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異世界転移名探偵 ~快刀乱麻に事件を解決~  作者: 春華
ウィンク屋敷殺人事件
6/13

~犯行現場の検証:メイドの調査~

「…ランマさん?」


…おや?どうやら私はまた眠ってしまったようだ

若干、顔色の悪いメイドくんが呆れた顔をしている。

…私はいつも、色々な人にこの表情で睨まれるな。


「…ふむ。おはよう」

「あ、あなた本当に呑気ですね… 殺人犯だって疑われているんですよ?わ、わかっているんですか…?」


別に呑気な訳ではない。まずい状況だというのは理解している。

だが、慌てていても仕方がないのだ。焦りは推理の毒だからな…


「それよりも現場検証をしたのだろう?話してくれたまえ…」

「…わかりました」


メイドくんはため息をつき、犯行現場について話し始めた…




み、皆に見られないように私はこっそりとご主人様の部屋に向かいました。

多分… 誰にもバレていないと思います。


部屋の外を見ましたけど… 特におかしな所はなかったと思います。

ゆ、床に這いつくばって見ました。間違いないです。


そして… ご、ご主人様の部屋の中に入りました。

現場はランマさんを捕まえた時から特に変わってなかったと思います。


「うっ…」


…ご主人様の遺体を見るのは2回目でしたが、それでも辛いものがありました…


「が、がまんがまん…!」


ま、まずは部屋の中の確認をしました。

いつものお部屋と違った所ですか?

な、ナイフが落ちていて… え?そこ以外?


て、テーブルの上にコップが置いてありましたね。ランマさんも見ましたか?

多分、ご主人様の片付け忘れですかね…?


…と、とにかく、私はまずナイフを見ました。

刃が生々しく血塗られていて… ち、血の気が引きましたよ。


そ、その後に私は恐怖を抑えてご主人様の死体に近づきました。傷口を確認するためです。


「ひぃいい…」


…正直、吐きそうになりました。

は、吐いてないですよ!がまんしました!

…え?き、傷口がどうだったか…?


そ、そうてす。大変なことがわかったんですよ!


「あ、あれ?傷口が合わない?」


あ、明らかに刃物で刺された傷口ではありませんでした!

何か、尖った物で刺されたみたいな… 多分、槍みたいな物だと思います!


そ、その傷以外に、遺体には傷はありませんでした。

その傷が致命傷だったのでしょう。


それ以外におかしかった所は… 傷まわりの服が依れていました。

あれは水に濡れた服を、そのままにしておいた跡だと思います。

み、水でもかけられたんですかね…?



「ふふふ… ハハハハハッ!」

「な、何がおかしいんですか!」


な、何てわかりやすい犯行だろうか!

今時の推理小説好きの小学生なら、簡単に解けるだろう!


「も、もう!からかっているんですか!?」

「す、すまない… フフッ!」


…そう考えると私があの部屋にいなければ、簡単に真犯人が特定できただろうなぁ。

やれやれ… 悪いことをしてしまった。

罪滅ぼしの為、必ずこの事件を解決しないといけないな。


「…さて、もうこの事件の真相はほぼわかったと言っていいだろう」

「ええっ!?ほ、本当ですか!」

「90%は解けただろうな」


…しかし、残りの10%が問題だ。

もしアレが凶器だとしたら、あるはずの痕跡がないのだ。


「調理室はご主人の部屋に近いかな?」

「け、結構遠いです。歩いて1分はかかるかと…」


ずいぶん広いお屋敷だな… 使用人が4人では大変だろうな。

…それはともかく、それだけ広いとなると絶対に痕跡があるはずなんだが…

その謎を解かなければ、私でも犯行は可能だと押しきられるだろう。

しかし、その謎がさっぱりわからないなぁ…


「うーむ… あと少しなんだがなぁ」

「つ、次は何を調べてくれば…?」


…む?扉がノックされた。

誰かが来たみたいだな。


「サンディ。警備兵の方が来たぞ」

「え、ええっ!もう!?」

「…?受け渡しの準備をしてくれってブライトさんが言っていたぞ、準備お願いな」


………

こ、この少年が召使いくん?

こここ、これは、どういうことだ…!


「ら、ランマさん!警備兵の方が来ちゃいました!じ、時間がないですよ!」


…タイムリミットだというのはわかった。

けど!それよりも、今の少年!


「な、何だ、あの少年は!…耳が犬の形だったぞ!」


あ、頭の上に耳が乗っかっていて…!ピコピコ動いていた!

死んだご主人は変態だったのか!?使用人にあんなコスプレを…!?


「…じ、獣人を見るのは初めてですか?この辺りでは珍しくないですよ?」

「獣人!?なんだそれは、聞いたことがないぞ!?」

「ら、ランマさんってどこ出身なんですか…?」


わ、私の知らない文明があったとでも言うのか…?

それとも科学の発展による、遺伝子操作で生まれた超技術…


…いや、待て。

昨日見た、不思議な『魔法』に、『獣人』だと…?

これは、もしかして…


「そ、そんなことよりも、大変ですよ!このままじゃ真犯人が!」

「う、うむ…!?」


た、確かにこのままでは独房行きは免れないだろう。

知的好奇心を抑えきれないが、致し方ない…

一刻も早く、事件を解決しなければ!


「私を牢から出してくれ!」

「え、え?け、けど…」

「今さら私を信じれないのか!?頼む!」

「………」


メイドくんはかなり悩んで… 牢の鍵を開けた。

…そして、私の錠の鍵を外した。


「…グラシアス。よく私を信じてくれた」

「そ、それよりもこれからどうするんですか?」

「この屋敷にいる皆を集めてくれ。場所は、そうだな…」


…ステージは、犯行現場がふさわしいだろう。


「皆には私が逃走してご主人の部屋のほうに逃げていったと伝えてくれ。…部屋の場所を教えてくれないか?」

「え、えっと、まずは階段の場所を…」


ご主人の部屋の場所をメイドくんに教えてもらう。

…ふむ、覚えたぞ。


「わ、わかりました」

「私は… 最後の調査に向かう」

「が、頑張ってください!」

「うむ!」


私達は牢の部屋から出て、それぞれの目的地へ向かった!


…私の推測通りなら、残りの10%の答えはひっくり返る。

きっと、痕跡は残っていないはずだ。


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