第16話 テスト結果
一発目を体をそらしてよけると、俺も試しに一発ぶつけてみる。
向こう側からの電気球に相殺され、同時に風が俺たちを通り抜けて行った。
「なかなかやるな」
向こう側から声をかけてくる。
「そりゃどうも」
俺も答える。
「だが、この戦い、アレがかかってるものでね。俺も負けられないんだ」
「何のことだ」
「何の事…知らずにココへ来たのか」
奴はそうつぶやいて笑った。
「そうか、知らないのか。なら、知らない方がいい」
そう言って、再び電気球を投げつけてくる。
乱れ飛ぶ青白い球を避けながら、俺は奴に繰り返し聞いた。
「なあ、アレってなんなんだ」
「お前は知らない、知らないんだったらそれはそれで幸せだと思う。もちろん、俺の主観だがな」
一音ごとに、電気球をぶつけてくる。
それを全てかわし、相手の胸元へ突撃をかけると、少し軌道を調整して腰にタックルをした。
ゲフッと音を出して、奴は倒れる。
その時、後ろから手を叩く音が聞こえてきた。
パチ、パチ、パチと単調な調子だったが、その後の声で誰かはっきりした。
「おめでとう、君の勝ちだよ」
「貴様か」
俺が奴から手を離すと、喉を抑えながら立ち上がった。
「お前に用はない、去れ」
声が言うと、奴の姿が薄くなり、そして弾け飛んだ。
奴の破片は瞬時に蒸発をしたようで、あとには何も残らなかった。
「さて、勝者の君には、褒美を与えよう」
声が言うと、俺の目の前に白い蛇の置物が降ってきた。
「君への褒美だ。それをとって、現世へ帰りなさい」
声の通りに、体がひゅっと動いて、蛇をとると、世界が白く輝きだした。