいだかどうかは知らないが、転生する際も、因果か何か知らないが、僕はこの世界の家族を知らない孤児だ。

でも、今はアスカ君やトモエちゃんと本当の家族になったし、家族同然のサツマ君たちもいる。

久しく忘れていた、家族という温もりに溢れた楽しい毎日を過ごしている。今の環境を破壊するバカがいたら、僕はどんな事でもしそうな気がする。

・・・・・まあ、憎しみや憎悪といった負の感情を増幅する行為は、神様から聞いた話からすれば、この世界の魔王の力を増幅する行為そのものなので、あまり多用できないししたくないと思っている。

勇者君に対しての復讐としてなら、それはそれで楽しそうだが。


閑話休題。


勇者君の言い分の理解はできるのだよ、これでも。

(この世界にいる聖女様は、何人いるのか知らないが、)大部分の聖女様は、神殿ないし教会に身を置いているのだから聖女様と呼ばれているのであって、僕のように野良で聖女様と呼ばれているのは少ない。

それはもともと、聖女様はすべからく修道女だからだ。回復魔法を扱える修道女の中から、ある日神様の1柱が『お前を聖女にする』と、神託を下すことによってそう呼ばれるようになる。

今の僕は、この世界に来た時から聖女だったが、僕のもとになった『元オストラス王国第2王女、イズモネーゼ=トゥルフ=オストラス』という女の子も、本当の家族を失い育ての両親のもとで修道女として、村はずれの小さな教会で生活していた。

つまり、僕もこの世界では、修道女としての生活があったという事だ。転生設定を読む限り、そのころから僕は、結構な回復魔法の使い手だったみたいだ。


話はそれたが、勇者様ご一行には、現状ヒーラー役を熟す人修道女や修道士がいない。そうなると、戦闘時の回復にはとてもお金がかかる。

各地にある神殿根治療してもらうには、お布施と呼ばれる治療費が請求される。このお布施、実は身分と権力によって、同じ治療でも値段が違う。それは、仕方のない事だ。

何事も、運営していくにはお金がいる。神殿や教会が経営する治療院は、お金のない一般庶民により安く治療を行うため、金持ちの豪商や、王侯貴族に対しては、ぼったくり同然に値段設定になってしまう。そして、そういった連中は、専属の治療師がいるので、普通はぼったくり価格でも構わない事になっている。

また、そういうものだと、初めからわかっていることなので、ボッタクられても文句を言う者はいない。


話によれば、勇者として魔王を倒す仕事をするため、いろいろな便宜は図られていたらしいが、神殿や教会での治療の際は、身分の上下で治療費が変動するためぼったくり料金で治療を受けていたみたいだ。

もちろん、お薬や回復薬ポーションによる治療方法もある。しかしポーションの値段は、地球にあったゲームの中のポーションのように、回復量によって値段が変動する。お薬にしても然りだ。

そして何より、消費期限が設定されており、お薬の場合は約1年、ポーションの場合は10日~1か月となっている。

そして、たいていの薬やポーションは、1度使用すると、1時間~1日間を置かないと再使用できない事になっている。また、用途が同じものを連続して服用できないし、違っていたとしても成分によっては服用できない場合もある。

これらを守らないと毒物に変容してしまう性質のものも存在している。

この辺りは、地球でも同じだったので文句は言えないがね。


そんな理由から、ヒーラーを探していたそうだ。もちろん、ヒーラーの代用として薬剤師も探してはいるみたいだが、どちらもうまくいっていないらしい。

そこに現れたのが僕だ。

当然、高度な回復魔法を操る僕を欲しがるのは道理であるが、僕はすでに冒険者パーティ『ジャポニクス』のパーティメンバーでありリーダーでもある。

何とか移籍を考えてくれと、大会終了から約4ヶ月間連続で、煩く鬱陶しい勧誘を勇者君がしてきたため、9月の頭あたりに僕のほうから神殿の庇護を求めたのだ。

本当に鬱陶しい事この上ない。

勇者様ご一行は、僕を仲間に引き入れるために、わざわざ僕がいるここツゥアイライド王国王都に仮の本拠地を構え、ここから討伐を行うほどだ。

位置固定型転移門ポータルゲートのおかげで、一度でも行った事のある場所ならば、何処にだってすぐに行く事ができるゲームみたいな世界だ。なので、どこに本拠地を構えていても、どうにでもなる世界でもある。

彼らは、この仕組みを僕を獲得するためだけに利用した。


逆に、神殿側としてみれば、この国では数百年の長きの間、聖女様に恵まれなかった。

理由はともかく、『聖女姫』の称号を得た僕が、神殿に籍を置く事を真剣に考え始めたため、二つ返事で了承してくれたわけだ。

ちなみに、神殿専属の聖女になることを了承した僕が、世界神・魔術神・武術神・快癒神・技能神・美術神の6柱の加護を持っている名実ともに『聖女姫』だという事は、すでに大神殿の上層部には、最初の接触の段階で伝えてある。

ちなみにこの時、『異世界の祓魔師エクソシスト』という職の就いているフタバちゃんも同時に神殿に籍を置く事になり、祓魔師エクソシストになるために本格的な修行を開始している。

で、いろいろと神殿側と話し合った結果、僕の聖女叙任式は、招聘する各神殿側の調整もある事から年末年始に行われる『新年祝賀の祭祀』にする事が決まった。

聖女叙任式といっても、神殿のお偉いさんから『あなたを聖女に任命します』といった事を言われるのではなく、僕が、今回行われる神事をすべて仕切るのです。


この年末年始に行われる『新年祝賀の祭祀』までの4ヶ月間にも、節目節目に大きな神事が控えている。

神殿に籍を置く事になった僕は、この間に行われる大きな神事には絶対参加となるが、それ以外の細々とした神事は自由参加となっている。神殿に籍はあるとはいえ冒険者である僕は、年明けからもこの状態は変わらないとは思うが、神殿行事に大きくシフトしていく事になるのは明白である。

基本的に、ほかの神殿に籍はあるが冒険者という人たちも、この方針は変わっていないのだから。

この4ヶ月間で僕が参加した一番大きな神事は、10月の中頃に行われた『収穫祭』だろう。

なんといっても神殿に籍を置き、非公式ではすでに『アメンラウド大神殿ヴァンコック本神殿第9代世界神眷属聖女姫』という、豪勢な肩書(称号欄にも増えていた)で呼ばれるようになった僕が、公式に初めて取り仕切った神事でもある。この神事の後に、『大地母神の加護』が新たに増えていたのには驚いたが。

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