表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
運命  作者: 尚文産商堂
3/27

第3話 彼女の家にて

「ただいま〜」

彼女が元気欲、家の中に向かって叫んだ。

すぐに、2階から軽い足音が聞こえてきた。

「おかえり、お姉ちゃん…その人、だれ?」

小学校高学年ぐらいの少女が、階段の上から覗き込んでいた。

「この人は、私の彼氏」

「へー、お姉ちゃんにも、ようやく彼氏が出来たんだ〜」

歯に衣着せぬ言い方だ。

「さすが姉妹、性格が似てるな」

「姉妹だけじゃないよ」

妹が、玄関に下りながら言う。

「私たち、双子なの」

「へぇー、双子かー。でもさ、あんまり似てないな」

玄関まで妹が下りてきてから、互いを見比べた。

妹のほうが、若干器量が良いように思う。

姉のほうが俺に言ってくる。

「そりゃそうよ。私たちは、二卵性双生児。つまり、遺伝子上は普通の姉妹と変わらないの」

「なるほどな」

妹のほうは、俺をじっと見つめてくる。

「で、この人が、お姉ちゃんの彼氏なのね」

あまりにも見てくるものだから、俺は聞いた。

「あのー…何か付いてますか?」

「別に〜。少し興味を持っただけー」

妹はそれだけ言うと、1階へ走っていった。

「とりあえず、私の部屋へ来て」

俺達も、玄関で突っ立ているわけにもいかないから、姉のほうの部屋へ向かうことにした。


「ここが、私の部屋」

紹介された部屋は、8畳ほどの広さだった。

畳敷きの床の上にカーペットが敷いてあって、その上に机、本棚、ベッドが置いてある。

「けっこう窮屈なんだな」

机の上は、掃除したてのように輝いており、教科書や参考書の類は、全て本棚へ収納されていた。

「窮屈でも、暮らす分には苦労はないよ。あ、そうそう。ソファーの上とかで寝るのは両親が嫌がるからやめてね」

「ということは…」

俺は、ベッドを見る。

姉妹と俺が無理やり入れるぐらいの大きさしかないベッドだ。

「まあ、そうなるわね。でも、別にかまわないでしょ」

「そりゃ、かまわないが…」

俺は悩んだが、他に解決策が見つかるわけもなく、一緒に寝ることになった。


数分後、妹が部屋に入ってきた。

「お姉ちゃんとその彼氏さん。晩御飯の準備が出来たよ」

「分かったー。すぐに行くね」

姉が返事をして、先に妹をリビングへ行かせた。

「ほら、行こ」

漫画を読んでいる俺から、漫画を抜き取って机の上におくと、すぐに手を取って部屋から出た。


リビングに行くと、一口大に切られたステーキ、サラダが別々ボウルに山盛り盛られており、3人分のご飯とお箸がおいてあった。

「好きなところに座ってね」

妹が俺に言ってくる。

俺はうなづいて目の前の席に座る。

右に姉、左に妹が直後に座る。

なんだか緊張する。

こんな光景は夢にも見た事がなかった。

「いただきまーす」

丁寧に手を合わせてから、食べ始める妹。

一方の姉は、いただきま…で食べ始めていた。


「ごちそーさまー」

妹が最初に食べ終わった。

「あれ、もう終わり?」

「お姉ちゃんと一緒にしないでよ」

俺も、それを聞いてから箸をおいた。

「ごちそうさまです」

「まだあまってるよ」

そういって、次々とステーキやサラダは口の中へ消え行く。

「…太るぞ」

俺は小声で言ったつもりだったが、聞こえていたらしい。

瞬時に箸が飛んできた。

4分の1ぐらいを壁にめり込ませて、どうにか止まった。

首筋1cmのところを通っていった。

冷や汗が出てくる。

「何か言いました?」

にこやかにいってくる。

「いえ…何もいってません…」

「そう、それならいいのよ」

俺はどうにかそういうと、すぐに姉の部屋へ戻った。


ベッドに仰向けになっていると、いろいろと考え始める。

これでいいのだろうか…

あいつは、これでいいのだろうか。

浮かんでは消える思想の数々。

答えは出てこない。だからこそ、考えてしまう。

まあ、俺自身としては、別にこのままでかまわないんだが。

その時、誰かが入ってきた。

「ねえ、まだ寝てないよね」

姉だった。

「まださ。どうしたんだ」

「どうしたも何も、ここ、私の部屋だけど…」

後ろ手でドアを閉める。

「ちょっと、のいてくれる?」

ゆっくりとした口調で聞いてくる。

「ああ」

俺は立ち上がって、彼女がベッドに入れるようにいったん外へ出た。

することもないので、カバンから教科書を取り出して勉強をすることにした。

ちょうど宿題も出ていることだし、先にやっておいて損はないだろう。

ベッドに横になった彼女は、漫画を読み始めた。


ちょっとしてから妹がお風呂が入ったことを知らせてきたので、俺が先に入った。

湯船につかりながらも、あいつは本当は何をしたいのかが分からなかった。


部屋に戻ると、彼女はまだ漫画を読んでいたので、風呂に入るようにいった。

風呂に向かうのを見届けると、俺は再び勉強を始めた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ