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第一章 異世界転移3 突然の危機

「ん……、?」


じゃりじゃりとしたクッションからゆっくりと、立ち上がる。

 寝起きのため、目がぼやけていてよく見えない。


「あぁ確か女神アトラ様にお願いされて……、

って、もう転移終わったのか」


清澄な空気がこの場に漂っていて、辺りは伸び伸びとした木々が広がってる。

 どこからか「チュチュ」と、小鳥のような鳴き声が風に揺られて聞こえてきた


「……よし! さてと、魔法とやらを早速使いたいんだけどな。ってあ、使い方聞くの忘れた」


やらかした、と思いながらも頭を切り替える。

 今すべき事はこの森から抜けるところからだな。


「とりあえずは人里に出なきゃな……。

百聞は一見にしかず。歩いてみるか」


なにせ森の中にいるのは危険でしからないからな。

 しかも武器も食料すら持たない、独り身でだからなおさらだ


「こっちの方角に向かって歩いてみようかな……。って、何が起きた!?」


視線の先にある草林が音を立てる。

 何者かがあの向こうにいるのか?


「なんだこいつら?! 気持ち悪いなッ」


俺は声を荒げて叫ぶ。

 茂みから出てきたのがなんと、豚みたいな顔で、二足歩行している生命体だった。

 俺のラノベ知識から解析、推測するに……


「ゴ、ゴブリンってやつか。すみませんあの……、ここどこか知ってますか、?」


ゴブリンに理性があるかは分からないが、とりあえずは質問を投げかける

 人間に似てるし、ワンチャンいけるんじゃないかと思ってた


「っん?こいつは……人間かぁ?!

おいおいお前ら、どうやら当たりみたいだぜ?」


「ンッブヒヒ」


「クヒヒッッ」


「グブブゥゥ」 


草むらから次々とゴブリンの姿が現れる。

 奴らの手には木で作られたであろう粗雑なバットが握られていた


よく観察すると、ゴブリンの一匹がサングラスをかけ、黄金色の衣服を着て偉そうにしている。

 見るからに恐らくアイツがボスなんだろう


「へへッ、親分。今晩はついてますぜぇ。どうやらお金がたくさん入ってきますわぁっ!」


「ええっと、お金……? というか、俺の質問に答えてくれないかな」


なんて言っているうちに四方八方からゴブリン達が現れ、俺は取り囲まれてしまったらしい。

 先程から背中に悪寒を感じる。


 武器も攻撃手段無し、相手は複数対か……、

絶望的な戦力差だ。これは冷静に考えて逃げるべきだろう


「人間のオスですかい、

まあメスよりは高くは売れませんが、それでも力仕事奴隷として売れますぜぇ」


「お、おい、

奴隷としてって、俺をか、?」


ゴブリンはニヤリ、と気味の笑いを作った


「へへ、そうだよ

まだ分からないのかぁ。

まあ、なるべく痛めつけないから安心しなぁ」


やばいやばいやばいやばい。ガチの目してる。

 魔法は使い方知らない。周りに武器は無し


異世界来て数分。これは本当にやばい


「おら、お前らやっちまえ!!」


ゴブリンの親方が言ったと同時に全方向からゴブリン達が襲いかかってきた。


「ぐはっ」


背中に鈍い音とともに伝わる衝撃。

 カミトは殴られた勢いのまま、地面に倒れた。

痛い、痛い……。


「勘弁しなぁ、にいちゃん」


胸の中で泣き叫ぶが、現実は残酷。

 ゴブリン達は何度も何度も、身体にあざが出来てもなお痛めつける。

 それをカミトはただ、丸まって無防備に攻撃を受けるしかない。


「へへっ、この世界は地獄だぜぇ? 強者が弱者を食い物にする。世の中甘くはねぇんだよッ」


「ぐっ」


恐怖に脚がくすみ、逃げ出すことすら出来ない。

 誰がどう見ても今の状況は滑稽と言えるだろう。


 しかし、それも仕方のないこと。


数時間前までは、カミト自身暴力とは無縁の世界で生きてきた。

 そんなぬるま湯から、いきなり生死を分かる道に立たされた時、人間は恐怖に勝てない。

 

「これで終わり。にぃちゃんの人生がなぁっ」


振りかぶったバットを、俺の脳天目掛けて直接叩こうと下ろす。


「うわあああ」


俺はもう終わりだと思いっきり叫んでた。

 転移したのに、もう俺の人生終わりかよ、なんて思いながら目を閉じた。


「……っ」


来るはずの衝撃が、いつまで経っても伝わってこない。

 恐る恐る目を開く。


周囲を見渡すと、木々は切り倒され地面に転がり、緑の雑草がところどころ汚く散らばっていた。

 そして、それはゴブリンも例外じゃなかった


「……え?」


目を疑った。

 ゴブリン達は、刃物かなんかで切られたかのように身体中が切断され、既に事切れている。


「な、なんだんだ……。でも、助かったのか、?」


状況を飲めず、俺は地面に立ち尽くしていた

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