第11話 空間
あまりの眩しさのため一瞬目を閉じている間に、俺たちはまったく別のところに来ていた。
周りには、俺の他には、姉妹だけしかいない。
「他の奴らは」
彼女たちに聞いても、首を横に振るばかりだった。
どこを見ても、砂漠地帯で間違いないと思うところだったが、不思議にも熱くも寒くもない。
風も吹いてこないから、ここは普通のところではないことが分かった。
ドンヨリと厚い雲が、俺たちの上にのしかかってくる。
そんな中を、どちらかの方向に俺たちは歩き出す。
「ねえ、こっちってどっち?」
「俺に聞くなよ。俺だってわかってないんだ」
太陽が見えないせいで、東西南北がわからず、風が吹かないため、風景にも飽きた。
「せめて方角だけでも分かれば、いいんだけどな…」
歩き出してから30分ほどで、俺はそうぼやいた。
「かといって、ここで立ち止まるわけにもいかなさそうだし…」
前後左右上下見まわしても、30分前と変わった雰囲気はない。
むしろ、疲れただけに見えてきた。
「ちょっと休憩入れようか」
俺は、後ろをついて来ている二人に聞いた。
「さんせー」
俺たちは、そのままの格好でその場に座り込んだ。
「これからどっちに行くの」
「全然決まってないし、どっちにいっていいのかもわからない」
俺は正直に言った。
この状況で、どっちに行くことが得策なんてわからない。
そもそも、どっちから来たかもわからなくなりそうだ。
その時、妹が何かを見つけた。
「あれ、なんだろう」
妹が指さした方向を見ると、ぴかぴかした光が見える。
モールス信号にも見えるが、何を言いたいのかはわからない。
「言ってみよう。ここから出るための手がかりになるかもしれない」
俺たちは、立ち上がってその方向へ歩きだした。