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ティイズ・キス・仕事たんまり

今のうちにシップを・・・。

ちょっと、待って!

今日はって、何――――――!?


柚木は心の中でツッコム。

そんな柚木を気にもせず、三人はぺちゃくちゃと話す。

が、不意にティイズが、思い出した用に話す。


「そういえば―――――が来るらしーぜ」


来る?誰が?

途中の部分が聞き取れなかったが、何かが来ることはわかった。


「変なのが来ないと良いけど・・・」


柚木はぽつり、と言葉を漏らした。


「んっ・・そーいや、飯まだか?」


「そうだった、まだぁ?」


「うんうん。早くしろ」


「生意気な口利くと、作んないよ?」


「はい。すみませんでした」


おぉ・・食事がここまで効くとは思わなかったよ。

いいこと、知っちゃった★

あははははははははははははははははっ!

特に理由なし↑


ジュウ――――・・・えへへ★うん、上出来!

美味しそうな目玉焼きが出来上がった。

良い具合に、焼けました!

けど・・・・・、作りすぎたような気がしないでもない・・・・。


もちろん、その理由。


あの三人ですよ。


えぇ、奥様。あの三人ですよ。


迷惑な〜。オホホホホッ。


たっく、出した瞬間に食うなよ。


こっちだって、両親に「最近よく食べるわね。太るわよ」とか、言われてるんだから。


はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜・・・。


「あっ、皆、来たよ」


突如、ミルイズが顔を上げ言う。


「おっ」


「マジだ」


「えっ?何?何が来た?」


柚木は、食器を片付けながら、尋ねる。

その時、


パリ――――――――――――――ンッッ


あまりにも突然であったため、柚木は何があったか把握できていない。

だが、自分の上に、また少年が乗っていることだけはわかった。

牙が生えた、少年だ。


「あ・・ありぃ〜?失敗?」


少年はそんなことを普通に言った。

いやいやいやいやいやいや、スットプ!

また普通に、強化ガラスを割らないでよ。

ちょっと、ここの強化ガラスこんな安物かと思うじゃん。


「あっ、どうも。キミが柚木?」


「え?い?あっ?あ・・そう・・そうだよ。あたしが柚木」


「ふ〜〜〜ん・・・皆ずるい!完全果実がご飯だなんて!」


「でしょ?」


「おうっ!便利だぞ!」


便利って何?


「そうっ!うまいぞ!」


あたしゃ、ティイズに食われた覚えはまったく無い。

ん?そーいや、コイツ誰?


「あぁ、コイツはヴァンパイアのゼルーだ」


ティイズが言う。


「よろしくっ!柚木〜★」


似てる。絶対、ミルイズに似てる。

なんか、ワケわからないけど似てる。


「あのさっ、コレ・・・・・・食っていい?」


ゼルーが大量にある目玉焼きを見て言う。


「OKOK!どんどん食べて!」


オイ待てコラ。

そりゃ、あたしが作ったんだよ!

オマエのじゃねーんだカラ、勝手にOKすんな。

ミルイズ、オマエの飯はなくなったと思え。

ザマーミロ!


「オイッ、柚木。今日はオレの番!仕事、手伝ってもらうぞ!」


唐突にティイズが、鎌を持って言う。


「仕事?あぁ、死神業?いいよ・・・・・・・・・・んじゃないッッッ!なんでぇぇ!?」


「あぁ?今日はオレの番だから、溜まった仕事手伝ってもらうぞ」


ダメだ。聞こえてない。聞こえてるけど。

つーか、なんであたしが?

あぁ、「オレの番」か・・・。   


・・・・・・・・・・・ウザッ。


「んじゃ、まぁ。行ってくるわ」


ティイズは柚木を持ち上げ、肩に乗せ、進む。


「えっ?えっ?あっ?えぇ!?ちょ・・降ろして!って、聞けよ!!」


ティイズは激無視をしながら、どんどん進む。

そして、ある鏡の前につれてこられた。

その鏡とは、両親がオークションで落とした、ダイヤがそこらじゅうに散りばめられている、なんとも輝かしい鏡であった。


「じゃーな」


「うん、いってらっしゃい★」


最終的に、鏡の中から「お助けを〜」と言う声が聞こえる。


残った、三人は飽きずに目玉焼きを頬張る。


「・・・・・・・・そういえば、さっき連絡があったんだけど、今死神業大変なんだって。なんか、変わりルファが居るんだって。それも、白い」


「白い死神?変わってんね。まぁ、ティイズも相当な変わり者だよね〜」


「なんで?」


「よく食うから」


「オマエにだけは言われたくないんじゃない?」


「そうだね。そういえば・・・・・アオリは?」


「さぁ?悪魔業じゃん?」


「そっかぁ〜」


そして、二人は懲りずに目玉焼きを頬張る。

よく飽きないもんだ。



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どこ?」


「死神界。おらっ!」


ティイズが、自分と同じぐらいの大きさの鎌を渡される。


「えっ?ぐはぁっ!?お・・・・重ッッッ!」


「そうか?まぁいい。いくぞ」


ティイズはそう言うと、ふわりと宙に浮いた。


「えっ?無理だよ、あたし飛べなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!?」


柚木の言葉が言い終わることなく、柚木は空を飛んでいた。


『・・・ちゃんと、飛んでくださいよ〜』


「ヒイッ!?」


か・・・・・・・・・鎌が喋った!?

確かに、鎌はひとりでに喋った。


『あっ、紹介が遅れました!』


そういうと、鎌からポンッ、とはじけるようにして、可愛らしい灰色のハムスターに真っ黒なコウモリの翼が生えた、ブルーの瞳をしたハムスターが出てきた。


「わあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!?何?何?何事――――――――!?」


「叫ぶな、これは使え魔っていって、オレら死神の手伝いをする、生き物だ」


「・・・・・・・・・・だったら、アンタ自分の使え魔さんに頼んで、手伝ってもらえばいいじゃん」


「あ〜、今アイツどこにいるかわからないんだな〜」


柚木は一瞬気が遠くなった。


「馬鹿。で、アンタは?」


『初めまして、ご主人様。ボク・・・いいやっ、わたくし・・?は、ルモア・ビーズル・ベーキラと申します。えっと・・・男ですっ!』


最初はうまく言ったもの、自分の呼び名で失敗してしまった。


「そっか、あたしは・・」


『存じております。美志奈柚木様でしょう?ティイズから伺っています』


ルモアは、パタパタと空を飛びながら言う。


「そっか、んじゃ、話は早い。あたしの性格ではね、敬語は許されないの。意味、判る?」


柚木は、ルモアを抱き上げ、言う。ルモアは、薄く笑い、言った。


『敬語を使うな、でしょうか?』


「正解。キミもそっちのほうがやりやすいでしょ?」


『もちろんです』


ルモアは、ぶるぶると首を振った。


『じゃあ、お言葉に甘えて。ついでに、ご主人様はなんて呼べば?』


「名前でいい」


『OK』


「どうだ?話し合いは終わったか?」


ティイズが、終わったのを確認して聞く。


『まね』


二人は同時に言う。


「じゃ、いくぞ」


ティイズはそう言うと、びゅっとスピードを上げ、飛んだ。

二人(?)も続く。




「・・・・アレは?」




三人(?)が行った後、そこには、全身白の少女と真逆の真っ黒なハムスターが居た。


「あれは、ティイズ・クローン・・クローンいないけど、と、新入り(?)かわかんないけど柚木・ルモアだよ」


「ふぅん・・・」


「そうしたの?キナ。珍しい」


「そっ?まぁいいよ。早く行こう」


「うん」


二人は会話を済ませると、すぅっ、と消えていった。




ザンッ、と鎌が綺麗な切り線を描いて落下する。


「おじいちゃんっ!?」

「おじいさんっ!」

「お父さん!!?」

「義理父さん(おとうさん)!!?」


家族の声が一気に家に響く。


「――――――――――――――――――――――ッッッッ・・・・」


柚木は息の詰まるような思いをした。

とっても、辛い。

隣のティイズは、唇をかみ締めている。

柚木は、眼に涙があふれた。



柚木には、今は居ない一人の兄がいた。



3歳上の、優しくて面白い、強くてかっこいい、勉強・運動ともに出来た兄が。


その兄の名前は、柚璃ゆずり。女の子らしい名前であった。


柚璃は運動面では、とくにサッカーがうまかった。

いつも選抜のメンバーであったし、多くの大会にも出ていた。

勉強面では、いつも学年でトップ。

家庭科などの面でも、よかった。


なのに、死んだ。


今みたいな哀しい気持ちを味わった。


でも、今のは、他人。


自分のときはもっと辛かった。


止まらない涙。

痛い心。

家族の泣き声。

虚ろな眼。

顔にかぶされた白い布。

花。


イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッッ!!


柚木の周りで狂い、泣き叫ぶ人たち。



――ハッ!



柚木の脳がイキナリ、フラッシュバックする。



天気のいい、

横断歩道。

兄妹二人。

笑う。


その次の途端。


赤い車。

急ブレーキ。

跳ね飛ばされる。

最後の笑み。

飛ぶ体。

叫び。

サイレン。

壁に寄りかかるコドモ。



――思い出した。



柚木は過去に一度だけ、今やっている死神にあった。

それは、ティイズでは無い、他の死神。


真っ白な、雪の少女。


「じゃっ、次行くぞ」


ティイズの声で、ハッ、と我に返った。


「どうした?」


「あっ、なんでもない。ごめんごめん。さっさとい・・・・」


柚木は眼を見開いた。

そこには、雪があった。

いや、少女だ。真っ白な。



「柚木ちゃん?」



その声まで真っ白な少女はそう言った。


白い眼・白い髪・白い肌・白い服・白い靴・その中で目立つのが、真っ黒な鎌。


「誰だ?」


ティイズは、聞く。


「わたしはキナ。皆からは、知ってるでしょ?ルファって呼ばれてる」


「ルファ?」


「変わり者って意味だ」


ティイズは、付け足した。


「きょうは、アナタに・・・柚璃君から伝言があるの」


「お兄ちゃん?」


「そう、「元気に暮らせよ」だって」


「・・・・それだけ?」


「うん。それだけ」


・・・・・・・・まぁ、結構仲良くしてますよ。

ワケの判らないのと。


「それじゃっ」


少女――キナは、くるり、と後ろを向いて去ろうとした。


「待って、ストップ!」


「何?」


「お兄ちゃんに伝えて。「おりがとう」って」


キナは、優しく笑うと言った。


「いいよ、この手紙。わたしが必ず届けてあげる」


「ありがとう、と。あのさ、ワケのわからないのがいっぱいいるけど、家・・来てね。暇だったら」


キナは、これには驚いたという顔になる。今まで姿を見せなかったハムスターとひょこっと出てきた。


「人間のクセにっ!キナはいそがしい・・ふがふどうががふ〜〜〜!」


「レンっ!言わなくていいの!」


キナがハムスター――レンの頬をありえなくほど引っ張り、その言葉を阻止する。


「プッ・・アハハッ!」


「アハハハハハハハハハハハハハハハハッッッ!!!ウケル!変な顔ふぎゃふぎゃふぎゃぎゃぎゃぎゃふふぐぐぐふぎゃ・・」


こっちは、柚木によって阻止された。


「それじゃ」


キナはそう言って、その場から消えた。


「ふがい、ふがい、ふがっづげづだど〜!(痛い、痛い、痛いって言ってるだろ〜!)」


「あっ、ゴメン」


柚木はティイズの頬をつねるのをやめた。

放された頬は、赤く染まっていた。

「っつてーな・・・」


「あのさ、これからどこ行くの?」


「・・・・・・・・・・後3件。事故現場・寺・事務室」


「そっか、じゃあ・・早く行こっ!」


柚木は、ティイズの手を引き、飛んで行った。




「ヴァ〜〜〜〜〜・・はらへったぁ!」


「そうだね・・・」


柚木とティイズは、くたくたになっていた。

最初の2件はどうでもよかったが事務室での仕事がオドロキであった。

地獄か天国か選んで転送するのだ。


しかも、魂の数が半端ではなかった。

そのため、

「うげ∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼・・・じぬ」

であった。



「うっわ〜・・・腹減った」

ティイズは、もうくたくたのくたくたであった。

初心者の柚木が全てわかるわけ無かった。

なので、教えながらやるという、見事な功績を収めたのだ。


「オイ・・・・生気食わせろ・・・」


「ていうか、食べる気力ある?」


無い。確実に無い。はずだが、食事は食べるはずだ。


「ヴ〜〜〜〜〜〜〜〜・・・じゃあ・・・どーすればいい?」


「とりあえず、椅子に座って、ついでに上着脱いで」


言ってる、だけでも疲れるティイズを見て「しょうがない」と言う顔をしながら、柚木は従う。

というか、なんであそこまでためるかな〜?

アレの疲れはモトをただせば、ティイズ本人の責任である。

「はい、脱いだよ」


「どうも」


誤るなら早く食え。

こっちは、異様に寒いんじゃ。

すると、ふらふらな足取りでティイズが歩いてくる。


「うっわー!危険!」


と言う言葉がまさに当てはまる。


「あ〜〜〜〜、すいません。脱いでもらったところ悪いんですけど、やっぱいいや。他の食べ方で行く」


「なんだよ!」


柚木はそういいながらも、感謝であった。

すぐに、着る。


「はい、着たよ・・・次はどうすれ・・・・」


ティイズは、柚木の顔を両手で押さえ、キスをしていた。


ふぎゃっ!?


柚木は心の中で驚いた。

そりゃ、当たり前。

だって、あたし・・・・・・・・・・・キス始めてだもん。


・・・・・・・・・・・キス。してみたいなぁ・・。

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