沖縄∼家にハブが来た!2∼
サンゴさん『このままじゃ安心して眠りに就けんので誰でもい
いから助けてください!』
掲示板に早速ハブの写真が添付され、威祐のメッセージが書き込まれた。
”サンゴさん“とは、威祐のハンドルネームだ。
彼はネット上ではそう名乗っている。
少し待っていると、団員からの反応があった。
ミウ『怖いですね』
家にハブが居ることへの率直な感想だった。
サンゴさん『そうなんですよ!何か良いアドバイスあります
か!?』
ミウ『警察に何とかしてもらえないですかね?』
サンゴさん『それも考えたけど、警察の人が噛まれるかもしれ
んと考えるとなぁ……』
ミウ『あ〜』
ミウ『後から後悔するかもですね〜』
サンゴさん『できれば自分で何とかしたいとこなんですよ
ね〜』
何とかして対抗策を捻り出そうとする2人。
するといつの間にか他の団員達も集まり出した。
セラフ『沖縄か』
鎖骨『ヤバすぎだろ』
バイアクヘー『蛇って食えるよな?』
尻尾丸『焼いて食えw』
葉山『ハブ酒作れハブ酒』
威祐はここで助けを求めたことを、軽く後悔した。
所詮は他人事ということなのか、ミウ以外の団員達は好き勝手に書き込みを行なっている。
サンゴさん『真面目に助けてほしいです。何か良い案あります
か?』
ミウ『何か容れ物に誘導するのは?』
尻尾丸『男なら手掴みだろ!』
ベトベト『マングース呼べ』
鎖骨『ところでハブ酒って酒だよな?つくるのは法律的に大丈
夫なのか?』
タッチ『合法やで』
ジャーキー『マジ?』
鎖骨『酒だぞ?』
タッチ『酒税法で禁止されるのは醸造する時と、果物をアルコ
ール度数20パー未満の酒に漬けて発酵しやすい状況を
作った時やで。ハブ酒はどっちもクリアしてる』
セラフ『作ったことあるんかお前』
タッチ『ないで』
鎖骨『ねぇのかよ!』
すっかり脱線してハブ酒の話になってしまっている。
仕方なく威祐は、一番最初のミウの案を採用することにした。
幸いなことに、容れ物には困っていない。
威祐は陶芸品の中から壺を選び、写真を撮って掲示板に載せた。
サンゴさん『これくらいで大丈夫かね?』
鎖骨『おっ?良さげなツボじゃん』
ラズ『手作り?』
サンゴさん『手作り』
ミウ『凄いですね!』
セラフ『凄っ!』
バイアクヘー『速報 ハブ 陶芸家の家に侵入する』
「っと…、後はどうやってハブを入れるかだな」
威祐は一旦自室を出て、玄関まで急いだ。
そこに置いてある箒を取り、再び戻る。
まずハブの側に壺を転がした。
ハブは相変わらず、動じることなくとぐろを巻いている。
壺の口をハブの方へ向くように調整する。
そうしてから、いよいよハブを壺の中へと誘導する時が来た。
緊張で震える手で箒を持ち、ハブを動かす。
思ったよりあっさりとハブの体は移動できている。
しかし、壺の口に着いたその時だった。
急にハブが素早く動き出したのだ。
「うぉおおおおおお!!!!?」
威祐は箒を投げ捨て、慌ててベッドに飛び乗った。
毛布を盾のようにして構える。
ハブは元の場所から居なくなっており、壺だけが寂しく転がっていた。
ベッドに逃げるのに夢中で、行方は追えていない。
「うわ〜…どうするかな……。いや、多分これは……」
今部屋の中で、ハブがすぐに逃げ込める場所といえば……。
威祐には心当たりがあった。
恐る恐るベッドの下を覗く。
「うおっ、居た!」
威祐はすぐに顔を上げた。
ベッドの下の奥に、ハブの姿が見えた。
興奮が治まっていないのか、舌をピロピロと動かしながら動き回っている。
「うわ〜……、ミスったわ〜……」
威祐はスマホに失敗した旨を書き込んだ。
サンゴさん『失敗しましたわ。ベッドの下に逃げ込まれた』
ミウ『あちゃー』
ジャーキー『無能w』
葉山『はよ酒作れ!』
失敗を惜しむコメントと、貶すコメント。
それから、ハブ酒を催促するコメントが書き込まれた。
鎖骨『ハブは今どうしてんだ?』
サンゴさん『興奮してるっぽくて動き回ってますね』
消しカス『ベッド下wところでハブってエロ本読むんかな?』
鱗『流石に人間のエロは理解できんだろ』
ミウ『もう一回誘導できそうですか?』
茶化しのコメントを無視したミウが書き込む。
威祐は少し考えた。
根性でいけなくも無さそうだが、先程のように予想外の動きで噛まれるのは怖い。
サンゴさん『ちょっと落ち着くの待った方がいいっぽいです
ね』
ミウ『ありゃ』
鎖骨『だけどその後どうするかじゃね?』
タッチ『おんなじ方法じゃダメやろな〜』
ミウを含めた他の団員達の悩む顔が目に浮かぶ。
威祐もどうしたものかと悩んでいる時、とある団員から書き込みがあった。
ビースト『だったら助けに行くぜ?この俺が!』




