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WORLD BREAKER  作者: 香月 悠生
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洗礼と真実

まぁ無事(?)ナビの名前も決まったし?まずはHSOのゲームシステムやら世界観を訊こうと思ってたんですよ。




「それがなんでモンスターに襲われなきゃいけないんだぁぁぁ!!!」


今俺は全力疾走している。

HSOを持ち帰った時の速度を生涯ベスト3とかぬかしていたが、今は間違いなくNo.1だろう。


「マスター落ち着いて。まずは対抗策をじっくり練りましょう」


危機的状況にも関わらず、唇の辺りがまたプルプルしてくる。


後ろから、見たことない程鋭い牙を持った獣型のモンスターに追われながら落ち着いて対抗策を練れるくらいなら、最初からアイツなんかぶっ飛ばしてますよナツさん。


「とりあえず岩場の影に隠れましょうマスター」


岩場?アニメじゃないんだからそんなもん都合良く出てこないんですよナツさん。


「ナツさん、岩場がない場合は?」


「戦うのみ♪」


よしやったるわ!覚悟決めろよ俺!


こちとらただでやられるほどよブふぅぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!







「いやだからさ、勝てるはずないじゃん武器もないのにさ。それを泣かれてもこちらとしても立つ瀬がないわけ。」


ナツさんはさっきからえぐえぐ泣いている。彼女の言い分としては私のマスターがこんなにも弱いと思わなかった、ということらしい。


どちらかと言えば俺のほうが泣きたい。

というかそもそもナビを感受性豊かにつくっちゃダメだろ。


「とりあえずこの洞穴の中だったらあの見通しのいい荒野よりかは安全だろ?ナツさんそろそろ今俺が置かれてる立場について教えてもらえないかな?」


「そうね、ナビがいつまでも泣いてはいられないものね」


ちーんと鼻をかむ音が少し遠くで聞こえたあと、ナツさんはウィンドウを360°に展開し、話し始めた。


「貴方はこのHSOの世界の住人となり、仲間と協力してクエストをこなしたり、1人で孤高の戦いをドラゴンに挑んだり、商いを営んで一国一城の主を目指したり、賞金稼ぎとなって気ままにモンスターを狩ったり、暗黒面に堕ちて人狩りをしたり、貴方の好きなように旅をするの」


ウィンドウにはおそらくリアルタイムで、様々な人達が思い思いに活動している。


「なるほどね、好きなようにやれ、か。ステータスとかもあるんでしょ?」


「もちろん♪HP,MP,SP,物攻,魔攻,物防,魔防,技術,素早さ,運,閃きが主なステータスね。ただここには記されてない裏ステータスも数多く存在するわ。さらに職業は200種類以上あるし、スキルにいたっては玉石混交だけど、その数1万以上とも言われているわ」


規模が違うだけで、根本的な部分は通常のMMORPGとさほど変わらないようだ。

ここまでは事前に掲示板で仕入れた情報に間違いはない。


「ただHSOは単純明快なシステムだけど、一つだけ注意点があるの。それはプレイヤーのレベルが10以上になった場合、プレイヤーの死はこのHSOからの追放を意味するわ」


「え、追放って……もう二度とこの世界には帰ってこられないってこと?」


「残念ながらそうなるわね」


予想すらしていなかった。

頭のどこかに、死んでしまえば、所持金やアイテムを没収されてセーブポイントからリスタートというステレオタイプな考えがこびりついていた。


それならば月毎の限定生産という販売形式も分かる気がする。

月毎に弱者を切り捨て、新たな夢追い人を迎え入れる。


背筋に冷たいものが走った。


ただそれと同時に抑えようのない興奮も脳内から分泌されてくる。

上等だ。絶対にこの世界で生き残って、なんの取り柄もなかった自分自身を変えてやる。


「それでナツさん、俺のステはどんな感じなの?」


「そう、そのことなんだけど……」


ナツさんの明らかに曇った声色が、良からぬことが待っているのを予感させた。



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