第一章 異世界転移11
ん?遂に始まったみたいだな
城壁の上で魔法詠唱の声や爆発音が聞こえてくる。
ちなみに今俺が居る場所は家の屋根の上だ。
モンスターや街の状況が見やすいからな。
「来たか」
防衛線をかい潜り、街へと侵入してくるモンスターが次々と現れた。
俺の視線の先に6体のモンスターがそれぞれ3体ずつに分かれて陸地と空中で進行してきている。
トンボみたいな見た目で日本で見るサイズの何倍かは分からないが、人間と同じくらいの大きさのモンスター達が空中に、
陸地ではアリみたいな見た目でこれまた人間と同等以上の大きさのモンスター達がこちらに向かって来ている。
「いや、あのアリの顎凶暴すぎでしょ
噛まれたらひとたまりもないな」
アリは顎をガチガチと開け閉めしながら近づいてくる。サイズがサイズだけに、結構脅威的そうだな。
しかも、相手はどうやらやる気満々らしい
「そんじゃやりますか
土偶の巨人召喚
ファイアーアロー!」
ボロボロの杖を掲げながら魔法を声に出して言いながらを唱える。
ちなみに、詠唱は無詠唱スキルのおかげでいらないが、魔法はイメージがとても大事なので慣れない間は練習がてら唱える。
陸地に土偶の巨人を
空中にファイアーアローをぶつけた
ゴーレムは今初めて使うから不安だったが、
しっかりとアリ相手に土属性の鋭い針を突き刺して3匹瞬殺した
ファイアーアローもトンボもどきに当たって、燃えうつって倒したみたいだな。
「順調順調〜
ただ実際まだ実感ないよな…
魔法とかモンスターとか。
まあ今は楽しく生活する、それだけで十分だな」
と独り言で呟いていると頭の中で'ピロリン'
という音が聞こえた。多分レベルアップだな。
ステータスをレベル部分だけ見てみる。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
レベル:5→レベル:10
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
5レベルアップか
あ、消費したMPもレベルアップと同時に回復するみたいだな。どこのゲーム設定だっつうの。
まあ回復出来るならそれに越した事は無いか
「じゃあ街に侵入してきたモンスターを一掃するか。
陸地でも兵士とか冒険者が各々戦ってるみたいだしな。
でもその前に、闇属性って確か重力も扱えるよな、
あとは風属性で…。
とりあえずその2つの魔法を創造しよう。」
→重力操作
→ウィンド
を獲得しました。
この世界に存在する魔法はカタカナだけで、
俺がオリジナルで作った魔法は漢字の上にカタカナがあるという違いがどうやらあるな。
ファイアーアローとかそうだったし。
「で、これら2つを組み合わせて…」
俺はラノベとかで見る体にかかっている重力を軽くして、風で飛ばして擬似飛行みたいな魔法を思い出して創造した。
→空中移動
を獲得しました
案外これはラノベで使われてるのを良くみたから
イメージがすぐ出来た。
ああ、ちなみに俺は趣味でラノベを買って読むくらい筋金入りのラノベ好きだ
「よし、っと、結構これ制御難しいな。
街の移動がてら練習だな」
そのまま移動をし続けて、モンスター達を見つけた。
ムカデ見たいな見た目でこれまた巨大な体をしたモンスターが12体ほど。
「土偶の巨人!」
俺は一回家の上に着地し、魔法を唱えた。
そして地面から鋭い土の塊がムカデ達を刺す
「おっと?!」
ムカデ達は長細い為、3体しか仕留められなかった。
更に残った9体が一斉に俺に向かって針見たいのを飛ばしてくる。
「甘いな、ウインド!」
魔法陣からまぁまぁ強い風が吹き荒れ、針を全てムカデ達に返した。
「ぎゃぎゃギャァ」
ムカデ達は不快な音を立てながら、地面に倒れた
その後モンスターを次々と撃破し、|空中移動《エアラ
イド》にも慣れてきた
「この魔法はコツを掴めば結構簡単だな」
と言って家の屋根に着地したらモンスターを撃破、それが終わったらまた家の屋根…
と、繰り返していった。
MPはレベルが上がるからどんどん回復していったので問題無かった。ゴリ押しプレイだけどね
これはカミトが簡単そうにやってるから凄そうに見えないが、普通はそんなぶっつけでまた、多重属性を使いこなしての複合魔法なんて一般人には出来る芸当では無かった。
その為カミトは他の冒険者や兵士達から良い意味で視線を自然と集めていた。更にFランク冒険者なのだから尚更だ。
「大体モンスターは駆逐し終わったかな。
っと、なんだ?」
突然近くの陸地から大きな声が聞こえた。
「た、助けて!!
きゃーー!!ッ」
などの悲鳴や助けを呼ぶ声が聞こえた。
カミトはその方向へと進んだ
そこには先程街中でみた奴隷達がモンスター達に襲われている。
奴隷の数は3人か。
全員多分エルフってやつだな。耳が長く尖ってる。
改めてファンタジー世界だと感じさせられた
奴隷達は主人の命令に絶対。主人は居なそうで、おそらくは奴隷を置いて逃げたのだろうか。
残っている奴隷達は全員何故かモンスターがいるのに動いていない。
みな痩せこけていて逃げる力が無いとも思えるがおそらくは主人がここから動くなという命令を出したのだろう。
そんな事を思いながら10匹ぐらいのアリモンスターをどうやって倒そうか考えていたら。
「やめて、殺さないで!!!」
一人の女性が後3秒足らずでアリの巨大な顎で挟まれてしまいそうだった。
女性はもうダメだと思い、目を瞑った。
だがいつまで経っても挟まれない。
おかしいと思いながら恐る恐る目を開いてみた。
そこにはさっきまで自分を挟み殺そうとしていたアリが倒れていた
「ふー、危ない危ない。
残りのモンスター達も駆逐するか。
せっかくだし、
火の竜」
と頭上から声がして振り向いた。
そこには男性と魔法陣から出た火の竜が居た。
実はカミトも焦っていた。
残りわずかで普通の魔法だと間に合わない。
そこで特攻鳥弾を銃を撃つみたいにとにかく早く撃つイメージで使った。
モンスターのすぐ隣には奴隷の女の子もいて、ファイアーアローなどのアロー系は飛び散って怪我をすると危ないしかと言って他の魔法では間に合わなかったから、特攻鳥弾を使った。
実践は初めてだったが上手くモンスターを貫通してそのまま倒したようだな
カミトが今さっき放った火の竜は周りを囲んでいたモンスター10匹を倒して城壁に向かった。火の竜は自立型の魔法だから、倒したら次のモンスターのところへ行く。
「大丈夫かい?怖い思いしたね。
君たちの主人がここから動くなと君たちに命令してるんだろ?
その主人はどこにいったんだい?」
俺は残りわずかな所で助けた少女に聞いた。
少女はエルフで耳が長い。髪は金髪だ。
顔も整ってて美人というより可愛い系だな。
年齢は15歳くらいかな?
服は民族衣装?を着ている。多分奴隷にさせられてそのままここまで連れてこられたんだろう。
「あ、あの、その前に助けて私の事を助けて下さりありがとうございました。
主人はモンスターに囲まれそうになって、
私たちに"ここに留まりで足止めをしろ"
と命令して逃げ出しました。
どこへ行ったかは分かりません。
主人は多分今頃安全な所にいるでしょうね。」
少女達は悔しそうに唇を噛んだ
「私達が死のうとどうなろうと、
"お金の損害だ"
ぐらいにしか思っていません。
なので主人はこの戦いが終わるまではここに出向かないでしょうね。
私達は大丈夫です。
私達なんてもうただの商売道具でしか無いんですから。」
と俯き、泣きながら言っていた。
酷い物だ。俺は女の子一人助けられないのか、?
前世では、俺はたった一人の命を救って死んだ。
それは俺が最善を尽くした結果だ。
しかし今は違う。力が俺にはある。
せめて少しでも助けになりたい。
「奴隷化を解除する方法ってありますか?」
「奴隷隷属化スキルは主人と魂レベルで繋がります。
その繋がりは言わば一本の鎖でも思って下さい。
そして、主人が死ぬか、
何かしらの解除スキルで解除してもらわなければおそらく無理です。
私達は大丈夫です。
本当に命を助けて頂いただけで十分です。
私達なんかのためにあなた様は構う必要なんてないんですよ。」
「それは違う。
君達はこうして立派に生きている。
世界には悪の道に進んでいる輩なんて幾らでもいるのに。
そして、私達なんかなんて言うな。
君達はなんかなんかじゃない。
俺はそう思う。」
俺は強い口調でそして諭すように言った。
奴隷隷属は主人と魂と魂で鎖のようなで繋がれている、か。
ならそれを断ち切ればいいんだな。
俺にも奴隷隷属化スキルがあったな。
これで綱引きみたいに引っ張りまくって鎖をひきちぎれないかな?
まあつまり上書きだな。
してみるか。
「一つ試したい事がある。
もしかしたらそれで君達を主人から引き離す事が出来るかもしれない。」
エルフの少女は俯いてた顔をあげ
「本当、ですか?
なら、私達はどうすればいいですか?」
「まずは君からだ。
一人一人しよう
俺は奴隷隷属化スキルを持っている。
これで君達の主人がかけた奴隷隷属化スキルを上書きしてみる。」
「上書きですか。
分かりました。やってみましょう。」
奴隷隷属化スキルの使い方を見てみる
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奴隷隷属化スキル
自分の血と相手の血を主人の奴隷隷属化スキルの魔法陣の上に垂らす。
そしたら相手が奴隷になる。
奴隷になった者は主人に逆らう事が出来ず、
また主人のどんな命令でま反抗出来ない。
した場合は首が徐々に締まっていく。
また、奴隷隷属化は魂レベルで主人と相手が繋がるため、主人は奴隷の位置を常に確認出来る
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なるほど、とんでもないスキルだな。
血が必要なんだな。
スキルにはイメージが必要無いから唱えるだけでいい。
「奴隷隷属化」
特殊な魔法陣が空中に浮かんだ。
「この上に自分の血を垂らすんだ。」
俺は自分の指をかみ、血を垂らした
少女も同じようにした
「私、眠っている時にこんな事をさせられたんですね。」
ビシ!
頭の中で何かが引っ張られる音がした。
鎖のイメージをしていたから鎖が動く音かな。
よし、引っ張って引っ張って引っ張って、、
ビシ!
鎖が前の主人と少女との間で切れた。
成功だ。
実はこれは思いの強さでつながりの強さも変わってくるのだ。だから今回奴隷を金にしか思っていないボロボロない鎖よりもカミトの凄い硬い鎖の方が強くて結果ボロボロの鎖が切れたんだ。
「え…
嘘。」
少女は信じられない物をみたような顔をしている。
少女も俺と繋がった感覚が分かったんだな。
「まずは他の2人も解放しよう」
そしてカミトは残りのエルフ達も同じように前主人から解放させた。
今回からついに防衛戦です。
この回は長くなってしまい申し訳ありません。
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