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「本棚にあったかな?」竜星は橋立教官の国分寺の室内写真をザッと見る。

思うのだが資料やプロファイルはすごい量だ。

まっすぐ積むと座った竜星の顔も隠れる量だ。

それを瞬時に頭にプットし、捜査官の質問にすぐ対応したページを開けるのが、凄くないか?

これは、また捜査官とはちがう能力のような気がする。

「刑法と武術と料理本…しかないよね。

ミッドウェーどころか歴史系は全くないね。」竜星が

橋立教官の本棚の写真をプロジェクターに映すと

悠馬が不満そうにもらす。

「その本棚の木箱、勲章類があった場所に戦争の本あったんだけどなあ〜」悠馬が首をかしげる。

「なんで、歴史書を処分したんだろね?

気になるね…東京から御前崎までの標高差と戦争遺産のある場所を全部ピックアップしてみよう。」

竜星がパソコンをすごいスピードで叩いて、地形図と

戦争遺産を重ねる。

「…これは、面白いね。陸軍も海軍もどうも東京をもう見捨てていたみたいだな。」

竜星がまた無意識にアゴを触ろうとして痛くて手を下げた。

春は何だか会議に居た堪れない。

「多分、東京大空襲の情報は入っていたんでしょうね、軍上層部には。

なので軍部の拠点を多摩川以西の比較的標高の高い場所に移動させようとしてますね。」

歴史が好きな捜査官が説明する。

「特に海軍はアメリカ留学組が多かったので、

開戦前から東京は灼き尽くされると考えていたから参謀本部を横浜にしてますね。」捜査官は結構アッサリと言ってしまった。

どれだけの都民が、あの大空襲で亡くなったか。

当時のマスコミに踊らされて「神の国、奇跡の神国」とか言って舞い上がっていた都民は、

街ごと焼き殺されると言う天罰を受けたのか?


「橋立さんが、こういう事も知ってて今回の計画を立てたと思うと興味深いね。」なぜか竜星は目をキラキラさせている。

「豊洲の土壌汚染でマスコミに踊らされた都民に殺された我が子の復讐に…これは使うな!絶対!」

竜星は思わず膝を叩いた。

その瞬間悲鳴を上げて倒れた。


「無理し過ぎです!」病室のベッド横で春が怒っている。

「でも僕をこんな身体にしたのはアナタなんだけどな…」竜星が苦笑する。

やはり打撲だけでなく肋骨にヒビが入り内臓類も内出血していたらしい。

会議中どんどん変な汗がダラダラ脇や背中から吹き出るからおかしいとは思っていたらしい。

開腹手術するほどではなかったが、絶対安静を言い渡された。

「やはり身体を触られるのが嫌なんですか?」竜星が聞く。

「医者にもかなり説教されたんですが…嫌とかそんな気持ちは無いんです。」春が腕を組んで悩む。

「単純に口はご飯を食べたりで使っているので平気なんだと思います。

だから慣れなんだと思いますよ〜

だって、ほらコンタクトを最初入れるのも大変じゃないですか?」と春なりに説明する。

が、だからといって暴れたりはしない、普通の人間は。

「だから竜星さん、私と付き合うのは諦めて下さい。

アナタの身体が保ちません。

私はこのまま滅びます。」春は頭を下げる。

「…いやです。結構ここまですでに命を張ってやってきてます。

それにこのままじゃ、悠馬君の思う壺です。」

竜星がキッと病室の外をにらむ。

病室の外には護衛で悠馬がいるはずだが…きっと喫煙所で休憩してる。

「?」春は意味が分からない。

「あの状態のアタナでも彼なら抱けます。

いつか焦ってとか、魔が差してアナタが気を許したら

可能なんですよ!

その時、僕は、僕の気持ちはどうしたら良いんですか?」竜星がちょっと涙目だ。

「アナタが彼の方が好きなら諦めもできますが、

僕の方が好きなのに身体の問題で彼しか無理だなんて!

そんなのあんまりです!」

絞り出すように身体中固定されて包帯ぐるぐるの竜星が吐き出した。

「じゃあ、贅沢言わないで縛ってくれますか?

私だってアナタのキスすごく気に入ってます。

ずっと縛る訳でなく、慣れて身体の警戒が解けるまでで良いですから!」春が少しキツめに言う。

竜星が何か言おうとしたが、かぶせるように春が言う。

「嫌ならもう諦めて下さい!」春がそう言うと竜星は黙った。

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