第13話 音
音が出ていたモノは、俺の背丈の何倍もあるスピーカーだった。
「まるで、大太鼓みたいだね」
姉が俺に話しかけてくる。
音波が質量をもって、俺たちに襲いかかってくるような印象すら覚えるほどだ。
大きすぎて、どこまで届いているのか見当がつかない。
その時、周りを見回していた妹が、何かを見つけた。
「これって、あの暗号を解く鍵じゃない?」
俺に見せたのは、ラミネート加工された1枚の紙だった。
そこには、ABC順に、モールス信号の付表が書かれていた。
「前書き写したものは?」
「ポケットの中だ」
俺は、紙をみると同時にすでに写したものを取り出していた。
「えっと、KAGIHASUSANOWO…鍵はスサノヲ?」
「どこかで使うことになるのかな」
妹は、どうにか解読した文章を見て、考えた。
「ここから、どこに進めばいいのかっていうことじゃなくて、最後にたどりつくためのカギが書かれていたんだね」
「問題は、そのカギへたどりつく方法が分からないっていうことだよ」
「ねえ、そんなことよりのどが渇いたー」
姉と俺が話し合っている横で、妹が俺に言った。
「そうだな、ここにきてから何も食べてないし、腹も減ってきてるな」
だが、周りを見回しても、なにも見当たらない。
しかし、妹のほうは、何かを見つけたようで、俺たちに叫んでから走り出した。
「向こうのほうに、何かある!」
俺たちは、その妹の言葉を信じて、後ろをたどりながら走り始めた。