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魔眼賢者の異世界無双〜最強魔眼の力で全てを覆す  作者: 座闇 びゃく
第四章 Sランク冒険者編 

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Sランク冒険者10話 奴隷の王国

カミト視点



「この辺りで良いだろう」


「うむ……して、早速答えて貰おうかのぅ」


自然豊かで木々に囲まれた建設予定地。

 捕まえた盗賊を目立たないこの森林へと移動させた。


「さて、まずお前達はなんなんだ? 何が目的だ」


口元の拘束を解き、尋問のような形を取る


「っけ、誰が敵であるテメェらにわざわざ教えなきゃいけねぇんだよ」


「随分と生意気な奴じゃな」


そっぽに顔を逸らしあからさまに不機嫌な態度を表す男。

 カミトはそのことは気にする様子も無く、ただ言葉を続ける


「もう一度だけ言うぞ。お前達『黒駒』は何者だ?」


「だから話すかよ。ッチ、俺達は国の下で――」


盗賊の一味は口にしてから、不味い発言をしたかのように口籠った(くちごもった)


「国? どういうことじゃ、分かるように説明せんか!」


「はぁ、俺は組織を裏切れねぇんだよッ!?」


「時間が差し迫っているんだ。それでは困るな……」


肩から息を吐くカミト。

 それから太陽が空に現れるまでの間、平和な森の中には悲痛な叫びが響き渡った。






「……なるほどな。そういうことだったのか」


男から吐かせた情報の数々は、予想を大きく外れることとなった。

 

「一つずつ整理していくのじゃ、主人よ。ことがことだけに、慎重に考えなければのぅ……」


「あぁ、そうしよう」


まず最初に、男の所属している『黒駒』は最近出始めた謎の多い犯罪グループ。

 彼らの正体は、とある国の兵士達。

そいつらが、盗賊団『黒駒』を名乗り若い女性や金品を盗みを行っていた。


「そして、ここからが重要。その()()()国というのが『スレイブ王国』ということだ」


 スレイブ王国。

奴隷制度を確立し、この世界で唯一奴隷の数が国民全体を上回っている、まさに奴隷国。

 

国の兵士までもが国王の(もと)、つまり奴隷であり犯罪者率も相当な国家である。


「国が直接組織して、他国に盗みを働くほどとはな。上層部が腐敗どころじゃないぞ……」


「ここイグリス王国を狙ったのも、一番警備レベルが低く安全だと計算した上じゃろうな」


大きく肺に空気を集め、全て息の吐きだす。 

 肝心な盗みを働いていた理由だが、これは近くに宣戦布告されるであろう戦争と関係ある。


マーキュリー神国によって召喚された【勇者】。

 合計四人をスレイブ王国に引き渡せと、一ヶ月間ほど神国に詰め寄っていたらしい。 

 しかし、国のトップである聖女はその要求をひたすらに拒否し続けていた。


頑なに(かたくなに)態度を変えることの無い様子に、遂にスレイブ王国が怒って強行手段を近々行うらしい。


「それが宣戦布告。マーキュリー神国とスレイブ王国による戦争、か。馬鹿らしいな、本当」


言葉通り、戦争となれば大掛かりにな準備が必要不可欠。

 金品は軍事力向上、女性は男達の慰め者または奴隷として売られて金になるかの二択。


 そのため、彼らは盗賊団と呼称して窃盗を繰り返していたのである。


「うむ。しかしそう楽観視してはいけぬ。神国の周囲にはエルフの里があるのじゃ」


「戦争による巻き添えだな。あの数のエルフ達を匿うだけの場所は未だ無い……厄介なことだ」


それに、今のままでは神国がほぼほぼ負ける。

 勇者が召喚されて間もなく、レベルが恐らくまだ五十にも達していないはず。


 切り札である勇者が居ない今、奴隷を使って特攻攻撃を仕掛けられるスレイブ王国側が圧倒的に有利。


「んで、負ければエルフ達は捕獲されて奴隷落ち。事態はかなり深刻だな……」


肩をすくむカミト。

 この場にいる二人だけで何とか出来る問題では無い。

 考えるだけ無駄だと思い、思考を停止。


ギルドなど一連の機関に連絡をすると共にカミト達自身は、盗賊団のアジトへと潜入を決めた。




■□■□

アジト〜



「……なるほどです。顔も腫れさせてたのは、男だってバレないようにする為ですね」


「ん。なら、最初から正体を教えてくれてても良かった」


部屋を物色する手を止めずに聞いてくるアクア。

 俺が答えようとする前に、なぜかクロロが口を開く。


「それのぅ、主人の趣味が女装だと思われるのが嫌だったのじゃ」


「全然違うからッ! 周りに気配切断を使用しながら監視している敵が居たかもしれないだろ?」


それに、初めから正体を開示していたら何も面白味が無い。

 二人の成長振りを間近で見たかったのだ


「あ、ありました! これですよね、恐らくカミトが探していた物は」


「ん? あぁ、それだそれ。シルフィーありがとうな」


一言感謝を述べてから、渡された書類に目を通す。


「なになに……うん、よし。刻印まであるから間違い無い」


「ん。これでスレイブ王国との繋がっていた物的証拠になる」


今回の件に関しては、これでひと段落着いただろう。

 他に捕まっていた人々を救出したところで、丁度タイミング良く足音が聞こえてくる。


「どうも、カミト君。今回もまた一つ手柄を挙げたね?」


「こんにちは、ギルド長ガイスさん。俺はただ殺しをしただけに過ぎませんよ」


外から冒険者やフルプレートの兵士達が入り込んで来た。

 後のことは、彼らに任せて問題無いだろう。


「あはは、もう顔に疲れたって書いてあるよ。それにその服装……ぷっ」


「変態主人じゃな」


「ガイスさんまでからかわないで下さい。これでもかなり恥ずかしいんですよ……」


腹を抱え、ガイスは涙を浮かべながら笑いだす。

 ギルド長なんて肩書きじゃないなら、殴りたいほど清々しい笑顔だな…。


 落ち着きを取り戻した後、彼は真面目な眼光を向けてきた。

 普段と仕事モードを即座にチェンジ出来るのは、一流の商人が持つ技術の一つ。


「まぁ、君も薄々勘づいているとは思うが一応言っておくよ」


わざと一拍間を取り、再び言葉を続けてきた


「スレイブ王国が、マーキュリー神国に宣戦布告をしたよ」


かつて無い波乱の一幕が始まろうとしている。

 カミトは口を歪ませ、愉快そうに笑みを浮かべた

この回で祝100話目です! 

ありがとうございます


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