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「えっ、もう今日で東京戻れるんですか?」
ホテルを引き揚げると聞いて春が小躍りする。
やっとこのセクハラ三昧から抜け出せるのか!
それだけで嬉しい。
「ええ、僕の予想が正しければ帰れます。
今日は、春と悠馬に頑張って貰います!」ニッと竜星が笑う。
いつの間にか悠馬も呼び捨てになってる。
このセクハラコンビは師弟関係でも結んだのか?
「車のある場所が分かったんだって。」悠馬がハイヤーの前席から後ろを向いて話す。
昨夜2人でこの一帯の地形をパソコンで見ていて竜星が閃いたそうだ。
昨夜、結局3部屋あるのに1部屋で布団を並べて寝かされた。
竜星のパソコンで2人でエロ動画見だしたので春は布団を頭からカブって寝ていた。
そのついでに付近の地形図を見ていて竜星が車の隠された場所が分かったそうだ。
春は寝ていたので知らなかった。
「まず発電所行ってプールを見せて貰って、
ついでに最上階から昨日の地形図が正しいのか確認しましょう。」腕を組んで竜星が澄ました顔をしてる。
もうすっかり春の中ではエロ魔王であるが。
「どうして炉のプールの中まで見たいんですか?
どれだけ爆弾のプロでも炉は入れませんよ。」春が疑問を投げ掛ける。
「う〜んと、橋立教官の教え子で警察を辞めた人間も追跡してるんですが、
その中に気になる就職先の人達が居たんですよ。」
どこまで話すか?悩むように竜星が迷いながら話す。
「誰ですか?」悠馬も聞く。
「6期の岩永さんと8期の木崎さんです。分かりますか?」春と悠馬は1期だからかなり後輩だ。
「あっ、私は亀有署で一緒でした!
でも、橋立教官のお祝いとか全然顔出したこと無いですよ。
どっちかと言えば、輪島と一緒で反発してた感じでした。
ヲタクだから、ああいうノリ嫌いみたいで…」春が思い出しながら話す。
「2人は同期ではないんですが、同じサイバー犯罪室だったみたいです。ご存知でしたか?」竜星が春に聞く。
「俺、警察学校出てから組対しか経験ないから全然分かんねえ〜」会話について行けず悠馬がふくれる。
「アンタが特殊過ぎんの!
普通は地域や交通や色々経験して、この中で適性ある場所に配置されるの!
アンタは危険過ぎるから、組対以外はどこも受付けてくれなかったんだよ!」春が叱る。
「そうですか?悠馬は知らないのか…」竜星が少し意外そうだった。
「警察辞めて、どこに就職したんですか?」春が聞く。
「つくば学園都市です。警察でサイバー研修受けてる内にプログラミングに適性があったんでしょう。
ロボットのプログラミング会社に2人で就職したんですよ。」
「へ〜っ、スゴい!特に大学そっちじゃなかったと思うけど。」春が感心する。
「防災救助ロボットの開発やってる会社です。
が、どうもそれが引っかかるんですよね、僕的に。」
竜星が昨日電話で長く話し込んでたのはその為らしい。
「その会社で開発中のロボットが数体盗まれたらしいんですよ。」竜星が険しい顔になる。
「エッ、そんなもの盗み出しても動かせる人がいないと!」春が驚く。
「でしょう?それにかなり重量も有るらしいんですよ。どう考えても複数でないと運び出せない。」竜星が首をひねる。
セクハラしながら、そんな事も考えて悠馬とエロ動画見て、ついでにグー◯◯アースで地形も見ていたのか…
春は公務員試験制度の有り様に疑問を感じる。
「それと原子炉のプールの中見るのと、何か関係あるの?」悠馬が会話に入れずシビレを切らす。
「まあ、それは中を見てから追い追い。」竜星がまた
ニャと笑う。