王子ファンシーランドチェック
「王子ファンシーランドの秘密(仮)」
かつて岡山県玉野市に実在し、多くの人々に愛されながらも閉園した伝説のテーマパーク『王子ファンシーランド』これは、その跡地にまつわる、ちょっと不思議で、最高にテンポの良いお笑いエンターテインメント小説です
王子ファンシーランドチェック
--------第一章:突撃!思い出の跡地--------
「おいケンジ! 本当にここにあるんだな!?」
ハルトは愛車の軽自動車のハンドルを握りしめ、助手席の旧友ケンジに声を張り上げた
「間違いないってハルト! ネットの噂じゃ、あの『王子ファンシーランド』の跡地には、夜な夜なかつてのマスコットキャラクターの霊が出て、キレッキレのギャグを連発してるらしいんだ!」
「なんだそのお笑い霊界は! トホホ、そんな怪しい場所に付き合うなんて、僕の人生もどうかしてるよ!」
車はかつて遊園地があった場所に到着した。すでに閉園から長い年月が経ち、あたりはすっかり静まり返っている。障子から差し込む……ではなく、雲間から差し込む薄紅色の黄昏時が、地面に長い影を落としていた
ハルトが車を降り、背筋をしゃんと真っ直ぐに伸ばしてあたりを見回したその時――
「ウケケケケケ! よくぞ来たな、迷える凡人どもよ!」
爆音とともに、目の前にまばゆい光の渦が巻き起こった
--------第二章:ファンシーな怪人の罠--------
光の中から現れたのは、頭に大きな星を乗せ、全身ピンクのタキシードを着た自称・名誉マスコットの『ファンシー男爵』だった
「な、なんだお前は!?」
ハルトは思わず眼鏡のブリッジを人差し指で押し上げた
「私は王子ファンシーランドの残滓! ここを訪れた者に、全問パーフェクトな爆笑ギャグを叩き込むのが使命だ! もし笑わなかったら……お前たちの財布から一万八千八百円(いやや!)を強制徴収する!」
「そんな理不尽な解約金みたいなルールがあるか!」
ハルトは叫んだが、ファンシー男爵は聞く耳を持たない
「いくぞ! 第一発目! 『布団がふっとんだ!』……どうだ! 爆発的な面白さだろう!」
静寂
夜風がヒュルルと吹き抜ける
「……古典的すぎるわ!」
ケンジが鋭くツッコミを入れた
「くっ、ならばこれならどうだ! 『アルミ缶の上にあるミカン!』」
「それも昭和の遺物だろ!」
ギャグが滑るたびに、あたりには蟻地獄のような気まずい暗闇の霧が立ち込めていく。ハルトはあまりの寒さに、呼吸が「無酸素運動」のように浅くなり、生きた心地のしない強い不安に押しつぶされそうになっていた
--------第三章:大逆転のまほうの合言葉--------
「ハルトくん、諦めちゃだめよ!」
その時、どこからともなく、温かいジャスミン茶の香りと共に、幼馴染のソラの声(幻聴)がハルトの脳内に響き渡った
『そんな時こそ、お腹の底から深く、深く深呼吸をして。背筋をしゃんと伸ばして、あなたの中にある最高のお笑い魂を真っ直ぐにぶつけるのよ!』
「……そうだ、僕だってやられっぱなしで終われるか!」
ハルトは深く深呼吸を繰り返した
「すう……はあ……。すう……はあ……」
酸素が全身を巡り、胸を支配していた暗い疲れの霧は一気にすうっと引いていった
ハルトの顔には、まばゆい朝陽のような最高の元気と笑顔が、実に見事に取り戻されていた
「おい、ファンシー男爵! 本物のお笑いってやつを教えてやる! 喰らえ、僕の頓服ギャグ三連発!」
ハルトは狂ったようにステップを踏みながら、チャイナ仕込みのトップテンに入る実力(自称)の顔芸と、シュールな自虐ネタをハイスピードで連発した
「ぶはっ! わっはっはっ! なんだその動きは! 面白すぎる、全問大正解だ!」
ファンシー男爵は腹を抱えて大爆笑し、ついに地面にひっくり返った
その瞬間、男爵の体はピカピカと光る本物の「ブドウ糖」と「砂糖入りラムネ」に変化し、あたりに散らばった
--------結末:満月のぬくもり--------
「やったなハルト! 全問パーフェクトな大逆転だな! わっはっはっ!」
ケンジが豪快で大きな笑い声を響かせ、ハルトの肩を叩いた
「みんな、笑わないでおクレよ! でも、これで王子ファンシーランドの呪い(?)も解けたみたいだね」
夜になり、すべての丁寧な片付けを終えて帰路につく頃、車の窓の外には驚くほど大きくて綺麗な満月がぽっかりと浮かび上がり、日常生活の楽しさを取り戻した彼らの未来を、いつまでもぽかぽかと温かく、優しく照らし続けるのであった
(乙)
『王子ファンシーランド』を舞台にしたお笑い短編をお届けしました




