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エルフの里18話 戦闘開始7 最後の砦が

カミト戦はこれにて決着です

カミト視点



「ミギ」


「なにを言って――」


「ゴォォッッッッンン……」


「ゴロウ!?」


カミトが言い放ったと同時。

 ゴロウの巨大な体に神々しく光を放っている鎖のような物が、両足両手首を縛っていく。


「ゴォォッッ……、ゴ……」


「ご、ゴロウッ!?」


「ゴォォッッ」


抜け出そうと必死にモンスターは手足を動かす。

 その様子にカミトはニヤリ、と普段の彼にはそつかない不気味な笑みを浮かべた。


「……私が負けたらゴロウも一緒に殺すっていうのかしら……?」


「ゴォッッ……」


ルネラの言葉には興味を示す事のないカミト。

 そのまま剣を握り直し、ルネラに視線をぶつける。


「……沈黙が答えってことね。中々に食えない男じゃない、貴方。ますます気に入ったわッ!」


「……」


手に持った長剣を肩まで持ち上げ、無謀にも彼女目掛けてボールを投げる如く飛び放った。

 その動作は肝心の相手に丸見えのため堂々と横へ飛ぶルネラ。


「ウシロ」


「なッ……! うっっ……」


目の前で異変が起こった。

 ルネラが横に避けた瞬間。放っていた剣の姿が消えたのだ。

 地面に紅く血花飛び散る。


「前から飛んできた……のに、背中を刺されるとは…‥ね」


「……」


口の中にある血を吐き出したルネラ。

 と、その時。カミトが頭を手で押さえ、バランス崩す。


「バタンッ」


「ググッ……」


「?どうしたのかしら」


喉から絞り出した声を上げながら、身体ごと地に落ちる。

 どうやら気を失ったらしい。

ルネラは突然の事に驚きの顔を表にするが、すぐに口元を釣り上げた


「……目から光の放ちが無くなっているわね。どうやら、カミト君は力尽きたようね……」


「ゴォォッッッッン!!」


ゴロウを縛っていた鎖も空中に分解した。

  

「無駄な足掻き、ご苦労様。カミト君との戦闘、面白かったわ」


「んんんっ……眠い。なんで俺はこんな……、って危なっ!?」


ルネラがトドメの一撃とカミトを突き刺した。

 が、土に剣が空振る。

寸前で意識が戻り、咄嗟に身を捻り攻撃を避けたのだ。


「全く、これで終わったと思ったのに……。カミト君はしぶとい男の子なのね」


「何を言っているかよく分からないが……、まぁここで死ぬ訳にはいかないしな」


膝に手を当て立ち上がった。

 剣を持つ手に力を入れ、呼吸を整える。


ルネラとは、圧倒的に力差がある。普通に戦うだけでは、押されるだけ


「そろそろ決着をつけるか」


「それもそうね。さっさとお終いにしましょうか」


二人が放つ殺気にゴロウは、まるで金縛りにあったかのように動かない。

 さて、作戦を始めるとするか


「薔薇と私の攻撃を同時に防げるかしら?」


「……なるほど、面白い」


これは逆に使えるかもしれない。

 正面からはルネラ、背後からは薔薇が根を生やして、襲いかかってくる。


火の竜(ドラゴンヘッド)!」


「うぉっ、ビックリしたわ」


火を宿した竜を召喚。

 それをそのままカミト自らの地面に叩きつけ、擬似火の壁にする。

 壁に当たった薔薇は焼き枯れ、ルネラは一旦距離をとった


「良い判断だけど……身体ごと犠牲にするなんて、愚かなじゃなくて?」


「別に俺の勝手だろう?」


「それもそうね」


言葉による意識操作も行う。

 まずは第一段階クリア。次は第二段階に入ろう。

カミトは分身体を作り出し、ルネラを囲む


「……そんな手で私に勝てるとでも?」


「まさかそんな訳無いだろ。ショーは始まったばかりだぞ」


「ふふ、楽しみにしてるわ」


襲ってくる分身をルネラは、次から次へと屠る(ほふる)

 分身体が剣を振り下ろす。身を低くし刃を避け、彼女は薙ぎ払う。


「数で勝てると思ったら大間違いよ?」


「ごもっともだな。違うやり方じゃ無いとダメみたいだ」


分身体が全て消えた。 

 カミトが周囲を見渡すと、薔薇のドームが出来ている。 

これは出られないっぽいな


「どう? これて参りました、と言ったら苦しまずに殺してあげるわ。その身体だと動くのすら難しそうだし」


「はは、冗談じゃないな。勝つのは俺だぞ?」


「そう、なら死に行きなさいっ」


薔薇の茎が手足をぐるぐる巻に縛った。

 持っていた剣が手から離れる。

棘がめり込み、血が次々と流れ出す。


「この状態で勝てると? ふふ、私の勝ちよ。お疲れ様、眠りなさい」


「……それはどうかな?」


ルネラが勝利を確信した表情で、身動き出来ない身体に向かって剣を振り下ろす。

 死に際の中、カミトは不敵な笑みを浮かべた。

 

 それを待っていたんだよ、俺は。


瞬間。『能力一時的限界突破』スキルを発動。

 また同時に、『血液武器生成』で皮膚から出ている血液を短剣に変え、拘束している薔薇を切り落とす。


「俺の勝ちだ」


「まさか、これが隠しーー」


右腕を身体を庇うよう前に出し、ルネラが振り下ろしてきた剣先で切断させた。

 

 落ちていく腕とは逆に、右肩から失った部分から出てくる大量の出血。

 右肩から義腕のように腕ごと剣へと変え、そのまま一閃。


瞬間、ルネラの胴体と下半身が分かれる。


「力差で勝てなければ、工夫して勝つってね」


「次は、私が……勝つ、から、ね?」


ゴロウがルネラを捕まえる。

 彼女は首元に吊るしていたネックレスを手で解くと、その場に魔法陣が現れ姿を消した。


「ッチ、まさか転移ようのアーティファクトを所持してるとは……」


ホッと息を吐く。


「まぁいい、とりあえずは勝ちだ」


安堵したのも束の間、里の中心部から聞いたことのある咆哮が耳に響き渡る。


「グゴォォォッッッッ」


後音のする方向に振り向く。

 確かあの辺は……クロロが居たはずだ

 

「おいおい、あれってまさか……」


空に浮かぶモンスターを目にすると、カミトは驚愕な表情を浮かべた。

 黒いオーラを絶え間なく放ち、顔はライオン尻尾は蛇、翼はドラゴン。


 あれは間違い無く、イグリス王国に出現したダークキメラだ

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