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運命  作者: 尚文産商堂
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第21話 封印された魔力

床の下からは、プラスチックのような箱に入れられた女の体が現れた。

「私だ!」

「ダメだ触るな!」

第5階層から来た男に、妖精は止められる。

「うわっと、これやばいって」

姉が、箱の下から出てきている蛍光色の粘液が、とめどなくあふれていた。

「…これ、抑えないとダメなんだよな」

俺は姉妹に聞いてみる。

だが、姉妹に聞かなくても、すぐにそのことは分かっていた。

「でも、どうやって抑えるの。私たちだけじゃ、どうしようも無いよ」

その時、パリンとなにかが割れる音がした。

向こうとこちらを分けていた透明な壁が崩れた音だった。

「君たち全員で、同じことをするんだ」

いつのまにか俺の横に立っている人が、全員を集めて話し出す。

「お父さん」

妖精がそう声をかけた。

「フーエンズは、ミヒャエルに任せることにして、我々はあの源泉を調整する必要がある」

浮き沈みをしている箱が栓の役目を果たしているらしく、ぷかぷかと上下に揺れていた。

「私の体をとると、もしかして、源泉が暴走して…」

「魔力は非常に普遍的なものになるが、一方ですべてのものに干渉を及ぼしてしまう。その結果は、世界はすべての層を巻き込んで破壊される。我々は、至近距離にいるんだ。人間の器では、あれほどの魔力を吸収して、維持することはできないだろう」

つまりは、俺たちはここから生きて出ていくことはできなくなるということを言っているようだ。

それを防ぐためには、俺たちで力を合わせろ、そうも言っているように聞こえた。

「みんな、協力してくれるか」

協力する以外の手段は、見当たらなかった。

「やるよ、私はやるよ。何があっても」

妖精がうなづいて、強い語気で言った。

俺たちは、それとさっきの話で、逃げることはできないと、覚悟を決めた。

「では、そのやり方を教えよう。非常に簡単なことだが、1つでも間違えたとたんに、すべては失敗する」

それは、確かに簡単なことだった。

でも、同時に一つのミスが極めて重要な結果を生み出すことは十分に分かっていた。

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