ダンジョン4話 仲間達
昨日投稿しなくてすみません
俺達とリンネはあの後、三人で詳しく話し合った。
そして、ダンジョン攻略は二日後と取り決めて、解散をした
今回ダンジョンに入るのは俺とシルフィーの二人だけで、残りのフィーナとヒーナはお留守番だ
「シルフィーまでわざわざ危険を負う必要は無いのにな……。」
はぁ、と重い嘆息を漏らした
話し合っても向こうが降りる気配が無かったため、仕方なく先に俺の方が折れたのだ
再び、「はぁ」と肩の荷を下ろすように息を吐いた。
もう決まった事だし、今更考えても無駄だな
そう思いながら、ケルガさんのお店へゆっくりと歩みを進み始めた
「おう!ん?カミトか!
今日は国王様に謁見する日じゃなかったのか?」
「午前中にして来ましたよ」
そして、「実はですね……、」と俺は話を切り出した
城の中でリンネと一対二人での面談をしたこと。
その結果にダンジョンへ行くことになったこと。
そして、探索する為に、武器や防具が新たに必要になったことなどを話した
ケルガさんは、顎髭を弄り、険しい顔をしながら話を終始黙って聞いていた
「なるほどな……。ダンジョンか
危険なのは承知……してるみたいだな」
これまでケルガさんに見せた顔の中で一番真剣な顔つきをしているのを感じたようだ
なら……と、かがみこむ姿勢になり、机の下へと顔を沈め、何かを取り出した
「緑のオーブ、?」
「ああ、これは俺の師匠の形見でな……。
この宝玉の名前は『命珠』と言うんだ。死ぬほどの怪我を負ったときに一度だけこの宝玉を持ってると死を免れるってスキル付与があるんだ。」
説明し終わった後、ケルガは命珠を手に取り、俺の方に向かって渡してきた
「ダンジョン攻略には必須だろうな
何も言わずに受けとれ。受け取らなくて、カミトが死んだら俺が師匠に顔向けできなくなっちまう」
「そんな高価な物、無料で受け取れませんよ
それに……」
ケルガさんにとって思い出深い、特別な物の形見をそう易々と貰えるわけがない
「はは。これはもともと店に出してないから売り物でも無いぜ。つまり実質タダだ。それに、こんな古びていくだけなのも師匠は退屈そうだしな。これも一つの踏ん切りだと思って受け取ってもらえないか?」
と、寂しそうに目を伏せた
良い師匠さんだったんだな。
「……。分かりました。
では……」
受け取った命珠からはほならかで優しい温もりが、手の中から伝わってきた
「師匠はな、俺の初恋の人でもあったんだよ。
……、って、こんな話してる場合じゃねぇな。また、酒飲み場で話を聞いてくれ。な?」
と言って、即座に話し始めたのを切り上げた
ケルガさんの初恋相手、。どんな人だったんだろう。一度見たいな
「ありがとうございます。
しっかりと、大切にします」
その後、俺は必要な武器と防具をケルガさんに頼んで色々揃えて貰った。
報酬で最高級の武器や防具が手に入るとは言え、ダンジョン攻略時には一応揃えておかなければならない。
「本当に、色々ありがとうございました。
いつもお世話になってばっかりで……」
「気にすんな。まぁ、人と会ったのも縁って言うしな。一度きりの人生大切にお互いしようぜ」
満面の笑みを作ったケルガさんは、俺は背中を叩きながらそんなことを言った。
しかし、俺にはなんだかその笑顔が無理やり作った悲しさが滲み出てるような気がした
そして、俺が買い物を終えて、外に出ようと扉を開けた瞬間、
「ソフィア、今までありがとうな」
そんな冷たく、やっとの事吐いた呟きが店の中から聞こえた気がした
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外に出ると、なんだか素っ気のない寒い風が吹いていた。
お城を出た時既に日が暮れ始めていて、その後ケルガさんと話し込んでいたため、空は暗くなっている
「たった一度の人生、か。
そうだな。大切にしないとな」
俺はケルガさんから受け取った命珠を、鞄から取り出し、手に取ってよく見た
これが、ケルガさんの師匠の形見。
本当に俺が受け取って良かっ……。いや、ケルガさん自身が良いって言ったのだから、それで良いではないか。俺が悩んだら、ケルガさんまでが迷ってしまう。
だんだんと、空が真っ黒に染まっていき本格的な夜が訪れる。
俺が呆然と空を見上げていたら、
何やら俺を呼ぶ声が聴こえてくる。
「カミト、!全く、こんなところにいたんですか。
ご飯、カミトがいないと寂しいんです。さ、帰って四人で食べましょう!」
声のする方向を向くと、そこにはシルフィーが安堵した顔で言っていた
「あ、あぁ。そうだな
俺は、帰らなきゃ、な」
日本にいた頃の、二十歳で死んだ自分を親はどう思っているか、などをケルガさんの師匠に重ねて考えていた。
しかし、俺は違う人生を違う世界で歩んでいる。
帰る場所がある。
ダンジョン攻略の時には俺もシルフィーも生きて二人で帰ってこようと改めて思えた
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