第18話 教師の企み
「どういうことだ」
やっと立てるほどにまで体が戻ってくると、教師に聞いた。
「私には行けなかったところから、これを取り出した。それだけで十分だ。扉を開くには」
「扉?何を言っているんだ。扉ってどの扉だ」
俺は、教師に聞き続ける。
「時空の扉だ。もう、1000年間待ち続けた。これ以上待つことはできない。校長に伝えねば…」
ぶつぶつ言い続けているが、そのすぐ横で、光が出てきたかと思うと教師の姿が消えた。
しかし、それを引き換えに、姉妹が陣のところから現れた。
「あ…あれ?」
何かを受け止めるような格好で、何が起きたかを必死に理解しようとしている姉と、瞬時に理解をして誰かを探している妹。
「何があったの。教師はどこ?」
「知らん。俺が止めようとしたがそのままどこかへ消えていった」
「…私たちも後を追ったほうがいいかもね」
妹はそういうと、俺たちを陣から離れた所へ連れて行った。
「いい?教師が何を考えているのかはわかった。この世界は複数の階層から成り立っているの。ここは、そのうちのひとつ。でも、その階層を一つにすることもできる。教師の狙いは、そのすべての階層の上で君臨すること。私たちがそうはさせない。協力してくれる?」
「してもいいが、どうするんだ。扉がうんぬん言っていたが、それしかヒントはないぞ」
「ヒントならある」
姉が言った。
「昔聞いた話なんだけど、どこかに塔があるそうなの。その塔を使えば、別の世界に行けるって。たぶん、それがカギになっているんじゃないかな」
「その塔は?」
「ここだ」
声が聞こえてきたほうを向くと、父さんが立っていた。