第二章 初依頼9
まずは「魔王」についてだ
魔王は五千年前、突如としてこの世界に現れた。
持っているスキルやステータスは訳の分からないくらい強く、配下にモンスターや魔族を従わせ、蹂躙し、誰も敵わなかった。
しかし、そんな時、今のマーキュリー神国が女神アトラの信託により、異世界から『勇者』を三人召喚した。
勇者は魔王と対となる存在で、魔王を打ち倒す為に一般的なステータスがとても高く、スキルの恩恵も良いらしい。なので、人類また他の種族も魔王を討つために、勇者を最後の切り札としてた。
そして、勇者三人と魔王と一騎討ちになる。はずだった。全ての種族が各々の気持ちを込めて送り出した勇者は、魔王の配下へと下ったのだ。
そう、魔王の四天王として。
人々は勇者が街へ帰ってきたので勝ったと思った。しかし、笑顔になった人々の顔が次の瞬間、赤く染まる。そう、勇者が人を殺した。それはもう殺戮と言って良いほど一方的だった。
そして、勇者は各国を周っては、国民を殺していった。
こんな状況下になった訳で、残った国王達は困りに困った。切り札が敵の手に落ちてしまったのだから。
そんな時、一人の男性が「私が魔王と勇者を止めます」と、言い切った。
男性は有言実行し、勇者達を封印し、魔王までも遂に封印した。その男こそが『賢者サンドロス』だった。
封印に成功した賢者サンドロスだったが、少しした後に、彼自身もどこかへ居なくなったらしい。
ここで分かったと思うが、俺は勇者じゃない。
勇者はマーキュリー神国に召喚されるからだ。
俺は内心かなりショックを受けたね。
やっぱり誰もが一度は勇者になって、世界救って、お姫様とハッピーエンドになりたいじゃん……。
まぁ、それはそうとしても勇者になってもハッピーエンドじゃなかったか。
勇者は魔王と手を組んでまさかまさかの殺戮を行うとは。王道ストーリーの真逆じゃないか。これじゃ、バットエンドだな
まぁ考えたって無駄だな。
とりあえず、調べておきたい事は一通り調べ終わったので月見に引き返す事にした。
余談だが、最初にこの世界に転移した直後にゴブリンに襲われたあの時、何故倒せたかと言うと、全身から魔力を思いっきり放出したからだと思う。
イメージをデタラメに、死ぬ気で叫んだから威力も十分だったし、恐らくはそうだと思う。
あと、アーティファクトについても分かった
アーティファクトとは、古代文明が作った遺産らしい。具体的には、魔力を込めた道具の事を言い、使うと強力なモンスターが出現したり、特定の場所に瞬間移動出来るらしい。まぁ、今の俺には関係ない事だが。
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俺が宿屋に戻ると同じくらいに、シルフィー達も起き出した。
「んん〜!
おはようございます、〜」
「うん。おはよう」
寝起き顔のシルフィーも可愛いなぁ。
なんて、口に出して言えないな
朝食も四人で取った。
麦ご飯に、きゅうりの漬物。そら豆のスープに焼き魚が出てきた。まさかの異世界でも白いお米が出てくるとは。
やはりソニアさんのご飯は全て美味しいな
ここの宿屋を選んでどうやら正解だったようだ
「今日は今からギルドに行って、依頼を受けたいと思う。いいかな?」
「はい!私も賛成です」
シルフィーが言うと、後の二人も同じく頷いた
「よし、決定だな
それじゃあ行こう」
俺達はギルドへと向かった
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朝だから、今から依頼を受けに行く冒険者で溢れていた。しかし、何故だろ。
顔が暗い人が多いな
「ダンジョン、か」
やはり異世界と言えば、ダンジョンの一つや二つは行きたいものだろう。お宝とか眠ってたり?強い武器あったり?
「三人は何かしたい依頼とかあるかな?」
「私は特に無いですかね
カミトに任せます!」
他の二人は
「カ、カミト、に合わせます」
「カミトお兄ちゃんがえらんでいいよ〜!」
との事だったので、ダンジョンの依頼を受けにアリシャさんの元へと行った
「あ、カミトさん!
今日は初の依頼受けに……って、緊急依頼ですか。」
「はい。一度行ってみたかったので。
依頼、自分でも受けられますか?」
アリシャさんは後ろにいる三人を見て
「カミトさん一人ならば、問題無いと思います
しかし、今回は急に現れたダンジョンなのです。」
といい、アリシャさんはダンジョンについて詳しく説明してくれた
「まず、ダンジョンは普通、国が所有、管理しています。そして、そのダンジョンを探索する時、お金を支払い許可を得て中へ入る事ができます。
しかし、今回のような突如として現れるダンジョンも珍しくはありません。
ダンジョンというのは、仕組みは分かりませんが、モンスターが無限に出現するのです。
では、何故ダンジョンを緊急依頼としてギルドにあるか。それは、ダンジョンからモンスターが溢れ出る可能性、つまりモンスターの暴走が起こる事があるからなんです。
モンスターの暴走が発生すると、国で対処をしなければいけないレベルまでになります。
そうならない為、冒険者達が最初にダンジョンを攻略して、モンスターを駆逐してから国が管理をする事を取り決めているのです。」
「ダンジョンには最下層、または最上層にボスと呼ばれる強力なモンスターが存在して、そのモンスターを倒すことにより、ある程度、モンスターの出現を抑制できるのです。」
なるほど。つまり、本当に未知の強さ、か。
危険しかないって事か。
「そうですか、。そんな危険なクエストは今やるべきではないですね」
この話からそう結論付けた
「はい。その分貰える報酬は多いですけどね。
しかし、今回に関しては危険と言われればかなり危険なんです。」
どういう事だろう?
「今までのダンジョンならば、既に攻略されててもおかしくないほどの期間が経ちました。
しかし、なぜか今回のダンジョンでは誰も攻略いえ、一人残らず行った人が帰ってこないのです。」
「え?でも、ダンジョンって危険だから、仕方ないんじゃ……」
「はい。しかし、ここ周辺のダンジョンはあまり強いモンスターが出る場所ではないんです。
周りのモンスターの強さにダンジョンの危険度は変動すると言われているので」
尚更、不自然って事なのか。
弱いモンスターごときに冒険者達が揃って負けると。
「なので、ダンジョンには極力行かない方が良いと思います。」
と、言われたので俺達はその忠告に従い、
ベアボアという、巨大な猪の討伐依頼を受けた
「あ、三人のギルド登録もお願い出来ますか?」
「かしこまりました。
では、ここの席に座ってください。」
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次回は討伐編です
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