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第23話 受け渡し
ボールは、第1、第2と順々に来た。
「よっしゃ、すぐだ」
第4階層の人たちが、俺の方へボールを回してくる。
それを受け取り、すぐに力を込める。
わずかにタッチする程度だが、それでいいそうだ。
「受け取って!」
姉が叫ぶと、ぴたりと第1階層の人がキャッチをした。
その途端に、割れていた地面から、粘液状のものがあふれだした。
それは、お湯が沸騰しているかのような、爆発的なものだった。
すぐにおさまったその沸騰は、箱の女性をすぐに引っ張り出せれる状態にさせた。
そのとき、俺のずっと前の方にいるライオンが一言つぶやく。
その途端に、箱はどろりと溶けて、中の女性が出てきた。
「あっちは、あれで終わりかな」
俺は姉と妹に言った。
「じゃあ次の問題は、私たちどうやって帰るのかって言うことよ」
姉が俺に言うが、手立ては見当たらない。
その時、起き上っていく女性をみながら、つぶやいている人が一人いた。