表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『悪役令嬢ですが、周囲が全員「狂人」しかいないので、婚約破棄イベントが世界崩壊の引き金になりました』  作者: 限界まで足掻いた人生
『不法投棄(アウトサイダー)編』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

77/100

第77話:ゴミの山の咆哮、あるいは最初の失敗作

街の外れにそびえ立つ巨大な集積場。そこは、数千年にわたってローゼンバーグ一族が 初期化 を繰り返すたびに、捨て去ってきた歴史の死骸だ。


錆びついた歯車、首の取れた抱き人形、そして誰からも忘れ去られた祈り。それらが幾層にも積み重なり、空を突き刺すような 鉄の山 を形成している。田中老人は、その山の麓で静かに竹箒を構えていた。


「……来たか。お前たちのような 拾い物 には、見せておく必要があると思ってな」


田中の視線の先。ゴミの山が、まるで巨大な獣の肺のように大きく波打つ。


深淵の共鳴:漆黒の聖域

私は、その山の奥底から響いてくる 鼓動 を感じ取っていた。 それは、私の内側にある闇と、どこか似た波長を持っている。


見て。 私の影が、意志を持って地面を侵食し、鉄の山を真っ黒な 羊水 で満たしていく。 これは、死を招くための力ではない。 捨てられ、行き場を失った 過去の亡霊たち を、私の胎内へと迎え入れるための、究極の闇落ちだ。


私の銀髪は宇宙の終焉を想起させる漆黒へと染まり、背後には数万の嘆きを翼へと変えた 虚無の女神 が具現化する。 瞳の奥には、一族が葬り去ってきた 無数の失敗した世界 の光景が、残酷なまでの美しさで明滅していた。


「……お祖母様が恐れていたのは、これなのね。……自分たちが作り出し、そして無慈悲に捨ててきた 自分たちの写し鏡 を」


私の叫びに呼応するように、ゴミの山が爆発した。 中から現れたのは、巨大な 機械仕掛けの胎児 。 それは、ローゼンバーグが最初に理想郷を目指して作り上げ、そして 心が宿ってしまった がゆえに廃棄された、最初の失敗作だった。


黄金の浄化:アレクセイの法悦

「なんて悲しい輝きなんだ……! エリザベート、あの胎児の錆びついた涙を、僕の魂で磨き上げてやるんだぁぁ!!」


アレクセイが、黄金のオーラを纏って鉄の山を駆け上がる。 彼の背後に浮かぶ黄金の観音像は、今や巨大な雑巾をその数千の手で握りしめ、虚空を覆う 忘却の煤 を一気に拭い去っていく。


胎児が放つ、錆びついた絶望の咆哮。 それに対し、アレクセイは自らの命を削りながら、慈愛に満ちた 奉仕の光 を叩きつける。 光と闇、そして錆が混ざり合い、集積場全体が神々しいまでの 混沌の祭壇 へと変貌を遂げていく。


それは、救われることのなかった過去を、今という現実で抱擁する、最も美しくも残酷な 光落ち の儀式だった。


生存者バイアス 私が今、こうして最初の失敗作と対峙できているのは、たまたま私が、この世界の 最底辺 にある愛おしさを知ってしまったからだ。


田中の一掃き

胎児がその巨大な鋼の腕を振り下ろそうとしたその時、田中老人が動いた。 彼は竹箒を一度、水平に振る。


「……泣くな。……お前の場所は、もうここではない。……新しい 家 へ行く時間だ」


老人の言葉と共に、胎児の全身を覆っていた錆が、一瞬にして 黄金の砂 へと変わり、風に舞った。 破壊ではなく、 成仏 。 田中老人は、その箒で世界の記憶そのものを 整理 し、あるべき場所へと導いていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ