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ダンジョン15話 迫る試練

「ふ〜、これで四十七階層も終わって次四十八階層目か。だいぶ進んだんじゃないか?」


「あと少しで五十階層に到達じゃからのう

なんだか物足りないくらいじゃ」


ここまでずっと草原が広がっているエリアだったので、攻略も楽だったしのんびり進めることができた


「この同じような光景をいつまでも見せられても、飽きるしな。何か面白いことが起きれば良いんだけどね」


「主人とは気が合うのう。っん、うむ?なんじゃこの胸の中が荒波に渦巻く感じは……」


「どうしたクロロ?何か面白いことでも見つけたか?それとも歩き疲れたか?それなら一旦休……」


俺が言い終わろうとした時、草原全体のモンスターや動物達が一斉に何かを恐るかのように走りだす。

また、恐怖が津波のように襲ってくるかのごとく小鳥達がバサバサと羽を動かしながら何百匹もが同じ方向に飛んでいく。


それは誰から見ても、とても普通とは思えない異様な雰囲気だった。


「な、なんだ?!一体何が起ころうとしてるんだ、?!」


「わからぬ。しかし主人よ、これはただ事ではないことだけは我も察する。一応戦える準備はしとくのじゃ」


「あ、あぁ。周りのモンスターはどこへ行ったんだ……。っん?どうしたクロロ」


「っ?!主人は感じぬか?!この背中に冷たい風が通り抜けるような感じを」


「?いや、感じるも何もないだろ?怖い決まってるだろ、こんな状況下の中だったら誰でも」


こんな時にまた冗談を言っているのか?

今は何が起きるか分からないから先程もクロロが言ったようにまわりを警戒すべきだ。


俺はクロロの言葉には目も暮れていなかったが、なぜか歯をギシギシさせながら小刻みな身ぶるいをしている隣の狼が気になって、顔を横にする


「お、おい。ク、クロロ?クロロ?!おーい

大丈夫か?!」


様子が尋常じゃないではないことは一目見て分かったので声をかけるてみるが、無視される。

いや、正確には耳に届いていない、の方がただしいと言えるのかもしれない。

なにせ無表情のまま、ただ震えているからだ


「、……っ。主人には感じのうか。

やはり野生の勘というものかのう」


「どうしたんだよ?教えてくれって。

っわぁ!?」


「まるで厄災か何かが目覚めたようなそんな感じがさっきからずっとしてたのじゃが。本当にその表現が正しいとはのう」


地面が揺れる。下に生えている草もボコボコと奮起し始めている

これをクロロ達はいち早く察して逃げるようにしていたのか……?


しばらくの間、俺は立っていられなかった。

そして、五分くらいした頃にその揺れは収まった


「クロロ、立てるか?」


「うむ。少し取り乱してすまな、主人よ

突然驚いたじゃろ?」


「お、おぅ。これは結局なんなんだ?

何かのギミックか、?」


「その可能性が高いのう。しかも我らがダンジョン内にいる時となればそう考えるのか妥当じゃろう」


落ち着きを取り戻してきたクロロは普段通りに会話を続けてくる


今後、このことがとても重要なイベントに繋がってくるということは未だこの二人は分からない。


「ったく、ここに来てあまり良い出来事が続かないな……」


「まぁ、気を取り直して階段を見つける……、

訳にもいかないようじゃ」


「グルルルッ……」


長く話し込んでたせいか、二人を取り囲むようにして全身白毛の狼がいつの間にか現れた


「どうやら本当に今日はついていないようだな」


「グラァォッッ!」


「そのようじゃなっ!」


一斉に飛びかかってくる白毛狼よりも先に魔法を使用し、空中へと舞い上がる。

クロロも俺の意図を理解したようで一緒についてきてくれている。


「やっぱりいい仲間を持ったようだなっ!」


「我も良い主人に使えたようじゃ!」


空中で白毛狼達をしっかりと捉えて『氷魔の手(アイスハンド)を唱える。

すると、地面から生え出た手達が白毛狼をガッチリと逃げられないようその場に固定する。


「主人も共に直接倒しにいくかのう?」


「あぁ。魔法ばっかり使っていると剣の腕が鈍るからな!行くぞクロロ!」


「承知した!」


地面へと、重力に引きつけられて空中から高速で降りてくる二人。

片方の狼は黒い電気の衣を纏い、もう一人の黒髪青年は腰に付けてる剣を抜き放つ


「グルッッッッ!」


「そんなので先輩狼に挑もうなんて一万年早いのじゃ!」


白毛狼が負けじと魔法を連発するが、二人はその魔法ごと受け止める


「剣の錆落としにはなったかもな」


カミトが地に足を付けた瞬間、迅雷のごとく剣を振り下ろす


「主人も中々やるのう

コンマ数秒負けたわい」


雷を纏ったクロロが真上の空から直接狼達に突っ込む。


「グギャッッ……」


次々と突進して体ごと貫き倒すクロロと有り余るステータスで素人ながらも達人並みの剣捌きで薙ぐカミト


たったの一分もかからないで二人は何十匹といる白毛狼達を血の海に沈めた


「よくやったクロロ」


「主人もじゃな」 


二人は戦闘ぶりを互いに讃えたハイタッチを交わした

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

???視点


「……は、?なんなんだよあの化け物二人はよっ!

俺たちでも数分はかかるぞおい!」


「まぁまぁ落ち着きなされって下さい。

私達にはとっておきの()()()()があるじゃないですか」


「その通りだわ。何のために危険を冒してまで無理矢理手に入れてきたと思ってるのよ」


「そ、そうだな。最後に勝つのは俺たちってな」


男達は下品な笑い声を響かせる。

しかし、お互いただの協力関係に過ぎずいつでも切り捨てることも考えているほどの薄っぺらい関係だった


「でもよく出来またわね。『奴隷隷属化』の上書き。事実上物凄い快挙を成し遂げたわね」


「いえいえ、お二人方の調()()があったのだからこそ成功したのですよ」


「まぁ俺達は金さえ貰えればそれで構わない。

そっちが良かったのならそれでいい」


「これからもお互いに利のある取り引きをしていきましょう」


薄汚い三人の会話を一人見ている者がいた。

それは手足首に枷をはめられ、全身あざだらけになった金髪のエルフの少女だった。

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