↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東京ミッドナイト  作者: たま


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
52/62

52

対策室に戻ると誰もいない。

時計を見たがまだ9時だ。

「どういう事だ?」悠馬と春は混乱して隣の組対部屋に顔を出す。

「なんで対策室誰もいないんですか?」

組対は相変わらず部長も山本も潜入から戻った若手達が金髪ピアスのまま報告書を作ってる。

「さあ、神奈川の戦争遺跡に調査行ってた奴らが戻って報告済んだら、そのまま解散したみたいだよ。

やっぱり署長(仮)まだ体調悪いんじゃないか?」山本が目をショボつかせてる。

奥さんと子育て分担で揉めてるらしく実家に帰ってしまったらしい。

すごい憔悴してる。

「春、介護に署長の家行って来い!

身の回りの事出来なくて困ってるらしいぞ!」部長が圧を掛けてくる。

横浜で悠馬と遊んでたのが何となくバレてるみたいだ。

悠馬がペロッと舌を出して笑った。


とにかくタワマンの前まで来た。

あの日以来だが、緊張する。

部屋番号を押して待つと竜星の声がした。

「あの…春です。あの、何かお手伝いする事ありますか?」

「…」無言のままエントランスホールの扉が開いた。

何だかすごく怒っているのか?

今日、遅かったからか?

だが、他の施設は現在一般公開されてるから閉館が早く切り上げられたろうが、

大学の地下要塞は非公開だし、大きさのケタが違う。

見て回れたのは全体の1/3だったし、横浜で遊んでたのはせいぜい2時間くらいだし…

ドキドキしながら玄関まで来た。

チャイムを押す。

がやはり返事はなく扉のノブを回すと鍵が開いていた。

「失礼します…」と小声で言って入り、用心が悪いので鍵を掛ける。

タワマンは意外に開けっ放しの人が多く用心が悪いのだ。

しょっちゅう警察が呼び付けられる。

スーツの上着だけ脱いだ竜星が腕まくりしてる。

「僕もさっき本庁から帰ったとこですよ。

横浜、遅かったですね、どうでした?」

ヒビが入ってる左脇腹を押さえながら冷蔵庫から瓶のクラフトビールを出して座る。

座るのも一苦労みたいだ。

「私、台所使って良ければ何か作りましょうか?」

春も上着を脱いで袖をまくる。

「横浜…」と竜星が再度言う。

流さしてくれる気は無さそうだ。

「施設の管理人さんとボランティアの保全グループの方に中を案内していただきました。

ただ、すごい規模だし立ち入り禁止区域が多くて。

中は迷宮ですね。」遅くなった理由なるか分からないが広大だった事を説明する。

そうしながらキッチンの方へ行く。

「冷蔵庫開けて良いですか?」竜星に聞く。

「どうぞ、でも何も無いですよ。」竜星の言葉通り何もない。

「その管理人さんとボランティアのリーダーはどんな方でした?

旧海軍参謀本部の全容を理解してる人は、そうそう居ません、現代では。」ビールを半分まで飲み、窓際の夜景を眺めてる。

春は、下のコンビニへ行こうとまた上着に手を掛けながら答える。

「え〜、もう80?90くらいのお爺さんでしたよ2人共。

特に管理人は、歯が1本も無いから何しゃべってるか

全然分からなくて…」と苦笑しながら話したら、竜星が急にコチラを睨み付けてきた。

「普通そういう人は入れ歯するでしょう。

それは声を聞かれたくないからですよ!」

「エッ、でももう本当にいつ亡くなってもおかしくない様な…それに昭和から管理人をされてる方だって…」

春がにわかには信じられなくて、

だって殺気とか気配の感知には自信があった。

あの2人には全く無かった。

「歯が無いと若くてもかなり人相変わりますよ!

特に僕らから見たら60代も80代も区別つきません!

悠馬はどうでした?」竜星か矢継ぎ早に聞く。

「エッ、全然…だって退官のお祝いの時に私もお会いしてますが、本当に体型も身長も顔も全然違います。」

春が反論する。

「顔なんかとっくに整形してますよ!体型も絞り込むの平気でしょう、橋立さんなら。

体脂肪10%以下にして歯を全部抜けば、8.90代も可能です。」竜星が時計を見た。

が、諦めたようにまた座った。

「午後会ったなら、もう移動してますね。ハア〜ッ」1人用ソファの背もたれに深々と座る。

「イタタタタ…」深く座ろうとして肋骨に響いたようだ。

「大丈夫ですか?」春が思わず竜星の足元に寄る。

「いっそ折った方が治りが早いそうで、ヒビはかなり時間掛かるみたいです。

不便です。」

竜星がしんどそうに身体をひねる。

「本当にすみません!本当にどうしたら良いのか…」春がオロオロする。

「本当に何でも破壊するしか脳が無いですか?

捜査員としてもボンクラ2人だし!」竜星がいつも通り辛辣だ。

「すみません!でもでも、あの人が橋立さんだとは思えません!

私達の知ってる教官じゃないです!」そこは譲れない。

「声って、人を認識する1番なんですよ。

そこを隠してくるのは絶対怪しいです!イテテテッ」

大きな声も出すと響くようだ。

春は痛がる竜星を見てオロオロするしかない。

「キスして下さい。」竜星が命令口調のまま言う。

「横浜からの連絡、本庁から呼ばれてるのにギリギリまで待ってたんですよ?

どうせ中華街で遊んでマリンタワー登ってたんでしょ?」竜星が詰めてくる。

図星なので目線が合わせない。

「僕をこんな身体にしておいて!

まあ、それは自業自得ですが。

遊んでたのは許せない!

キスして下さい!春から!」竜星が子供みたいにスネてる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。