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異世界転移名探偵 ~快刀乱麻に事件を解決~  作者: 春華
ウィンク屋敷殺人事件
9/13

犯人糾弾!

「こ、氷…!」

「氷が凶器だと考えれば、部屋に血飛沫が飛んでいない理由もわかります。氷が栓になって血を抑えていたからです」


凶器が引き抜かれたのにも関わらず、血痕がなかった理由。

その本当の理由は、凶器が引き抜かれていなかったからだ。


「時間が経ち、氷が融けて血が流れ始めましたが、血溜まりになるほど流れなかった… これが答えでしょう」


さらに、昨日のご主人の部屋はかなり熱気がこもっていた。1時間もあれば凶器は完全に融けきっただろう。


「…さて!ここまで来れば推理は簡単です。犯人は『人を殺せるほど大きい、鋭く尖った氷』を準備できる人物です」


この暖かい季節に、そんな凶器を作れたのはどこか?


「この屋敷でそんな物を作れるのは… 食材を保管している調理室くらいではないでしょうか? 」

「…そうですね、そこ以外に氷を管理している場所はありません」


執事さんの助言もあり、氷の凶器が作られたのが調理室だと断定される。

それにより、容疑者を絞りこめる。


「8時までに調理室に入った人物は2人、執事さんと召使いくんです」

「そのどっちかが犯人…?」


だが、この2人に犯行は不可能だ。


「まず、執事さんは容疑者から外れます」

「何故ですの?」

「単純な話… 氷の凶器は融けるからです。調理室から出した氷の凶器を18時から20時まで持っておくのは不可能でしょう」

「な、なるほど…」


更に言えば、私は執事さんが嘘をついているとは思えない。

何故なら、執事さんが召使いくんに水のことを命令したからだ。

もし、命令しなければ20時に召使いくんがご主人と話すことはなく、死亡推定時刻は18時から21時まで伸びていた。

執事さんが犯人ならわざわざそんなことをする必要がない。

この2つの理由により、執事さんは容疑から外れるだろう。


「そして召使いくんにも犯行は難しいでしょう」

「…それは、何故かしら?」

「召使いくんがコップを返しに行った時の証言です」

「また水なのね…」


そう、お姉さんの言う通り、この事件の鍵はまさに『水』なのだ。


「コックくんが20時直後に調理室にいなかったことを知っている。つまり、犯行があった20時直後にご主人の部屋で犯行を行うのは不可能なのです」


召使いくん以外、コックくんが20時直後にいなかったことを知っていた人物は存在しない。

誰かから聞き出すことも不可能だったはずだ。


「20時にチュウが本当は水を届けていて、その時にお父様を殺した可能性はありませんの?」

「召使いくんが嘘をついている可能性は低いです」


理由は召使いくんの証言の中にある。


「20時にご主人を殺したことを誤魔化そうと思ったら『部屋に入ってご主人と顔を合わせた』と嘘をつくでしょう」


だが、実際に召使いくんが語った証言は違う。


「召使いくんは『ご主人様と会話をしたが、顔は合わせなかった』と証言しています。嘘をついているにしては中途半端です」

「なるほどね…」


…実は、召使いくんには犯行が不可能な理由はもう2つある。


1つはこの後に話す、氷の凶器を使うにあたって、発生する問題のこと。

…もう1つの理由は、最後の切り札だ。まだ話すことは出来ない。


「じゃ、じゃあ誰がご主人様を! 」

「…答えは、1人でしょう?」


…そもそもの話。

調理室には門番くんがいたはずだ。

門番であるコックくんの目を盗んで凶器となる氷を作り、持っていくのは難しいだろう。

…ある人物を除いて。


「氷の凶器を持ち出せた唯一の人間…」


私は、その人物に指を突きつけた!


「そう、君が真犯人だろう… コックくん?」


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