第一章 異世界転移13
「メキメキメキメキ」
町の中心部の頭上の空間にどんどん亀裂が入ってきている
それと同時にカミトの未来予知のスキルも自動発動していた。
→未来予知を自動発動しました
「これは…未来予知か?」
あの亀裂から巨大なライオンに翼を生やしたいわゆるキメラみたいのが
禍々しい瘴気をまといまがら現れるのか。
ダークキメラって言ったほうが正しいな
そいつはただ咆哮しただけで街の家々を吹っ飛ばしてしまった。
「あんなのが街中で暴れたら、ひとたまりもないな
未来予知のおかげで本当にやばかった。
ダークキメラが現れれるまであと10分ってとこか」
どうやら他の冒険者達も空中の亀裂に気が付いたようだな。皆顔がmp切れで元から具合悪そうだったのに亀裂を見たらもう顔が真っ青だ。
なんて思っていたらギルドカードから声が流れてきた
「緊急緊急!
街の中心部頭上にて巨大な亀裂を確認しました。
恐らくはその巨大さが故にこの防衛線において一番の強敵だと思われます。
予想ではあと10分で亀裂から出てくると思われます。
Dランク以下の冒険者の方々は城壁に登って城壁外のモンスターの相手を。
Cランク以上の冒険者の方々は街の中心部へと向かって下さい。繰り返します…」
招集の時と同じ女の人の声が流れて来た。
街中からもそんな声が同時に流れて来ていた。
「確かにあれはやばいな。
あんたがいれば強力な助っ人になるんだが…
ギルドの命令には逆らえないからな。
んじゃ、お互い元気でな」
そう言って先程驚かせてしまった冒険者は下へと続く階段へ向かって行った。
「ギルドの命令には逆らえない、か。
でもあれは本当にやばいよな。
今まで見たことあるモンスター達とは一線越えて何か違う怖さがある。
しかと未来予知で見た時はもう既に冒険者の殆どが咆哮だけで吹っ飛んで行ってたしな。」
これはどうしたものか。
ただ、恐らく今この街で一番強いのは俺だよな。
でも、ギルドに逆らったら最悪ギルド側からの登録抹消もありえるよな。今回は人の命がかけられているんだから。
「とりあえず、火の竜達を亀裂に向かわせて様子見しようか。」
俺は火の竜達を中心部の亀裂のあるところに行かせた。
しかし、こうみるとモンスターの死骸がグロいな。
実際虫達が巨大化して倒れてるわけだから当たり前か。
ああ、そういえば奴隷の少女達は安全な所に行ったかなと思って頭の中にどこにいるか検索をかけた。
「ギルドの中にいるのか。
なら安心だな、あの中は避難所としての役割も受け持っているみたいだしな。」
一安心していると、
亀裂の入った空間がついに
「バキン」
まるで割れた窓ガラスのように空間?みたいのが飛び散ってついに巨大なダークキメラが姿を現した。
と同時にCランク以上の冒険者達が一斉に攻撃をそれぞれ仕掛け始めた
「これは…
全く効いていないな。
というより、鬱陶しい程度に思っている感じだな。
思ったよりも本当にまずい。」
火の竜達もダークキメラにブレスをそれぞれ撃つが、あまり効いていないな
「アアアアアガガガァァァ!!」
人間の耳じゃ聞き取れない意味不明な言葉を咆哮でダークキメラが叫んだ。
それと同時に街の中心部の家や噴水、外灯、さらには冒険者達まで吹っ飛んで行った。
「おいおい、本格的にやばいな、」
俺は足が震えていた。いや、震えているのにも気付いていないのかもしれない。
これは恐らくは本能が危険だと警告を出しているのだろう。
「ふっ。俺らしくないな。
このファンタジー世界に来て数日、未だに慣れてないからかもな。
でも、その数日、いや1日でこの街にはたくさんの良い人が居ることが分かった。
ケルガさん、受付のアリシャさん、奴隷の少女達だってそうだ。
俺はケルガさんに凄い良くしてもらった。
そのケルガさんに俺は何にも返していない。
なら、俺は今その恩を、鍛冶屋という居場所を、
ケルガさんだけじゃない街みんなの居場所を、
守りたい。」
生意気でただそんな理由で俺は街の中心部へと向かった。怖かった。でも、それに勝る勇気があった。
ダークキメラが向かってくる俺に口から何か魔法を撃とうとしてた。
「俺は、馬鹿野郎だよな。
火の竜!」
俺は1匹の火の竜に全てのmpと魔力を集中させ、杖にそれらを入れて放った。
ダークキメラも俺が放つと同時に口の魔法陣から瘴気を圧縮させたブレスを放って来た。
「ッッ!!!
ハァァァァア!」
火の竜と瘴気を圧縮させたブレスがぶつかり合った。
火の竜が押していた。
「いける!」
しかし、次の瞬間
ダークキメラの翼がナイフみたいに尖った羽を両翼からカミトに向かって撃ち出され、火の竜が一気に押されて、俺も
「ああ、もう無理か。
早く終わったな。俺の人生」
俺はもう全てを諦め、目の前に向かって来ている瘴気のブレスらを受け止める。
「え?ブレスが止まっている?」
それだけじゃない、街の冒険者達まで止まっている。
そして、カミト以外の時間が止まった世界で、
「コツコツ」
と、杖?かの音と一緒にカミトに近寄ってくる音がする。
「お主はまだ賢者の器にたりる者では無い。
力の使い方を知れ」
俺が声の方向を向くとそこには一人の白い髪の毛にしわが目立つ顔の老人が立っていた
次回、ダークキメラとの決着です
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