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エルフの里2話 謎の襲撃者

魔法で急速すること約三分。

 臭いの元と思われる場所が遠目で確認する事が出来るまで近づいた。


「見えてきたぞ……。あ、あれだっ!」


「少し状況がまずいのぅ……」


道沿いで立ち往生している馬車。辺りには数人が既に倒れている。

 恐らく移動中だった所をモンスター達に襲われたんだろう。


「な、仲間割れか……?」


カミトがボソッと呟く。

 よくよく見ると、まだ一人水色髪の女性が剣を振るっている。相手は……、黒髪の女?


モンスターに襲撃されたとかじゃ無いのか……

 ならば、もしかしたら盗賊か何かか?


「どうなっているんですかね? モンスターじゃ無いって……」


「分からぬが、一旦戦いを辞めさせなきゃじゃ」


「それがいい。俺とクロロで女性同士の仲裁に入るから、倒れている人達は後の三人に任せるぞ」


「わ、わかりました……」


「まかせておにぃちゃん!」


カミトが指示を出し各々の役割を確認した所で、丁度現場に着いた。

 

「クロロ行くぞッ」


「うむ。承知した」


すぐさま地上に足をつかせ、未だ戦っている女性達に向かって駆けつける。

 水色髪と黒髪の女同士は、乱入者のカミト達の様子に気付いたと思ったら、咄嗟に互いの距離を確保する。


「こんにちは。一体なんなんですか? 俺達はここの様子を見に来た冒険者です。一度説明をーー」


「若い坊やは嫌いじゃ無いわ。とっとと逃げるなら私は貴方を殺さないで、() ()() ()()


カミトが女性二人の間へ割って入ろうとした瞬間。

 黒髪の女性が、忠告だと言わんばかりに火の弾を放ってきた。

 

カミトよりも少し大きいくらいの身長。大人の女性の魅力と言うのか、いやらしい目付きをしている。そして、その魅惑を引き出すかのようなショートと強調している乳房。


「主人への攻撃行為、我は看過出来ないのぅ?」


「まてクロロ。とりあえず、今はどちらが敵かを判別するのが先だ」


今どちらも相手にしている時間は無い。


「ん。僕達は突然、そこの黒髪女に奇襲を仕掛けられた」


事態が分からず頭で考えをまとめていると、水色髪の女が俺を一瞥すると、話しかけて来た。


こちらの女性は対照的な水色髪ショート。カミトとあまり身長は変わらない。

 人形のような黒い瞳に、決して健康的とは言えない胸板。ただただ相手を冷たくそして冷静に、捉えらている雰囲気が感じとれる。


 

「と、言っていますが、そっちの黒髪の女性はどうなんですかね?」


「合っているわよ。私がそこの水色髪の女性とその仲間の子達を襲ったの」


「なるほどのぅ。ならば、今は主を潰せば良いのじゃな?」


「あらら。お可愛い外見にしては、ダンディーな声なのね。ギャップ萌えってやつかしら」


クロロを挑発するようにわざとらしく言葉を掛ける黒髪女性。

 言動からして間違いなく目の前の黒髪女が主犯で確定。今は手当てをしているシルフィー達の方へと行かせないのが一番だな。


「よく言うのぅ、乳デカ女」


「それは私対しての褒め言葉かしら? ありがたく受け取っとくわ」


「クロロ避けろッ」


 すると、乳デカ女と言われた腹いせか、背後にドス黒い瘴気を放つと同時に、何か嫌な感じが肌を通して伝わる感覚を覚える。

 

と、カミトが咄嗟に叫ぶ。

 右目にある魔眼の『未来予知』が発動し、クロロの身体が八つ裂きにされる光景が写されたからだ


「ぬ!?」


パートナーの掛け声を聞き、瞬間的に影移動を行い攻撃を回避したクロロ。


「……外しましたか。しっかりと危険を察知しての適応力と連携、ですか。久々に楽しみになって来ましたわッッ!!」


「水色髪さん!」


またも魔眼で数秒先の結果が見せられる。

 それは、小さい胸板側の女性が剣で真っ二つに斬られるという映像。


カミトは間に合わないと思い、彼女に向かって走りながら、目の前に『魔力障壁(マジックバリア)」を貼る。


「またもや……と、思いましたか? そちらは誘導。本命は坊やですわッ!」


「なッ!?」


目標はこちらだと言わんばかりに身を捻り、方向転換してカミトに向かって、走り出すと同時に剣を構え直す女性。

 瞬きしている間に、一瞬で詰められてしまい後がない。


「戦闘中によそ見は良くない」


「ッチ……」


水色髪女性がカミトを守るため、氷の壁を作り出す。

 ある程度の反応力が無ければ今の魔法は時間的に発動不可能なはず。中々強いな、この女の子。

 

結果的に黒髪女性は突然のことで、剣を振るう腕を止める事が出来ず、壁に突き刺してしまった。


「これじゃあ、私の方が劣勢、か……。このゲームは貴方達に勝ちを譲るわ。じゃ、また会いましょ」


独り言を呟く。

 手を自らの唇に当て、空のキスをすると魔法を使って姿を消した。


「ん。逃げられた」


「いや、今はそれでいい。それよりも、貴女の仲間達の元へ行きましょう」


「そうだね。」


素っ気ない返事を聞きつつシルフィーがいる方向へと急行する二人と一匹。



■□■□



地べた満々に血が付着している。

 倒れている人達の元へと戻ったカミト達一行は、先に着いているシルフィーから話を聞いた。


「……そうか。ここにいる人達は全員手遅れ、か」


「はい。出血量が酷く、私達が来た時には既に……」


どれもこれも恐らく、先程の黒髪女性の仕業で間違い無いだろう。

 しかし、一体彼女は自分と同じ種族である人間を殺して何が目的なんだろうか?


「して、水色髪のお嬢さんから話を書く前にじゃ。彼らを埋葬しないかのぅ? ここは一応通行人が通る道じゃし……」


「ん。狼さんの言う通り。私も、時間を空けてから話す」


カミト達は、水色髪女の子が疲れている事を察して暫くの間休ませてから、話を聞こうと言うことになった

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