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異世界転移名探偵 ~快刀乱麻に事件を解決~  作者: 春華
ウィンク屋敷殺人事件
2/13

犬も歩けば棒に当たる

ドスン!と大きな音と、背中に走る衝撃で目が覚める。

高い所から背中で着地したような痛み…


「痛たたた…」


…ふむ、ここは何処だ?

いつの間にか私は、ベッドの上にいた。

む?ベッドの上に落ちたのか?

…まさかな、夢でも見ていたのだろう。


暗くて周りは見えづらいが… 寝る前までいた部屋ではあるまい。

部屋が段違いに広いのだ。


もしや、眠っている間に誘拐でもされたか?

…やれやれ、いくつもの誘拐事件を解決してきた、この私が誘拐されるとは。流石に初めての経験だ。

しかし、手足も拘束せずにベッドの上に放っておくとは…

腰の銃も取られていない、随分と不用心な誘拐犯だな。


…それにしても暑い。コートを着ている私には結構辛い気温だった。

ポケットのハンカチで汗を拭う。

たしか冬だったはずだが… ここは日本ではないのか?


現状確認のため、部屋を見回す。

窓の外は暗い。どうやら夜のようだ。

壁のキャンドルスタンド以外に光源はなく、その明かりも机の上を照らす以外に役立っていない。

事実、部屋は薄暗く、何やら大きなものが床に落ちているが、その正体がわからなかった。


生憎、光源になる物も持っていない。

あれは何だろう?ベッドから降りて、それに近づく…


…むっ!

これは人だ!男性がうつ伏せになって、床に倒れている!


「大丈夫かね!」


私はベッドから飛び降り、彼の脈を測るが…!

…駄目だ、もう死んでいる。

だが、遺体はまだ暖かい。死んでから数時間もたっていないはずだ。


…む!遺体の近くにナイフが落ちている。

もしや、この男は誰かに殺されたのか?

そして、これが凶器か…?


…暗闇に目が慣れてきたのか、辺りの様子が見えるようになってきた。


背中に傷があるのがうっすら見える、これが致命傷だろうか?

ふむ?傷のまわりに血痕がない。

凶器が遺体から引き抜かれたなら、激しく出血したはずだが…?


うむ… 暗くてこれ以上の詳しい調査は無理だ。

今現在、遺体についてわかるのはここまでだろう。


机の上にコップと、火のついていないランプが置いてある。

本棚の本は綺麗に仕舞われている。

床には死体とナイフ以外に落ちている物はない。

つまり、争った跡がないということだ。また、物盗りの線も薄いことになる。

おそらく、犯人は被害者を不意討ちで殺したのだろう。


…凶器が引き抜かれているのにも関わらず、血飛沫が飛んだ様子もない。

ナイフが凶器ではないのか…?


「…ご、ご主人様?」


おや?コンコンと扉がノックされた。

女性の声だが、この家の住人だろうか…

…む!?この状況を見られるのはまずいのでは!?


「し、失礼しま… キャアアアアアア!?」


ディオスミーオ!

…扉が開かれ、部屋の中が明るく照らされた。

メイド姿の外国人の少女が、私を見て絶叫する。


彼女の目には、倒れているご主人の近くで見知らぬ男が膝をついている状況だ。

彼女にとって私は… とても怪しい男だろう。


「サンディさん、どうしましたか! …誰だ貴様は!」

「さ、サタンさん!?」


彼女の叫びを聞いて、執事服の老人と、コック帽を被った40代の中年が部屋の中に入ってきた。

どちらも顔立ちから推測するに、日本人ではないだろう。

…それはさておき、まずい状況だ!


「ま、待ってください。私は怪しい者では…」

「よくもサタンさんを!『アクア・イル・バインド』!」


な、何だと!?床に不思議な紋章が浮かび、そこから縄が飛び出てきた!

私は腰のホルスターに手を伸ばしたが、間に合わず捕縛されてしまった…!

何だコレは…! 水で出来た縄…!?


「はあっ!」


がっ…!?


執事さんに床に叩きつけられ、私の意識は薄れていく…

…薄れる意識の中、水の縄が跡形もなく消滅するのが見えた。


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