表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
83/177

エルフの里16話 戦闘開始5 助っ人

シルフィー視点



シルフィーは負った傷により身動き出来ない。

 目の前まで迫ってきた黒フードの男は、剣を振り下ろす。


「ブシャッ」


切り裂く音が聞こえると共に、液体が辺りに飛び散った。

 剣を納めつつも男はゲスな笑みを浮かべる

  

「よし、これで後はーー」


「ん。弱い者いじめはいけない」


「えっ。あ、アクアさん!?」


男がこの場を去ろうとシルフィーに背中を向けて歩き出そうとした、その時。

 不意に背後から人の気配を覚えて振り返ると、何故かそこには水星の魔女ことアクアがいた。


「なっ、アクアだと? まさかSランク冒険者、水星の魔女のご登場ってこったぁ。しかし、先程の嬢ちゃんまで生きているとはねぇ……?」


「ん。僕のスキルで作った水の分身体を切っただけに過ぎない」


そう、今彼女がいった通り先程男が切り裂いたのは、アクアの水で出来た分身体だったのだ。


(参考までにアクアのスキルを載せておきます)

〜〜〜〜


【スキル】

水属性吸収 

 自らに放たれた水属性の魔法は全て吸収され、MPを回復される


氷結化

 斬りつけた部分を凍らせ、HPを永遠に削る。


水分身

 水で作られた分身体を作成する事が出来る


神水

 神の水を出す事が可能。怪我や傷口部分に当てると、回復させる事が出来る


〜〜〜〜


「私も一体何が起こったのか、分かりませんでしたよ……。アクアさんのおかげだったんですね」


「そう。この男は自らの力を過信し過ぎ。死体も確認しないのは、ただの馬鹿」


「……ったら言いたい放題しやがって。まぁいい、ここで水星の魔女も処理するだけだからなぁ?」


「出来る者なら。でも、貴方には無理」


先程からの煽り口調で、男は顔に血管が浮き出てくる。

 ゆっくりと再び剣を身構えた


「クックック。計画変更だ、Sランカーも嬢ちゃんもまとめて始末するだけだぜぇッ」


「やるだけ無駄。貴方と僕だと相性、最悪」


「おぅ、それは俺を恐れているって事だな? へっ、Sランク冒険者は口だけなんだなッ!」


足を踏み込み、すぐ前にいるアクアに向かって剣を振り下ろす。

 が、その攻撃は空振りに終わる。

す、凄いです。あれが現Sランカーの力……。


「はっ? す、姿が消えてーー」


「ん。遅い」


「ぐはっ」


アクアに剣が当たる僅かコンマ数秒。

 彼女がその場で脚を軸にし、くるりと一回転して攻撃を避けると同時に、相手の死角を取った。

 剣のつかで男を一突つき。


長年に渡る彼女の経験が行動を動かせた。


「っな、舐めんなぁぁあッッ」


「気を付けてくださいアクアさんっ。彼か使役する魚達に噛まれると、その部分が腐ります!」


「ん。ありがとうシルフィー」


男は振り向きながらの勢いで、払いをする。

 しかし、またもやそこにアクアの姿は見えない。


「これが強者と弱者の違い」


「なにッ……ぐふっ」


消えた姿を男は必死に探していると、頭上に影が入り込む。それがアクアを捉えた物だと認識した瞬間に、彼の右腕が空に舞う。

 その動作は側で見ていたシルフィーですらも見に映らない。


まるで、迅雷の如くの一撃といでも表せるほど。

 

「ああァァァァァアッッ……。よ、よくも俺の腕をっ……」


「ん。本気出さないと、死ぬ」


「っ。い、いいのかぁ? 俺が全力で戦うと、現Sランク冒険者だってタダじゃぁ済まないぜぇ?」


「ん。やってみなきゃ分からない」


腕を切られた事で、男はますます殺意を放つ。

 アクアはその空気感が伝わっているはずなのだが、全く気にしていない様子。

 

空中に飛んでいた片腕が地面に落ちた。

 それを合図に、男は一ステップアクアと距離をとる。


「ならやってやるぜぇっっ? 後悔すんなよこのクソ女ぁぁぁぁッッッッ!!」


「クソ女じゃない。クソ男」


「死に様を晒せェェッッッッ!!」


言い放つ男は魔法を唱え、アクアの周囲に5個の大渦巻きを発生させた。

 更に、それと同時に凶悪な歯を持っている魚や巨大な鯨までを、地面から出現させる。


「いけぇぇお前らァァァアッッッ」


「ん。ちょっと予想外」


「そうだろそうだろぉぉッッ。全て一気に喰らわせてやるぜぇぇっっ!!」


男の言葉と反応するように、アクアに向かって魚達が一斉に飛び襲ってくる。

 真上と地面からは魚の大群、周囲は渦が。


彼女は腰を落とし剣を構え、目を瞑る。不動を保つかのように。


「ん、絶対絶命。でも、負けない」


「んなこといって、手は動かない……。はっ、?」


「えっ!?」


男だけでは無くシルフィーまで戸惑いの声を漏らす。それもそうだ。誰もがこの現状を理解出来る訳がない。


 アクアが剣を一振り。それだけで、周りを取り囲んでいた魚や渦潮を()()()()()()()()。この場の

 時を止めたかのような光景。それはまるで、神をも超越する一撃のよう。


「な、なななんなんだよぉぉっっ」


「『静寂なる獄氷(フォレスティア・ゼロ)』魔王が使ったとされる魔法の一つ。家系で代々受け継がれてきた奥、義……」


「バタッ」と力尽きたように倒れるアクア。

 これだけの常人離れした技をやり遂げたのだ。身体には、それ相応の負荷が掛かったのだろう。


「っっひひひっ。どうやら助っ人もここまでの様だなぁ、嬢ちゃん? 運の尽きだ……ぜぇ、?」


「最初から戦っていたのは私です。アクアさんだけが、敵では無いんですッ」


頭に矢が当たり、アクアと並ぶ様に倒れる男。

 実は最初に、水星の魔女の水分身が切られて飛び散った時。


 その水分は、神水と呼ばれるスキルで出来ていた。散った液体をもろに浴びたシルフィーは、身体中の傷らが全て癒えり、弓矢を引けたのだ。

  

「くっ、そっ……。こん、な、奴ら……に」


「私達の勝ちです」


「……」


男は既に事切れていた。

 こうして、シルフィーはこの戦闘を乗り切ったのだ

気になった方は、ブックマーク登録、高評価をお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ