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魔眼賢者の異世界無双〜最強魔眼の力で全てを覆す  作者: 座闇 びゃく
第三章 エルフの里編

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エルフの里11話 数ヶ月の再開

ミドリに手を引かれ、背中越しに足を進める。

 村長宅から五分ほど歩き、住宅街のような場所へと来た。


「ここら辺は僕らと同じで、ここに逃げ込んできたエルフ達の仮設住宅っすね」


「そうなのか。これらは、元々この場所に建築してあったのか?」


「いえ、初めに逃げてきた僕らのエルフの里達が作ったっすよ。大体三日くらいの作業でしたっす」


「三日……? それにしては出来過ぎじゃないかのぅ」


周囲の家々を見回すが、カミトが作った土の家よりも造りがしっかりしている。

 まるで街にある家と変わらない程にまでの見た目だ。


「建築系のスキルを所有しているエルフの仲間がいるんすよっ」


「スキル!? それは本当か、ミドリッ」


「え、えっ。そ、そうっすけど……。カミトさんどうしたんっすか……?」


「あ、ああすまない。後でその人にあわせてもらえないか? 俺はスキルマニアでな……様々なスキルをこの目で見るのが、大好きなんだよ」


戦闘以外で使えるスキルは取っておきたい、と前々から思っていたため、興奮気味に聞き返してしまった。


「なるほどっす! そういうことなら分かりましたっ。後で紹介しますっ」


「良かったですね、カミト! それでミドリさん、ここには戦闘出来る人数はどれくらいいるんですか?」


シルフィーが的を射抜いているエルフ達を見ながら、質問した。


「シルフィーさんの質問っすね。人数で言ったら三十人程度ですっ。ほとんどが、逃げ込んだ者で構成されますっす」


「それじゃあ、この里にいるエルフの三分の一にも及ばないじゃないのかのぅ?」


「おいおい、それだと魔法陣が現れたら一巻の終わりじゃ無いか……?」


「そうなんっす。食料も戦闘員も何もかもが不足しててっすね……。困った物っすよ」


現状は最悪ってことか。俺が手を貸してもいいが……種族間の問題には、あまり口を挟まない方が良いかもしれない。

 カミトは押し黙り、今は様子を見ることにした


「ねーおねぇちゃん、あれ……」


「えっ? う、嘘……」


後に居たヒーナとフィーナ達が別の方向を見て、何やら騒いでいる

 

「どうしたんだ? 二人とも」


「い、いいえ……。あのエルフは母に似ていーー」


「ヒーナっ!? フィーナっ!?」


二人が丁度見つめていた方角から、まるで驚愕したかのような叫び声が聞こえてきた。

 そのあまりの声量に周りのエルフ達もが、声のする方へと振り向く。


「お母さんだー!」


「お母さん……? ということは、ヒーナとフィーナーー」


「はい、私達姉妹の育ての親……母親です」


カミトの質問に、フィーナが首を縦に振る。

母親と呼ばれたエルフは、今にも転けそうになりながらもこちらに向かって走って来た。


「二人とも……本当に、ヒーナとフィーナなの、?」


「うんッ! グスッグスッ……」


「おかぁさーん……。えーん、えーん」


母親と呼ばれたエルフは、蒼白した顔色に、萎れてしまった花のような体型となっていた


「ヒーナ、フィーナ……」


「無事二人の依頼を達成出来た、かな」


「三人になって寂しくなるのぅ……」


「私もうるっと来ました……」


各々これまで過ごしてきた時間を遡って感慨に浸る。

 ひとまずは一旦安心かな




■□■□




カミト、シルフィー、クロロと向き合うように座っているエルフ姉妹としの母親。



「先程は見苦しい姿をお見せして申し訳ございません。そして、改めて私の子供をここまで連れてきて下さって、ありがとうござました」


姉妹の母親は、椅子に座りながらも深くお辞儀をした。 

 それに(なら)い、カミト達も同じように頭を下げる


「いえいえ、御礼には及びません。奴隷商人に囚われていた時、二人は生魂を抜かれたかのような瞳をしていました」


「そうだったんですか……」


「はい。そんな彼女らを見て、自分に出来ることは無いのかと思って、依頼という形でともに短い時間でしたが、過ごさせて頂きました」


目の前にいるヒーナとフィーナそれぞれに視線を送りる。


「今の二人は出会った時と違って、瞳には勇気が溢れ出ていて輝いています」


「私も二人と同じく捕らえられた身でしたので、一番長く時間を過ごしてきました。奴隷として生きるというのは、もはや人生が無いのと同じです。辛かったと思います」


シルフィーは目頭水玉を溜めながらも、喋り続ける

 こんな彼女は見たいことない……


「それでも、その時を生き抜いた、お二人は心身共にそこらのエルフ達とは違うと、幼いながらも私は感じました」


「そうですか……。二人の母親として帰って来なくなったあの日から、私は親失格だと毎晩自分を責め続けていました」


「おかさぁん……」


「うん、ヒーナ。ですから、私はこれから改めて二人をこれまで以上に、大切にしていきたいと思います。本当に、本当ッに、私の娘達をここに戻してきて下さって、ありがとうございました」

 

涙が溢れて出ていながらも、幸せそうな笑みを浮かべ、姉妹を抱き寄せながら深く深く感謝の言葉を伝えてくれた。




 


それから、長らく会えていなかったから家族水入らずの会話もしたいだろうと、三人だけ残してカミト達は家を出た。


「ただ、楽しい第二の人生を送れれば良いと思ったけども、こういう物も良いな……」


「はい……。何か言いましたか、カミト?」


「いっ!? いやなんでも無いよ」


「それにしても、数日は御礼をしたいから泊まってくれって言われしもうたな。生活が厳しいはずじゃのに……随分と優しい親なら巡り会えて、二人も良かったのぅ」


「だな、クロロ。ま、数日宿泊させてくれるのはありがたいな。俺は俺で、やらなければいけない仕事が数個残ってるからな」


「仕事って、何かカミトはやらなければいけない事があるんですか?」


「まぁ、な」


そう言い放ち自らの右目を手で押さえ、魔眼を発動させるカミト。

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