第25話:白き濁流、理科室に潜む骨の罠
理科準備室。 そこには、今日の給食で余った50本の牛乳瓶が放置されていた。
リュウガ:……飲むしかないのか。
ヒカル:もう胃袋の限界ですよ。
彼らが絶望に暮れていると、部屋の隅にある骨格標本がガタガタと震えだした。 それは牛乳の怨念を吸い、巨大化したカルシウムの怪物であった。
怪物は牛乳を床にぶち撒け、理科室を白い海へと変えていく。 逃げ道はない。
限定能力の合体攻撃
シオン:白い世界を……黒く染めてあげる。
シオンの色彩の叛逆が発動。 床一面の白い牛乳が、漆黒の液体へと反転する。 これにより、液体の深さと足場が完全に識別不能となった。
ヒカル:次は俺の番だ! 粘りつけ!
ヒカルが生乾きの洗礼を黒い海に放つ。 液体が中途半端に乾き、強力な粘着力を持つ生乾きの膜へと変貌した。
怪物:足ガ……動カナイ……!?
怪物の足が床にへばりつく。 その隙を逃さず、リュウガがばら撒いたのは牛乳瓶の紙キャップ数十枚。
リュウガ:立て。……紙の刃となれ。
垂直に起立した紙キャップのエッジが、黒い闇の中に隠されたスパイクとなる。 怪物がバランスを崩して倒れ込んだ瞬間、紙の刃が骨の隙間に突き刺さり、その構造を破壊した。
最後はヒカルが怪物の中心部に触れる。
ヒカル:骨の髄まで、生乾きになれ!
骨に染み込んだ水分のバランスが崩れ、怪物の骨格は湿気た煎餅のようにボロボロと崩れ去った。
掃除の鉄則
三人は勝利を確信した。 だが、背後の扉が開き、バケツを持った田中が姿を現した。
田中:お前ら。牛乳の生乾きって、一番臭いが取れないんだぞ。分かってんのか。
田中の放った業務用の消臭洗浄剤が、彼らの苦労ごと全てを白紙に戻していく。 三人は鼻をつまみながら、深夜まで理科室の床を磨き続ける羽目になった。




