表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/177

エルフの里14話 戦闘開始3 目的は

カミト視点



「ここら辺りで声が聞こえたような……」


浮遊飛行しながらどことなく探索しているカミト。

 風も吹いていないし、方角はあっているはずなんだけども。


「……ん? あれ、か……。っ!! 危なっ」


「オボォォォッッ」


石か何かを地上から放ってきた。

 目的のモンスターを発見したと同時に、あっち側もこちらの存在に気付いた様子。


「あら。ゴロウの攻撃を避けるとは、貴方中々の者ですわ……ん? どこかで見た顔ですこと」


「何? 俺はあんたなんかと会った記憶が無いんだがな」


目的モンスターの横に立っている、黒いフードを被っていた人影が口を開いた。

 

「ならばこれでどうかしら? 坊や」


「その呼び方に顔と言えば……なるほど、確かにあんただけだな」


「あら、私の姿形を覚えくれてて感激だわ」


言いながら身に纏っていたローブを引き剥がすと、魅惑な肌付きが露わとなった。


「覚えてるも何も、数日前に会ったばかりじゃないか? アクア達を襲った悪党さん」


「そんなあだ名だと私の名が穢れるわ。『ルネラ』と呼んで欲しくてよ? 坊や」


指先で自らの唇を誘うように撫でるルネラとという女性。

 彼女は、この里に向かう途中にアクアと戦っていた相手側。その強さは、現Sランカーでさえも押されるほど。


「その坊やは辞めてくれ。俺はカミトだ」


「あら、ではカミト。早速本題だけれども、貴方は個人的に気に入っているのよ?」


「そうかい、ならありがとうな」


「ふふっ、なら良くてよ……。それで、なのだけれども、私達側に来ないかしら?」


「は?」


一瞬言っている事の意味が分からず、素の声を漏らしてしまった


「そう混乱するのも無理はないわ。まぁ、つまり私の仲間にならないかって事よ」


「……なぜ俺を誘うんだ? あくまでも敵同士だろ。それに、お前達は何者なんだ?」


「誘う理由は、単に貴方を気に入った。いえ、本音で言わせてもらうと、カミト君を敵にするのは分が悪いって所かしら?」


ルネラは笑いかけるが目線はしっかりとこちらを捉えている。

 なるほど、俺が断ったら容赦はしないという事か


「それは脅しのつもりか?」


「そう受け取って貰って結構だわ。で、どう? カミト君なら恐らく組織内の幹部には、すぐ上がれると思うけれど」


「だからなんだ? 第一こんな大掛かりな魔法陣を出現させ、各地を混乱に陥れている奴らは、信用に足りないな」


「そうね、ここに来たのは組織に命令されて来た訳じゃない、ただの個人的に行動してるに過ぎないし……」


ぶつぶつと独り言を呟くルネラ。

 何か俺を誘い出す口を考えてるって所か


「……いいわ。ここでの話は内緒にしてくれるって約束してくれるかしら?」


「あぁ。俺は口が鋼鉄のように固いからな」


「そう。じゃあ少しだけ教えてあげる」


過去時は指を立てて説明を始めた。


「まず、私たちの組織はあるお偉い方の力を取り戻すために、動いているの」


「お偉い方?」


「誰かは言えないはね。次に、その目的達成のためには多くの贄が必要なの」


用は力を復活させるためには死者が必要ってことか。

 ルネラは微笑み、こちらの考えていた事を察したかのように口を開いた


「カミト君が思っている事で合っているわ。そこで、よ。貴方がお偉い方の復活を阻害する可能性がある、と組織内でマークされているの」


「話を聞く限りではある程度大きな組織だろ。その勢力をもってすれば、初心者冒険者の俺なんてイチコロじゃないか?」


「突然現れ、Sランクモンスターをたった一人で討伐した君がそれを言うのかしら?」


どうやら相手に俺の情報はリーク済みらしい。

 身元も実力も未知数な分、危険因子と認識されるのも分かる


「さて、これぐらいでどうかしら。私達の仲間になる事を出来れば選んで欲しいわ。カミト君の今後を考えても、ね?」


「……」


「答えは?」


否定すれば命を狙われる、か。

 目を瞑り、一呼吸。


「断る」


「……愚策としか言えないわ。本当に答えはそれでいいのかしら?」


「変える気はない」


「……そう。貴方はもう少し頭が良いと思ったのだけれどね。なら、ここで死んでもらいましょうか」


興味を無くした目をする。一つため息をしてから地べたを踏み込み、こちらへ向かって飛んでくる。


「ゴロウもやっておしまいなさい!」


「アゴォォォォォッッッッ」


下に残られたモンスターは叫び声を上げながら、石をこちらに向かって投げつけて来た


「マズイッ」


「遅いわよ」


「ぐふっ」


モンスターからの投擲物を避けたと思いきや、背後から骨が折れた鈍い音と共に衝撃が伝わった。

 その勢いに飲まれ、地面まで一気に叩きつけられる。


「手加減した私の一蹴りでこのざまかしら? 口だけは達者なことね」


「……何、余裕言っているんだ、? 俺は、まだ戦える、ぞ」


「その口ぶりがいつまで続くか見ごろなことだわ?」


瞬間、腹に酷い痛みが走る。重く速い一撃。ルネラの回し蹴りだ。


「ッ!」


「ふふ、私を最後まで楽しませてくださいまし」


普通、カミトのレベルとステータスから考えても一方的に攻撃されるなんてあり得る事では無い。

 つまり、このルネラという女性は常識の範囲をとっくに超えているのである。


「あははッッ!! ほらほら、もっともっと醜い声を聞かせてくださいなっ!」


「ィッ」


手も足も出ず身体中を何度も何度も蹴られるカミト。

 恐らく、スキルで強化出来ていても同じ結果となっていたであろう。 

 そう思えるほどに、相手が強すぎた


「……つまらないわね。もう少しは保つかと思ったのだけれど、。まぁいいわ、これで終わりよ」


「く……、そ……」


「カミト君の事は気に入ってたけど、どちらにせよ処理しなければならなかったしね。では、またあの世で」


脚を振り上げてからの一撃を喰らい、カミトの意識は遠のいた。

気になった方はブックマーク登録、高評価をお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ