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ダンジョン14話 失態

「……ダメか。やっぱり正規の攻略の仕方しかないのか〜」


「まあ、ズルして終わらせても後味良くないですから、 地道に頑張りましょう!チリも積れば金になるって言いますし!」


「それ、山の間違いだよね……?」


ううう、と頬を赤らめ、俯きながらシルフィーはうなった。 やっぱり可愛いな、と思いながらも言葉には出さない。 これは前の失言から学んだことだ。言うとクロロに茶化される。


「うむ。確かに何事も正面から挑まんとのう。 面白味がなくなってしもう」


先程まで死ぬかもしれない戦闘を行っていたとは思えない発言をするクロロ。


あぁ、今一体何の話をしていたかというと、ダンジョン内の地面に穴を空けられないかなって思って試してたところだよ。見ての通り期待ハズレだったけどね……。


「でも、あんなボス達とこれからも戦うってなると私は少しばかりズルしたくなるのも分かりますけどね」


あの後、俺達三人は瓦礫に埋れた十一階層へと降る階段を探した。 だが、思いのほか時間がかかってしまってヘトヘト状態だ。 本当は一度休憩を挟みたいのだが、早く攻略してダンジョンを脱出したいという気持ちが先行して今にいたる。


「意外にも持っていたスキルが厄径すぎて苦戦を強いられたもんな……」


「して主人よ、スキルは奪い取れたかのう?」


「ん?いや、取れてなかったよ。ってことは、あの石像が手にしてた剣に恐らくはスキルが付与されてたんだろうな」


「二人して何のお話をしているんですか?私にはついていけません……」


シルフィーには意味不明なやりとりだったろうな。 なにせ俺が異世界人だと知ってるのはこの場でクロロだけだし。


「男の秘密ってやつだよね、クロロ?」


「うむ。女同士でもそんなのがあるじゃろ それの男バージョンじゃ」


あまり理解してなさそうなシルフィーが顔をかしげるが、この話を深くほりさげられても困るので気付いていないフリをする。


「それより ここらで一旦休まないか? 流石に疲れてしまってな……」


「私も賛成です。結講足が重く感じて限界が近いです」


「我も反対する理由はない。年寄りの夜は早いのじゃ。少々寝るとするかのう」


みんな各々疲れがここにきて溜まっていたようなので、一旦歩みを止めて地面に座り込む


俺もボス戦で疲労が蓄積されたし一度睡眠を取ろうかと考えていたところ、ソルフィーが気まずそうに静かに声かけてきた。


「あ、あの……」


ジロジロと何かを気にするように辺りを確認し、 改めて口を開く


「ト・トイレ。い、いえ。お花摘に行って来てもいいですか....?」


耳まで赤くなったシルフィーは俺と目を合わせずに聞いてくる。 ああ、女の子がトイレをする時に使う言葉だったなと思い出し、別に何の問題もないと思ってオーケーと相槌を打つ


「あ、ありがとうございます。では行ってきます……」


早く寝たかった俺は無警戒に承諾した。いや、してしまった。 このことを後悔するのは数時間後だった。


異変を感じたのは目が覚めたすぐ後にだった。 「ん?」、辺りを見渡すとシルフィーの姿がない。それどころか、何か心の中でバサ、と何か糸のようなものが切られた感覚もあった。


それが何なのかはさておき、トイレに行ったはずのシルフィーがこんな 長時間に渡ってしているはずがない。いや、しているかもしれないが、 してるのならば姿一つ見えるはずだ。


「おいクロロ、緊急自体だ!起きてくれ」


側でぶつぶつ独り言を寝ながらつぶやいていたクロロをゆすりながら起きるようにうながす。がしかし、おじいちゃんのせいで中々起きる気配がない


仕方ない、と思い『魔力障壁」で全身に圧力をかけて無理やり起こそうとするが、


「ううむ…。そこじゃ、そこそこ。気持ちええのう。 良いマッサージじゃ」


なんて急いでる時にほざいている。「お前はドMか!」と心の中でツッコミを入れつつこのジジイを起こすため、誇りがどうのこうのと自慢していだツノに手をかけ、へし折ろうと力を入れる。


「......!何者じゃ寝てる時に我に触ろうとする変態は!!」


「いやあんたの方が変態だろ!」


無意識に心の声を表に出してしまった。 と、今はそれどころじゃない。

本来言うべきことをクロロに伝えなきゃと一回深呼吸し、説明する


「クロロ、シルフィーの姿が見えない

数時間前にトイレに行かせたきり戻って来ていない」


「うむ?それはどういうことかのう

……まさか、モンスターに襲われたかのう?」


「いや、それはないと思う。命の危険に遭遇する時は、俺の『未来予知』が自動発動して意識が覚醒するはずだ」


今の状況を瞬時に理解できたクロロはドMのところ以外はやはり優秀だと思った。

危険なダンジョン内を一人でシルフィーが探索に出る事はあり得ないと仮定する。ならば……。


首を振り、考えても答えが出ないと思考をストップする。今はそれよりやるべき事がある。

目をつぶって自分だけの意識世界へと足を踏み入れる。……、やっぱりあれはそういうことか。


「クロロ、ゴブリンは普通こんな所に現れると思うか?」


「突然どうしたのじゃ?まぁ良い。

ゴブリンは比較的弱いモンスターじゃからここにいる可能性は低いんじゃないかのう。モンスター同士、争いもあるしのう」


「そうか、なら確定だ。シルフィーはどうなったか大体は推測出来た」


「うむ?なら主人の推測とやらを聞かせて貰おうかのう」


早く教えろと尻尾を振り回しながら催促してくるので、クロロがいなかった時のことを含めて手振り身振り伝えた


「……、なるほどのう。100%納得のいく説明ではないにしろ、短時間で良くそこまで考えられたものじゃ」


「だろ?ただ、そうだとするならば……」


「恐らくはダンジョン自体攻略しなければ姿を見せてはくれないだろうな」


俺は心の中で舌打ちをし、シルフィーが無事なのを願うばかりであった。


横目でチラリとクロロがカミトの様子を伺って見ると、左の瞳に何か得体の知れない何かが宿っていると感じさせる様な無機質で興味のない目に恐怖に身震いをしてしまう。


「一体なんなのじゃ……」


カミトに聞こえない声で呟き、このダンジョン攻略は波乱な展開になりそうだとため息をついていた。

気になった方はブックマーク登録、コメント等お願いします。

サブタイトル少し書き方これから変えます

それと誤字訂正下さった方々、今まで気付かずに放置していてすみませんでした。

全て指摘下さった箇所は無事修正しました

これからも、誤字訂正ありましたら報告して下さい!!して下さった方々、本当にありがとうございました。

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