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「71条は大げさ過ぎませんか?」

悠馬がスゲ〜嫌そうに竜星の荷物を持ちながら文句を言う。

「いやいや、二宮夫妻は警察時代爆弾処理のエキスパートだったそうじゃないですか?

今回調べるまで、ただの元警官として御前崎の原子力発電所で働いてたなんて!

同期でも危惧する人はいなかったんですか?」

新幹線の個室で先に座った竜星が鋭く春もにらむ。

「いえ、同窓会には毎回顔出してましたが、農業でなかなか食えないから

近所の工場にバイト行ってるとしか聞いてません!」

春が言い訳する。

「すでに御前崎にはSATを配備しました。

が、セキュリティを全部入れ替えるのは間に合いません。

稼働してないので最低限の人数で保守点検をしていたと。

二宮夫妻は実質的にメンテナンスのリーダーだったそうですよ!

3年間も!」

確かに竜星から聞くとエラい事だと思う。

だが、退官祝いに来てた2人は移住して良かったと

農業の苦労より収穫の喜びを語っていたのだ。

のほほ~んと。

そのイメージが頭から離れない。

「とにかく橋立教官と二宮夫妻を生きて捕まえて下さい。

資源エネルギー庁に再稼働を待ってくれと頼んだのですが、

どうも本気にしてないのです。」竜星が長い指の先をカリカリと噛んでいる。

警察もだが役人の世界も一枚板では無いようだ。


「しかし、どうやって橋立さんが原子炉狙ってると分かったんですか?」悠馬が竜星の荷物を棚に置いてから個室のアチコチをチェックしながら聞く。

「輪島さんのおかげですよ。

娘さんの部屋のメモをね…カプセルを飲み込んでたんですよ。」

「えっ?輪島教官がですか?」春が驚く。

そう、自分も殺されると覚悟してたんでしょうね。

司法解剖医は輪島さんと長い付き合いの方みたいですね。

彼から情報提供がありました。

さすがSPのチーフを長年やった人である。

ヤラれてもタダでは殺られなかったようだ。

「そのメモは夫婦へ橋立教官からの指示が書かれていました。教官の筆跡は特徴があるので、生徒なら分かるそうです。」竜星が悠馬の顔をジッと見ながら話す。

特に悠馬から感情は感じない。

「貴美子はどうやってそれを手に入れたんだろ?」

春が素朴に疑問を投げ掛ける。

「どうも夫婦は定期的に収穫した野菜を橋立さんに送ってたみたいですね。

そして教官は礼状を書いてデパートからお菓子と一緒にお返ししてた。

それを輪島貴美子さんが言い方悪いですが、掠め取ったみたいです。」竜星が苦笑する。


「そうか!それを私に見せようと!」春は合点がいった。

子育て中の澤井に話したけど相手にされず、証拠を探して見つけたんだ!

「念の為、コピーを部屋に置いていたんでしょうね。

お父さんの輪島さんが警察が入る前に見つけて保管して解けないカプセルで飲み込んだのでしょう。

お二人の父娘の連携プレイのおかげで発覚しました。」

そう春に話しながら、竜星の目は窓際の悠馬に注がれている。

「スゲ〜な。思い付かないわ!俺なら…」悠馬は笑いながら返す。



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