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「…卑怯だな」竜星が目を閉じる。

「えっ?」春が聞き返す。

「僕が貴女に気があるのを利用するんですね?」竜星がまたあの流し目で見てくる。

「そんな…ただ今1番情報を持ってる可能性があるのが

竜星さんだろうなと思っただけです!」

春が真っ赤になって言い返す。

「貴女だって橋立教官の教え子だ。

つまり容疑者の1人なんですよ。

ここで(ほだ)されて、警察上層部の思惑おもわく)をもらしたら…

橋立教官に筒抜けになり、全て台無しになる可能性だってある。

そんなミスする奴は、警視総監候補から脱落ですよ。」

立てた親指を下に向ける。

墜落すると言いたいのか?

「…分かりました。答えなくて良いです!

本当にだんだん竜星さんと言う人が良く分かってきましたよ!」春がむくれる。

育ちの良い品行方正なボンボンと思っていたが、かなり

ひねくれた性格だ。

ある意味、警察組織に向いた人柄だ。

だが、春も警官だ。負けてはいられない!

「じゃあ、1つだけ!

教官が10年警察学校で教えていた期間の卒業生のラインの同期板をここ数日監視確認したと思いますが、

娘さんの自殺話が出ていなかった板は、私世代以外にありましたか?」春が質問する。

竜星の瞳が一瞬見開く。

「…どうして!!」身を乗り出した。

そこでハッと我に返り座り直した。

春がニヤリとして「ありがとうございました!」と礼を言う。

そう、悠馬は知っていた。

だが、春の同期のラインには全くその事に触れる話は、出なかった。

隠されていたのだ、意図的に。

一部の人間だけが知って、他の同期には伏せられていたのだ。

輪島貴美子は他の世代から聞いたのかもしれない。

だから、自分達世代だけ話が伏せられている事に不信感を持ったのだろう。

そして調べた。

何かを掴んだ。

それを春に知らせようとして殺されたのだ。

「あ〜っ、ダメだなあ〜僕は。」竜星が天を仰ぐ。


「安心して下さい。

今の質問をするのは、犯人グループじゃないからするんですよ。

犯人グループなら分かりきってるから質問しません。」

春が平たい胸を叩く。

「そんなの分からないじゃないですか!

僕なら相手がどこまで把握してるか?

質問しますよ、きっと」竜星が顔を伏せる。

春がフフンと鼻を鳴らして足を組む。

「私はしませんね〜

そんな回りくどいこと。」

竜星が春のその様子を見ながらため息をつく。

「本物の天然ってスゴいですね〜

それ自分はバカだと言ってるのと同じですよ。」

「!!!!」

思わず島唐辛子を竜星の目にぶち込みたくなったが我慢した。

未来の警視総監かもしれない。

自分の首を絞めることになる。


その時、鈍いドンドンと言う音が響いた。

部屋の総ガラス張りの壁を叩く莉夏の姿が!

バーのスタッフに取り押さえられていた。



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