第27話 封印とその後
全員がやっと立ち上がれるようになると、周りに教師がいないことに気付いた。
「教師は…」
「消えたよ。どこかへ行ってしまった」
父さんが俺に教えてくれた。
「この井戸も、これから当分の間は封印しなきゃな」
ほかの面々もそろっていることを確認してから、父さんと母さんが姉妹の両親と何かを呟いている。
すると、俺の体の力がゆっくりと抜けて行った。
「あて」
ポスンとしりもちをついて、その場に自然としゃがみこむ。
「どうした」
井戸の周りに、黄色の膜が張られてから父さんが俺のところへとすぐに近寄る。
「なんか力が抜けちゃって…」
「ああ、井戸からの魔力をさえぎっているからな。そのせいかもしれん」
それから肩を貸してもらい、なんとか壁に寄りかかって、体が落ち着くのを待つ。
俺以外の人らも、大体そんな感じに立ち上がった。
「これで、終わり?」
姉が俺に聞いた。
「ああ、終わりさ」
俺は答えた。
それから1か月もしない間に、研究所にはガサ入れが入った。
俺たちはそのことをテレビとネットで知った。
「大変だねぇ」
姉妹は、彼女らの家へと戻り、今家にいるのは、俺だけだ。
両親は仕事へ出かけている。
俺の電気玉は、威力は衰えたが、今なお使うことができる。
姉妹たちの能力もだ。
教師はどこに行ってしまったのか、今でもわからない。
わかっているのは、今はいないということだ。
また1000年後に、きっと同じようなことでもするのだろうが、その時には俺はいない。
「千年後といえば、3001年か。俺の子孫は何してるんだろうなぁ…」
そんなことをふと考えていた。
さらに年がたち、俺は姉と結婚し、子供を産ませた。
男の子だ。
これからの未来、この子供に託してみようと思う。