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第17話 現世へ…
目のくらみが治まると、俺はあたりを見回した。
「おお、帰ってこれたか!」
立ち上がると、まだふらふらしている頭を、声のほうへ向けた。
教師が立っていた。
「父さんは…?」
「そんなことよりも、例のものは手に入れられたか」
「例のもの…?」
いまだにしっかりしない頭でゆっくりと考えていくと、テストの最後に白い蛇の置物を褒美といわれて受け取った記憶があった。
「あれか…」
俺はどこに置いたか覚えてなかったが、無意識で、上着の右ポケットをまさぐっていた。
指にかたい感触があって、取り出してみると、それは、陶器でできた光り輝いている白い蛇だった。
「これのことか」
俺は教師に聞くと、とてもうれしそうに飛び跳ねそうな勢いで俺のところに来た。
「そうだ、それだよ。よくやった」
そして、俺からその陶器を奪い取ると、最後に告げた。
「もう、お前に用はない」