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結局悠馬はこってり絞られて襟首掴まれて部長と一緒に署長の所へ決裁を貰いに行く事に。
「どうします?尾形係長も一緒に行きますか?後学のために?」部長が竜星に声を掛ける。
「そうですね〜見学させていただきましょうか?
ついでにその違法賭博場へのガサ入れですか?
それも見学許可を頂きましょう。」
「!!!!」
とんでもない事を竜星が言い出して組対の部屋の皆が固まる。
「それは困ります!相手は拳銃を持っている可能性があります!
貴方にもしもの事があれば、私の首が、いや、署長の首も飛びます!
ヤメて下さい!」部長が思わず立ち上がって断った。
「そうですよ!竜星さん、無理しないで下さい!」
春も必死で止める。
竜星は少しムッとして部屋の皆を見る。
「ここでお世話になる半年は私もここの仲間ではないんてすか?
春も行くなら私も行きたいです!」
意外と強情なのか?全く譲る気配はない。
「オイッ!え〜と、違う!尾形係長!
勉強はできるかもしれませんが、武術の心得も無い一般人を連れて行くのは、
俺等にも負担なるんすよ。
分かりますか?」悠馬がズカズカと竜星の前に仁王立ちし、竜星に文句を言った。
「人に自分の仕事を押し付けておいて
礼も言えない君にとやかく言われたくありません!
私の警備は春にお願いします。
君は春の分も前線で働いて、お返ししなさい!」
竜星は理路整然と返すと、悠馬は時が止まったように
返事もできないで止まってしまった。
確かに素人を連れて行くのはリスクだが、春がSPに
徹して前線を悠馬やベテランに任せれば不可能じゃない。
デスクワークを助けて貰ったのだから、悠馬は春にそれくらいの借りは返さなくてはいけないのは確かなのだ。
「女性に甘えるだけの男なんて、いくら身体がデカくても恥ずかしいでしょう?」
竜星は、ニヤリと少し大きい悠馬を見返した。
「クソっ!」悠馬が自分のデスクに戻った。
隣の席の山本が肩をポンポンと叩いた。
負けである。
「春には私の警備に徹して貰います。
前が足りなければ増員と言う形を取って貰っても構いません。
それなら、部長も署長も責を問われません。
私のワガママと捉えられるでしょう?」竜星が腕を後に組んで部長の方を向く。
「うむ…」部長が下を向いて考え込んでいる。
3人で署長の所へ向かい、部屋に戻って来た時は竜星がニコニコと春のデスクに決裁を見せる。
「僕の警備をお願いしますね。春」勝手に手を取り握手させられる。
「は、はあ…頑張ります。」
春は生返事するしかない。
もしもの時は、春の首だけ飛ぶのかもしれない…
「いや、警察庁を第一希望にしたのはコレを見たかったからなんですよね。楽しみです。」竜星がニッコリ微笑む。
やはり、莉夏に似てる。
大学1年の夏休み、半ば強引に莉夏のボディーガードとして奈良に連れて行かれたのを思い出した。