表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/62

15

結局、橋立教官の生徒の拘束は3日間で終わった。

あまりに長く教官を務めていたため、卒業生を拘束すると警察が回らないのだ。

熱烈な信望者も多く、今回の橋立教官の事件に対する警察や都の動きに反発する警官も多かった。

悠馬のような意見を口にする者も多かったのだ。


署長室から出てきた竜星を春が呼び止める。

あれから食事に誘われる機会も無くなった。

悠馬と話していたのを聞かれたのかもしれない。

だが、そんな事より気になる事が多すぎる。

「すみません。今夜、マンションに伺って良いですか?」

春の申し出に竜星が驚く。

「うちはラウンジありますが、酒とツマミくらいで

フードの提供ないですよ。」根に持ってる気がする。

「食後で良いんですが…では、テイクアウトで何か持っていきますよ。」春がため息をつく。

「警察関係者がいない場所が良いんです。

お台場のレストランだともしもの事もありますし。

では、後ほどよろしくお願いします。」

ものの1分だけ話して、そのまま組対に戻ってしまった。

組対の部屋ではなく1階の受付け奥の署長室まで来たのは、

組対のメンツに聞かれたり見られたくないと言う事だろう。

「気付かれたのかもしれないなあ〜」竜星は呟いた。


オリンピック競技場跡地に建つタワマンへ仕事上がりの春が来た。

この間置いていかれたロビーのソファで竜星が待っていた。

春の両手には大量のエコバッグが携えられている。

「すごい量ですね。」竜星が驚く。

「竜星さんには、色々ご馳走していただいたので。

食べ切れなければ冷凍保存できるものを店の人に見繕って貰いました。」

33階のラウンジまでのエレベーターは意外と長い。

「変わった香辛料の匂いですね。」竜星が春に聞く。

「きっと泡盛の匂いではないですかね?

組対で良く行く沖縄料理屋さんでオーダーしたんで。」

ラウンジの奥まった席へ案内された。

本物の暖炉がありガラスケース越しに炎がユラユラ揺れてる。

「こんな場所もあったんですね。知りませんでした。」

春がキョロキョロする。

「貸切スペースなので扉を閉めれば音漏れしませんよ。

まあ、総ガラス張りなので中の様子は丸わかりですが。」

春は持ってきたラフティーやミミンガーのサラダ、ジーマーミ豆腐を広げる。

「東京生まれ東京育ちの竜星さんはご存じないでしょうが、

警視庁は全国からの寄せ集めなんですよ。

最も多いのは北海道出身者ですが、2番目は九州沖縄出身者なんです。

だから、こういう郷土料理のお店を打ち上げに良く使うんですよ。」

春がゴーヤチャンプルとニンジンシリシリを皿に盛り付けながら話す。

「なんで地元警察に入らなかったんですか?」竜星がバーから持ってきたカクテルをテーブルに置きながら聞く。

「いや、私もですが地元警察を受けて落ちた人が多いんですよ。

定員が少ないですからね…地方警察は。」

春が肩をすくめながら話す。

「そうですかあ〜勉強になります!

でも美味しそうですね♪珍しい物ばかりなので。」

1口づつ味見しながら竜星が

ミミンガーが豚の耳だと知って少しショックを受ける。

「豚足は好き嫌いがあるので持って来なかったのですが…私は好きです。

北海道出身の警官に熊の手を食わされた時はちょっと泣きましたが…」

そんな話をしている内に竜星の機嫌も直ってきたようだ。

春は核心に迫る。


「今回の橋立教場警官の拘束解放は、泳がせて犯人グループをあぶり出そうと言う事ですね?」

竜星の目をしっかり見ながら聞く。

竜星がカクテルを飲みながら夜景の方を見る。

今夜も東京は光の海のように輝き、手前の漆黒の東京湾と対比をなしている。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ