表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移名探偵 ~快刀乱麻に事件を解決~  作者: 春華
ウィンク屋敷殺人事件
4/13

~事件発生からの流れ:メイドの証言~

え、えっと…このお屋敷は貴族サタン・ウィンク様のお屋敷です。

じ、事件があった時にお屋敷の中にいたのは7人でした。

ご主人様のサタン様。

サタン様の2人の娘、姉のマデュラ様、妹のウェンディー様。

執事のブライトさんに、コックのサウスさん、召し使いのチュウくんに…

あ、あとは私… メイドのサンディです。

そ、外に門番が2人いましたが… 誰もお屋敷の中には入ってこなかったそうです。


ご、ご主人様の遺体を見つけたのは、21時をちょっと過ぎてからです。

時計が21時の鐘を鳴らした瞬間、ドスン!と2階から音がして…

わ、私は一緒にいたブライトさんとサウスさんと2階に向かいました。

2階のお部屋で音の原因を探しましたが、おかしな所は見つかりませんでした。

最後にご主人様の部屋に向かって…

そこにはご主人様の死体と、ランマさまが…


ら、ランマさんを捕まえた後、お屋敷の中はパニックになりました。

ブライトさんの提案で、朝になってから外にいた門番の1人が警備兵を呼びにいって、私達は一応、お屋敷の中で待機することにしました…






「…ら、ランマさんはどこからお屋敷に侵入したんですか?」

「それは私にもわからない」

「………」


私を見るメイドくんの目が鋭くなった気もするが、それはともかく。

…門番が2人いるにも関わらず、屋敷のあの部屋に運びこまれる私の姿は目撃されなかった。

一体、誰がどのように、何の為に運んだのだ…?


私に恨みを持つ真犯人が、私を犯人に仕立てあげるため?

いや、それならわざわざ外国に運びこむ必要などない。

それに、私を起こさないように外国に運ぶ方法、屋敷の門番に気づかれないように部屋に運ぶ方法、そのどちらも物理的に難しいだろう。


説明がつかない、不可思議な現象だ…

そして、ドスンという大きな音は、ひょっとして私がベットの上に落ちた音か?

あの時は夢だと思ったが、どうやら現実だったようだ。

しかし、どうやってベットの上に落ちたというのだ!?

寝ている間にワープ能力にでも目覚めたのだろうか?

…知恵熱が出そうだ。


ともかく、今回の殺人事件と、私があの部屋の中にいた理由は、無関係だと考えるべきか。


私があの部屋にいた理由は置いておいて、事件のことを考えよう。

メイドくんの話から推測するに、私は21時ちょうどに目を覚ましたようだ。

つまり、死亡推定時刻は21時から数時間前まで、ということになる。


「そういえば、ご主人の奥様はいないのかい?」

「は、はい… 5年間に病気でお亡くなりに…」

「…失礼。不躾な質問だったね」


つまり、娘さんは早くに両親を失ったわけか。

…哀れな話だ。


「…貴族にしては使用人が少ないね」

「そ、その… 奥様が亡くなった後、ご主人様は大分落ち込まれたようで… 仕事に熱が入らなくなったようです。そのせいで、大分地位を落とされたとか…」

「ずいぶん伝聞的な言い方だが…?」

「わ、私は3年間に雇われた身で、噂話でしか事情は知らないので…」


なるほど… いわゆる没落貴族、という奴だな。

使用人が4人しかいないのはそういう理由か。


「私を捕まえた男がコックくんかな?」

「は、はい」


む?そういえば…

私を捕縛したあの水の縄は何だったのだろう?


「ところで、あの不可思議な術は…?」

「ああ… め、珍しいですよね。この辺りでは数少ない水属性の魔法が使えるらしいですよ」


ま、魔法…?

…ハハッ、どうやら私はとんでもない所に来てしまったようだ。


「…一応聞いておきたいのだが、他に魔法が使える人はいるかな?」

「ま、マンデラ様が火属性の魔法を、ウェンディー様が風属性の魔法を使えます。わ、私もちょっとだけ土属性の魔法を…」

「も、もういいよ…」


…まったく、いつからこの世界には魔法なんてものが使えるようになったんだ?

新聞もたまには読まないと…


「ら、ランマさん?」

「…すまない、少し考えごとを」


今は世界情勢よりも、自分の身のことを考えなければ。

多分、この国では魔法と見間違えるほどの技術が発展しているのだろう。


「ええと… 事件があってから、誰か外に出たかね?」

「い、いえ、門番が1人残っているので外には出れません。警備兵が来るまで誰も外に出れないと思います」

「ふむ… ご主人の部屋には誰でも入れたのかな?」

「か、鍵がかかっていなければ入れたと思います。いつも、ご主人様は寝る時まで鍵をかけませんでした」


つまり、屋敷の中にいた者にしか犯行は不可能だった訳か。

…ふーむ。容疑者は6人か。


とりあえず聞けることはここまでだろう。

…推理のための情報をメイドくんに集めてきて貰おう。


「メイドくん、皆のアリバイを集めてきてくれたまえ」

「あ、ありばい…?」

「事件の時に各々が何をしていたか、という情報だ。その時にしていた行動を証明してくれる人がいるか、というのも聞いてくれ」


あとは… ご主人が殺される前に何をしていたかも気になるな。


「ご主人を最後に見た時の情報もほしい。頼んだぞ」

「わ、わかりました!」


メイドくんは駆け足で部屋から出ていった…

…さて、こうなると私には出来ることはない。

私がここに飛ばされた理由を考えるのもいいが… 経験上、推理の途中で他の考え事をするのはよくない。

頭を休めるため、少し眠るとしよう…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ