第14話 扉
妹についてきてたどり着いた場所には、1つの巨大な扉があった。
「これって、どうやってあけるんだろう」
「スイッチがあるよ」
俺が扉のあちこちを見まわしているときに、すぐ横で、姉が数字と文字が一体になったキーボードのようなものの前に立っていた。
「全部の数字を打ち込んでから、パスワードを打ち込むべし。数字は斜めに切って上に上がる、右に1マス進みはす向かいへ移る。すぐ下を抑えると左と下を順に押す。これだけじゃわからないよ」
数字の配列は、普通の電卓を同じで、7410がいちばん左列、852が中列、963が左列になっていて、0だけが一番下で外れていた。
文字は、かな入力キーボードで、打ち込めるようになっていた。
「文字のパスワードは"スサノヲ"だよね」
妹が俺に聞く。
「そうなんだが、問題は数字のほうだな。全部の数字っていうことは0~9までっていうことだろうけど、斜めに切るとかはす向かいとか、よくわからんな」
「とりあえず、打ってみる?」
姉がピンと来たものがあるらしい。
「間違えたらどうするんだよ」
「私たちが消えるだけでしょ。気にしないでしょう?」
「いやいや、普通は気にするだろ」
俺が姉と話している間に、数字をじっと見て考えていた妹が、気づいたらしい。
「お姉ちゃん、もしかして、わかったかもしれない」
「本当に?」
姉は懐疑的に妹を見た。
妹はうなづいて、押さずに指でなぞりだした。
「斜めに切るっていうのは斜めに順々に押すっていうこと、951っていう感じね。上に上がるだから41、左に一マスではす向かいだから86、下に向かって3、左と下を抑えるっていうことだから、残っている20って押すんじゃない?」
「そうか、確かにそうだったら説明がつくわね。逆方向からだと、75369まではいくけど、それからが続かない。357、159だと、上がないものね」
「それで試そう」
俺が妹の言った順番に押していく。
「9514786320、パスワードはスサノヲ」
打ち終わると、扉が自動的に開きだした。
そして、世界が白く染まった。