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『悪役令嬢ですが、周囲が全員「狂人」しかいないので、婚約破棄イベントが世界崩壊の引き金になりました』  作者: 限界まで足掻いた人生
『不法投棄(アウトサイダー)編』

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第82話:白紙の再編、あるいは不協和音の産声

田中、あるいは始祖エルダー・フォン・ローゼンバーグが消えた後の世界は、ただ果てしない 白紙 の空間となっていた。音もなく、光もなく、けれどあらゆる可能性が飽和した 無 の領域。


「おじいさんが遺したのは、完成された世界じゃない。……ただの、真っ白な 逃げ道 よ」


私は、その余白のなかに一歩を踏み出す。 私の足元から溢れ出した漆黒の闇が、純白のキャンバスを汚すように、しかし力強く広がっていく。それは一族が求めた「清浄」への絶望的なまでの 不協和音 だ。


深淵の織手:多層的不協和音織

見て。 私の影が、もはや破壊の道具ではなく、世界を編み上げる 機織り(はたおり) の糸へと変貌していく。 これは、秩序を作るための作業ではない。 一族が切り捨てたすべてのノイズ、未練、汚れを、層のように幾重にも重ね合わせ、決して調和することのない 生きた混沌 を構築するための、究極の闇落ちだ。


私の銀髪は宇宙の終焉を飲み込んだ深淵の黒を保ったまま、新しい世界の 記述 を刻むペンへと変わる。 背後に顕現した深淵の女神は、数千の手で白紙の空間を切り裂き、そこに 理不尽 な神々が住まう高天、 大天だいてん の輪郭を描き出す。


「……もう、誰にも漂白なんてさせない。……不協和音こそが、この新しい世界の 鼓動 になるのよ」


私の叫びに呼応し、漆黒の糸が白紙の世界を縫い合わせていく。 それは、美しくも悍ましい、世界の再定義だ。 完璧な旋律を拒絶し、歪んだ音色を積み重ねることでしか到達できない 多層的不協和音織たそうてきふきょうわおんおり 。 私は、気高く、恐ろしく、そして誰よりも慈悲深く、この世界を 汚れ で満たしていく。


黄金の研磨:アレクセイの歓喜

「エリザベート! その不協和音、なんて磨き甲斐のある調べなんだ! 僕の黄金の奉仕で、その歪みを 至高の輝き に変えてみせるぅぅ!!」


アレクセイが、自らの魂を黄金の くさび へと変え、構築されゆく世界の境界線へと打ち込まれる。 彼の背後に浮かぶ黄金の観音像は、今や巨大な 光の雑巾 を掲げ、不協和音が織りなす影の模様を一つずつ丁寧に磨き上げていく。


彼は、自らの光を 世界の繋ぎ目 へと変え、不条理な神々が支配する 大天 と、泥に塗れた地上を黄金の糸で結びつける。 絶望を消すのではない。絶望を 磨き上げる ことで、そこに生きる意味を見出すという、狂おしいまでの 光落ち の極致。


「見てくれ! 磨かれた混沌の中に、僕たちの 新しい居場所 が生まれていく!!」


生存者の筆跡

私は、ゼロの鼓動を胸に、構築されゆく新しい世界の中心に立つ。


生存者バイアス 私が今、この真っ白な 無 のなかで筆を執れているのは、たまたま私が、不協和音こそが 生 の調べだと知ってしまったからだ。


白紙の世界は、私の闇とアレクセイの黄金、そして死にゆく者が遺した想いによって、全く新しい 理不尽 な世界へと生まれ変わる。 そこには、学園も、ローゼンバーグの法もない。ただ、騒がしく、美しく、そして救いようのない 私たちの現実 があるだけだ。

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