27話 鬼の章其の肆
27話です。よろしくお願いいたします。
私は、今回の相談者(仮)の海堂くんから聞いた話を久我さんに話た。
「鬼か…いるにはいるぞ。」
私の問いかけに少し考え込み、そう返答を返した。
「いるんですかっ!?!?」
「あぁ。そもそも昔の陰陽師の使役する式神の元は、大体が元妖怪や鬼を調伏して式神にしていたんだ。」
「調伏…?」
「要は昔、その辺を彷徨いていた鬼とかをいろんな手段を使って、ボコって、手下にしてたんだ。」
脳筋すぎませんか?
でも、鬼は存在すると言うのは確証を得た。
「しかし、人を、しかも特定の一族を呪う鬼とは…どう言うことだ??」
「何かおかしな事がありましたか?」
久我さんはやや考え込むような様子で続けた。
「鬼というの人間一個人を認識することはあんまりないんだ。あいつらからしてみれば人間なんて玩具兼食糧だからな。あったとすれば、それこそ調伏した陰陽師や鬼退治した源氏武者みたいな奴ら以外は。
その海堂って奴の祖先はその鬼に何をしでかしたんだ?鬼が呪いを掛けるって話自体、俺は聞いた事がない。」
「さぁ…?それこそ、海堂くんに詳しく聞いてみない限りは…。」
そんなに異端な内容だたのか。
話をする度に久我さんの眉間の皺が深くなっていく。
「…とりあえず、その海堂くんとやらを今度ここに連れて来てくれないか?」
「つまり、依頼として引き受けると?」
「詳しい話を聞かないとなんとも判断は出来ないからね。」
そう言う久我さんに私は内心穏やかではなかった。
きっと根は悪い人じゃ無いんだろうけど、私は初対面であんな試されるような事をされたのだ。これ以上関わりたくないと言うのが正直なところだ。
「あんまり気乗りがしないって感じだね。」
「…大丈夫です。仕事なので。」
図星を突かれてそれを誤魔化すように海堂くんに連絡を取る私に、そうか。とフッと笑う久我さん。
海堂くんとは今朝の別れ際に連絡交換をした。
連絡アプリで海堂くんに『詳しい話を聞かせてほしいから都合のいい日を教えて。』と送る。
直ぐには返信は来ないと思い待とうとしたが、直ぐに返信が届いた。
『明日の放課後でもいい』
と、短くも分かりやすい返事が来た。
「明日の放課後でもいいそうです。」
「ん。なら、明日の夕方六時にここに連れてきてくれ。」
久我さんはそう言い何処かに携帯で連絡を取っていた。
翌日。約束の時間前に最寄駅で海堂くんと待ち合わせをした。
「雪平。」
「わざわざ、ここまでありがとう。」
「いや。俺から頼んだ事だし、まさか、本当に受けてくれるとは思わなかった。」
そうはにかみながら頭をぽりぽりと掻く。
「海堂くん、私の時みたいに、今から紹介する人には失礼な事をしないでね…。」
我ながあの時のことを引き摺るのは、なかなかに執拗で陰湿だと思うが、私の大切な人たちに不快な思いをさせたくないという思いがあった。
「あぁ。勿論。今から世話になる奴らにそんな事はしないと誓う。」
海堂くんは真っ直ぐに、真剣な眼差しで私の目を見ながらそう言った。
「(きっと、悪い人じゃないのは確かになんだろうな…。)」
少し疑心暗鬼になりながらも、海堂くんを相談所に案内した。
「初めまして海堂くん。私はこの相談所の久我というものだ。君の話は雪平くんから聞いたよ。」
「どうもっす。自分、海堂龍樹っす。」
久我さんと海堂くんは向かい合わせに座り、海堂くんは久我さんを前に大人しく挨拶をした。
私は久我さんの隣に座り、二人の様子を見ていた。
「ふふっ…。」
久我さんが静かに笑うと、私に耳打ちをした。
「確かに、君が渋るのが分かったよ。彼、君が苦手そうなタイプだな。」
「うるさいです。苦手でもこうして仕事として連れてきたんですから、良いじゃないですか。」
楽しそうに揶揄う久我さんの肩を私はペシっと軽く叩いた。
「あの、お二人って、つまり、そう言う関係ですか…?」
私と久我さんのやりとりを見た海堂くんがそう聞いてきた。
「そう言う…あぁ…いえ…彼女とは仕事上の相棒みたいなもので、恋人関係とかではありませんよ。」
「こっ!!!!!!」
まさかの単語に私は固まってしまう。
「そうですか。」
「さて、挨拶も済ませたところで、早速お聞かせ願いましょうか。鬼の呪いについて。」
久我さんのその一言にその場の空気が引き締まった気がした。
「っす。雪平から聞いたと思いますが、俺の母方の家系は鬼に呪われているんです。これがその証拠です。」
そう言って、私に見せた時のように胸元の傷のような痣を久我さんに見せた。
「ほほう。呪いと言いますと、具体的にどのような事が起こるのでしょうか?」
そう言い、久我さんは海堂くん身なりを戻すように促し、海堂くんは衣服を整えながら続けた。
「…この痣がある人間には呪いはありません。しかし、この痣がある人間の周囲の人間に被害があるんです。」
「もしかして、君のご両親も?」
「…はい。」
そう答える海堂くんは、両膝に乗せた手がぎゅっと握り拳を作って、微かに震えていた。
「俺の両親は交通事故で死にました。でも、その事故の日は俺の誕生日だったんです。俺の誕生日プレゼントを買うために、親父と母さんは車で出かけたんです。」
「その時、君はついて行かなかったのか?」
「実はその日、俺、風邪ひいちまって、今世話になってるばあちゃんの家で世話になってたんです。
その日の夕方に警察から電話があって…。電話の前で泣いてるじいちゃんとばあちゃんを見て、風邪のせいで見てる悪夢かと思いました。でも、それは紛れもない現実でした。遺体を確認しに警察署に行きましたが、俺は見せてもらえませんでした。」
「なんで…?」
「遺体が原型を留めていなかったらしい…俺の代わりに見たじいちゃんが、俺を強く抱きしめながら泣いてたのを覚えてる。葬式の時も棺桶は閉じたまま火葬されたんだ。でも、火葬された両親の骨を見てなんとなく察したよ。俺が両親の遺体を見せてもらえなかった理由が。」
海堂くんの語るご両親の話を聞いて、先程の彼への態度を後悔してる自分がいた。
「その後なんです。この後痣が浮かび始めたのが。」
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