ダンジョン13話 ボス戦その2
「このままだとジリ貧どころか勝てる気配すらないか。何か策があれば……」
顎に手をあてて考えていたら、『コチ』の方が俺に向かって剣を横に力一杯薙ぎ付ける
「本体自体が大きいから素早さに関してはつけ入る隙はあるけど、耐久がな……」
縦にジャンプしながらどうしようかと悩んだ。
今俺のステータスを『能力一時的限界突破』スキルで底上げしても恐らくは倒す事が出来ないだろうな。
何せ耐久が一万ってチート級だからな。
「耐久か。攻撃や魔法攻撃に絶対的の守り……
それさえ上回れば……、」
そこまで独り言を呟いていたカミトが途中で何か思い付いたようで、対面している『コチ』の方にある魔法を発動させてみた
「ッッッッ、!ッッッッグググ……」
『コチ』は突然全身が謎の壁みたいなのに押されていくのを感じた。だが、まだそれほど気にする事では無いと今は考えていたがその油断が勝敗を左右させた
「『魔力障壁』は障壁にMPを費やす分どんどん大きくなっていき、頑丈になる。なら、耐久も何も俺のMPは現在一万三千ほど残っているから全てを障壁に押し込む事で『コチ』の耐久値を上回ることが出来る!」
一気にカミトが全てのMPを使い切った事により、一瞬でも魔力障壁が膨張して障壁と地面のサンド状態に遂に耐えきれなくなった『コチ』はまるで不愉快な機械音の様な気持ちの悪い音を立て始めている。
「バキバキバカバキバキッッッ!」
その巨大な身体のあちこちにヒビが入っていき、
観念したかの様に抵抗を辞めたと思った次の瞬間
「グギッ」
一箇所のヒビが割れたのをきっかけに身体全身が合図と言わんばかりに一気に割れて、地面に残骸が崩れ落ちていく。初動のクロロが避けた時に発生した地震の様な揺れよりも更に強い揺れが一時的に起こった。
「二人とも頭を下げて!このままだと三人とも落ちてくる残骸に押し潰されちゃうから、俺が一旦障壁を作る!!」
今瓦礫となってバラバラに落ちていっている『コチ』から経験値を貰ってレベルアップした為、MPが全回復しているのである
「ゥォォォッッッッッッッ!!!!」
俺達が身を伏せている中、身体が巨大過ぎてこの揺れにバランスを崩したもう一方の『カチ』が声にならない声を上げながら地面に倒れていく。
「その隙は貰ったのう!シルフィー殿、畳み掛けるぞ!」
「はい!カミト、しばらく間私達を守って下さい!」
俺の方にお願いしたと思ったら、なんと今いた地面を蹴り空中へと二人は躍りでた。
『カチ』には魔法ダメージ半減スキルもついているから攻撃するだけ無駄だと俺は叫んだが、残骸が崩れ落ちていく音がとてつもなく大きくて二人には聞こえなかったらしい
「クロロ、私と攻撃を合わせましょう!
私が弓を引いた瞬間にクロロの全身全霊の攻撃を仕掛けてください」
「うむ!やられっぱなしも飽きたからのう。
ここらで終わりにするのじゃ!」
シルフィーが空中でゆっくりと一呼吸置いて、弓に手をかける
「行きます!炎焔!風来!」
一回矢を放ったと思ったら二本何故か放たれていて、
それぞれの魔法名を叫びながらスキルであろう『魔法付与』を使用してそれぞれが炎と鋭い風を纏った矢に、いや、あれは鳳凰と言わんばかりの輝かしい立派な鳥を形成して『カチ』目掛けて突撃する
「どれ少しばかり本気で挑むとするかのう!」
クロロが叫ぶと約八十匹にも及ぶ分身体が黒い電気がピリピリと全身を纏って『カチ』一直線にあらゆる方向から突進を仕掛ける
「ヲオォォッッッッ……」
全ての攻撃を一斉に受け、あの耐値を誇った『カチ』は一瞬で身体からヒビが入って見る見る内にHPが減っていく。
が、やはり腐ってもボスだ。ギリギリ二百ぐらい残って耐えてしまう。
「グォォオッッ!」
そしてお返しだと言わんばかりに剣を空中にいるシルフィーとクロロに向けて切り裂こうとするが、不可視な壁がその攻撃を弾く。とここで
「カミト、後はお願いします!」
「美味しいところは我が食べたいところじゃが、今回だけは主人に譲るとするかのう!」
二人が俺に声をかけて後は任せたと言わんばかりの決め台詞を言ってくれた
「全く、二人とも怖いもの知らずなんだから。でも、
やっぱり信頼できる仲間は頼もしいな!!」
空中から地面に降り立つ二人と入れ替わる様にカミトが戦闘中だとは思わない笑顔を見せながら空中に躍り出る。
石の塊には全体的にヒビが入って耐久値が低く、ステータスが三倍なカミトなら魔法を通すことが出来る。
手を『カチ』に標準を合わせて戦いを終わらせる様に魔法を唱える
「強かったが、最初からの油断が仇となったな。
うがて『聖なる神の裁き」!!!」
カミトの背後の虚空から数えきれないほどの魔法陣が現れると共に光の雨が横たわった『カチ』に向けて降り注ぐ
「綺麗ですね……」
「うむ。終わりよければ全て良しじゃ」
戦闘の終わりと共に三人の勝利を祝福するかのような神秘的な光景だとクロロとシルフィーには感じられた。
「危ないと思ったけど、何とか勝てたな。
最後に漫画やアニメのワンシーンの連携攻撃もそれとなく出来たしこれからもこの三人ならやっていけそうだな」
心にホッと筆を下ろす様にボソッと呟く。
内心ヒヤヒヤと終わるまでしていたけど、意外とクロロとシルフィーの二人となら勝てるんじゃないかと信頼して思っていたところも最初からあったから、何と
か気持ちの部分で勝てたのかもな。
これが、カミトが二人の信頼度を上げた戦闘でもあったことを鈍感な本人にはあまり分かっていなかった。
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???視点
「ヒッヒッヒ、計画通りだぜ
利用出来るところまでとことん利用してやるぜ」
ゲラゲラと笑う三人の男達の薄汚い笑い声が洞窟内に孤独に響いた。
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