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第26話 井戸の傍ら
「行くよ!」
女性が叫んで、第1階層の人たちが階段を上がっていく。
最後の一人の姿が見えなくなると、俺たちが階段の爆弾に、一気呵成に攻めた。
瞬時に爆発し、それから強制的にどこかに引き戻される感覚があった。
バネを戻す時のような感じだ。
「いって…」
車に撥ねられた後のような感じのずっしりとした痛みが、全身を襲っている。
やっと立ち上がると、周りをゆっくりと見回す。
そこは、見覚えがあるところだった。
どうやら、俺たちが塔に入るためにつかった井戸のところらしい。
「帰ってこれたのか」
「そのようだな」
近くからの声の主は、お父さんだ。
「また、いずれ教師がこの研究を再開するだろうが、それもまた運命なんだろうな」
「運命、か……」
俺はそう言って、近くに倒れている姉を起こした。