第二章 初依頼12
「これで一件落着かな?」
俺達は今、村の中心部にいる
目の前には約三百匹ものベアボアの死体が見える
「では、百匹分は私達の取り分で、残りの2百匹分は村側の取り分ということでよろしいでしょうか?」
何の話をしているかというと、倒したベアボアの死体についてだ。ベアボアの毛はふかふかで保温性もあるそうで、結構高値で売れるそうだ
「全て冒険者様方が討伐されたのに、我々にも分けて下さるとは……、本当に今回は依頼だけではなく、村を救ってもらったばかりか、支援までしていただいて……」
「そんな感謝される事ではありませんよ
なにせ、私達も少々村の一部を壊していましましたし……」
ベアボアを倒すときに、何匹か殴って家ごと吹き飛ばしちゃったしな。逆に悪いことしちゃったかな
「それは仕方のない事でございます。
普通は村を救って頂いた事だけでも……、」
「そこまでにしましょう。まぁ、私達も村の方々もWin-Winなので、私達だけ感謝されるのもおかしいですし」
俺は一度、後ろにいる三人の方を一瞥して
「今後、お互い困った事があれば協力し合いましょう。それで、話をまとめるということでよろしいですね?」
「は、はい。では、今後ともよろしくお願い致します。で、あの、よろしければお名前を教えてくれませんか?」
「カミト、ですよ。私達はしばらくの間、イグリス王国に滞在しているので、いつでも来てください。宿屋名は月見です」
俺と村長はお互い硬い握手を交わし、村を後にした
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「何か、人助けが出来て更にお金も貰えて良い気分ですね!」
声の高いトーンでシルファーが呟いた
おそらく、俺が見る中では過去一番に機嫌が良いと思う
「そうだね〜!これもカミトお兄ちゃんのおかげだね!」
「いやいや、俺だけじゃなくてシルフィーやヒーナ、それにフィーナがいたからこそ解決できたんだよ」
「カ、カミトは謙遜しすぎです……。」
フィーナが小さく呟いていたが、俺は聞き取れなかった。
しかし、今回といい前回と言い、あの魔法陣は一体なんなんだろう?
というか、モンスターを召喚する魔法ってあるのかな。また調べてみるか。
それに、今回の戦いで色々反省点もあったな。
まず、殴ってモンスターを倒すっていうのは周りとかに邪魔になるし、拳も痛くなるから剣が欲しいところだな。となると、杖はヒーナかフィーナにあげるか
そして、魔法のレパートリーの少なさだな。今後、致命的になる可能性もある
これはまた図書館で召喚魔法と一緒にちょっとずつ調べて行こうかな。
「それにしても百匹のベアボアを風の竜に運搬させるこの眺めはある意味、神秘的だよな……」
そうなのだ。百匹のベアボアを運ぶにはこれしかなかったため、はたからみたら凄い光景なのだ
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「カミトさん!こんにち……、」
俺達がギルドに入ると冒険者達が一斉にこちらに視線を向けた。
それもそのはず、だって数匹の竜が俺の後ろにいるんだもの。
「あ、アリシャさん!
このベアボア九十匹を売りたいのですが……」
「え、?あ、あぁ。分かりました、?
数が凄い多いようなので、案内する場所へ来てください。」
といい、俺達はギルド建物の裏側の外へと案内された。ここでは巨大なモンスターや数の多い場合に一時的に査定に使われる場所らしい
「それにしても、かなりの数のベアボアですね。
カミトさんの依頼では、こんなに倒さないはずじゃ……」
それからアリシャさんやギルドの他の従業員さん達にことの成り行きを説明した
「はぁ、?三百匹を相手にして、無事討伐。
そして、そのうち二百匹を村に寄付……」
わざとらしいため息をついた
何の問題も無いはずだが、?
「ベアボアをそんな数相手に戦って勝つって、どんだけ凄いんです……。それに、大金の半分以上もあげちゃって、カミトさんは、何者なんですか?」
ギク、女神様によって異世界転移した者ですなんて言えるわけないよな……
「別にそこまで言われる程でも無いです。
俺はする事をしただけだですよ」
「ほんとに、頭が上がらないですよ……。
明日までには査定を終わらせますので、今日のところはお疲れのようですし、帰ってはどうですか?」
「そうですね、一旦月見に帰りますね
では、また明日来ます」
ギルドを後にして、俺達は月見へと向かった
それにしても、今日は三人とも疲れてるし、明日はオフにしようかな。
お金も手に入って、各々自由にしてあげたいしね。
俺的にも一日後に王様への謁見が控えてるから、明日はゆっくり過ごしたい
ひとまず、初依頼達成を今日は祝おうかな
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー「それじゃあ、初依頼達成を祝して乾杯!」
『乾杯!』
俺達四人は、月見の一番奥の席で今回の依頼について祝っていた。
あぁ、もちろん俺も含めてみんなジュースだけどね。
お酒はみんな飲める年齢じゃないし、俺自身もお酒を飲むなら他のもの飲んだ方がいいってタイプだしな
「ふふ。私も今夜は腕を振るおうじゃないか。」
ソニアさんもサービスしてくれるらしい。
「ありがとうございます。
今夜は料理も楽しみますよ」
こうして、俺達は夜遅くまでこの会を開いていた。
ちなみに、ヒーナは途中で寝てしまったので、付き添いにフィーナも途中退出しちゃったけどね
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